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15 彼を取り戻せた◆◆アイリス
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ただ貴方が好きなの、と。
ただ会いたかったの、と。
想いを込めて何度も口にすると、キャメロンの頬が赤く染まった。
そのまま腕を取られて、誰にも見つからないように、図書室に連れていかれた。
いつも軽口しか交わさなかった、わたしとキャメロン。
こんな風に気持ちを伝えたことなんてない。
どうか、これからはわたしのことを女の子だと見て欲しい……
だから、わたしは健気に言ってみる。
「シンシアとの仲を邪魔するつもりはないの。
あの子はわたしの大切な親友だし、貴方のことも大切に思ってる。
本当に大好きなふたりには幸せになって貰いたいの」
「そう思っているなら、どうして今頃そんなことを言うんだ。
聞かされた俺の身にもなってくれよ……」
困っている様なキャメロンだけど、その口調からは拒否は読み取れない。
確かに困惑はしているだろう。
だけど彼の反応を見たら……いける、そう確信した。
やり方を間違えなければ、キャメロンはわたしのものになる。
「領地持ちの伯爵家に婿入りするのが貴方の幸せなんだって知っているから……
邪魔はしたくない。
貴方には誰よりも幸せになって貰いたいの。
だけど密かに貴方を想うことだけは許して欲しい」
「密かに?」
「わたしが貴方を愛していることはシンシアには言わないし、貴方も言わないで」
「言えるわけがないだろう!」
シンシアには言わないここだけの、ふたりだけの話にすることで、わたし達は共犯者になる。
ねぇ、気付かないの?
最初にシンシアにちゃんと話しておかないと、これからは秘密を持つことに慣れてしまうのに。
「……俺は昨日、シンシアにプロポーズしたんだぞ。
こんな話聞かせられない!」
「貴方に告白出来ただけで満足なの。
これ以上は求めないから……もう帰るわ」
わざと、混乱したままのキャメロンに帰ると言ってみた。
お金も持たずに家を飛び出して会いに来たわたしを、キャメロンがそのまま帰すはずがないのを、わかってて。
案の定図書室から出ようとしたわたしの手を、キャメロンが掴んだ。
「勝手に言いたいことだけ言って、帰るな」
「だって貴方にはもう会ってはいけないと、オースティン様から言われたから。
最後にふたりだけで会えて、気持ちを伝えることが出来たから、それでわたしはもう……」
「……君は兄上のことが好きだっただろ?
だから、俺は今でもそうだと」
キャメロンは今までわたしを、お前と呼んでいたのに、君と変えてきた。
その雰囲気もこれまでとは違い、なんだか甘い。
これは女性として意識しだしたってことよね?
だからわたしも、いつもより女らしくしてみせた。
「昨日、貴方への想いに気付いたら、オースティン様に対する気持ちは単なる憧れだったと分かったの。
本当の愛とは全然違うものだって」
「本当の愛?」
「相手に幸せになって貰いたいと思えるのが、本当の愛だと思うの。
キャメロンには幸せになって貰いたいの、それがわたし以外の人と結ばれることであっても」
自分でもどうしてこんな風に、スラスラとキャメロンへの愛を語れるのか不思議だった。
言葉にすればする程、気持ちは熱くなっていく。
酔っぱらってしまった時のように、それはふわふわとしているのに、熱く。
……このままいけばキャメロンはシンシアと婚約して結婚する。
でも本当はね、シンシアが貴方と結婚するのは条件が合ったからで、恋をしたからじゃないの。
純粋な気持ちで貴方を愛しているのはわたしなの。
そのことに、いつか貴方は気付いてしまうでしょう。
シンシアの愛は本物ではなかったと。
そして思い出すの、一途な気持ちを伝えてくれた幼馴染みをどうして自分は選ばなかったのか、って。
後悔しても、もう時は戻らない、なんて……
なんて悲しい物語なんだろう。
そこまで想像して、結ばれなかったわたし達が可哀想で。
悲しくなって自然に涙がこぼれてしまったわたしを、キャメロンがいきなり抱き締めた。
「本当に?本当に俺が好きなのか?」
確認されて何度も頷くわたしを、キャメロンは抱き締めたまま離さない。
あぁ、シンシア……ごめんなさい。
わたし、彼を取り戻せたわ。
ただ会いたかったの、と。
想いを込めて何度も口にすると、キャメロンの頬が赤く染まった。
そのまま腕を取られて、誰にも見つからないように、図書室に連れていかれた。
いつも軽口しか交わさなかった、わたしとキャメロン。
こんな風に気持ちを伝えたことなんてない。
どうか、これからはわたしのことを女の子だと見て欲しい……
だから、わたしは健気に言ってみる。
「シンシアとの仲を邪魔するつもりはないの。
あの子はわたしの大切な親友だし、貴方のことも大切に思ってる。
本当に大好きなふたりには幸せになって貰いたいの」
「そう思っているなら、どうして今頃そんなことを言うんだ。
聞かされた俺の身にもなってくれよ……」
困っている様なキャメロンだけど、その口調からは拒否は読み取れない。
確かに困惑はしているだろう。
だけど彼の反応を見たら……いける、そう確信した。
やり方を間違えなければ、キャメロンはわたしのものになる。
「領地持ちの伯爵家に婿入りするのが貴方の幸せなんだって知っているから……
邪魔はしたくない。
貴方には誰よりも幸せになって貰いたいの。
だけど密かに貴方を想うことだけは許して欲しい」
「密かに?」
「わたしが貴方を愛していることはシンシアには言わないし、貴方も言わないで」
「言えるわけがないだろう!」
シンシアには言わないここだけの、ふたりだけの話にすることで、わたし達は共犯者になる。
ねぇ、気付かないの?
最初にシンシアにちゃんと話しておかないと、これからは秘密を持つことに慣れてしまうのに。
「……俺は昨日、シンシアにプロポーズしたんだぞ。
こんな話聞かせられない!」
「貴方に告白出来ただけで満足なの。
これ以上は求めないから……もう帰るわ」
わざと、混乱したままのキャメロンに帰ると言ってみた。
お金も持たずに家を飛び出して会いに来たわたしを、キャメロンがそのまま帰すはずがないのを、わかってて。
案の定図書室から出ようとしたわたしの手を、キャメロンが掴んだ。
「勝手に言いたいことだけ言って、帰るな」
「だって貴方にはもう会ってはいけないと、オースティン様から言われたから。
最後にふたりだけで会えて、気持ちを伝えることが出来たから、それでわたしはもう……」
「……君は兄上のことが好きだっただろ?
だから、俺は今でもそうだと」
キャメロンは今までわたしを、お前と呼んでいたのに、君と変えてきた。
その雰囲気もこれまでとは違い、なんだか甘い。
これは女性として意識しだしたってことよね?
だからわたしも、いつもより女らしくしてみせた。
「昨日、貴方への想いに気付いたら、オースティン様に対する気持ちは単なる憧れだったと分かったの。
本当の愛とは全然違うものだって」
「本当の愛?」
「相手に幸せになって貰いたいと思えるのが、本当の愛だと思うの。
キャメロンには幸せになって貰いたいの、それがわたし以外の人と結ばれることであっても」
自分でもどうしてこんな風に、スラスラとキャメロンへの愛を語れるのか不思議だった。
言葉にすればする程、気持ちは熱くなっていく。
酔っぱらってしまった時のように、それはふわふわとしているのに、熱く。
……このままいけばキャメロンはシンシアと婚約して結婚する。
でも本当はね、シンシアが貴方と結婚するのは条件が合ったからで、恋をしたからじゃないの。
純粋な気持ちで貴方を愛しているのはわたしなの。
そのことに、いつか貴方は気付いてしまうでしょう。
シンシアの愛は本物ではなかったと。
そして思い出すの、一途な気持ちを伝えてくれた幼馴染みをどうして自分は選ばなかったのか、って。
後悔しても、もう時は戻らない、なんて……
なんて悲しい物語なんだろう。
そこまで想像して、結ばれなかったわたし達が可哀想で。
悲しくなって自然に涙がこぼれてしまったわたしを、キャメロンがいきなり抱き締めた。
「本当に?本当に俺が好きなのか?」
確認されて何度も頷くわたしを、キャメロンは抱き締めたまま離さない。
あぁ、シンシア……ごめんなさい。
わたし、彼を取り戻せたわ。
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