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第二章 セルロ村の幽霊
10.かくしごと
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「助けていただいて本当にありがとうございました!」
商人らしき若い男は深々と頭を下げた。
山賊に襲われたところを俺と先輩が助けてあげたというわけなんだが⋯⋯別に俺は見返りを求めてはいない。本当だ。ハイル先輩とは違う。
「いえいえ、私たちも偶々ここを通りかかっただけですから。ね?」
意味深な目配せはやめてほしいのだが。
「⋯⋯そうですね。僕たちは当然のことをしたまでです」
「とんでもない! 実は私の地元の同業者たちも、ここの山賊の被害に遭っていまして。退治してくださって有難い限りですよ」
「⋯⋯でも、彼らはあの程度で懲りるんですかね? 騎士団にでも連行していった方が⋯⋯」
いかんせん、今回は平和的解決を掲げて挑んだために直接的な武力行使は出来ていない。もしこれに懲りずにまた強盗行為を働いた場合、これまでの二の舞になってしまうのではないか。
「それは大丈夫だよ」妙に自信ありげに彼女は言う。
「何でですか?」
「私を知ってたから。だからもう彼らは、ここに戻ってくることはないだろうね」
「それって⋯⋯」
「あ、ところで積荷は無事でした?」
俺の言葉に被せるように、彼女は話題を転換する。若い男は、彼女に訊かれてはっとしたように荷台を確認しに行く。
「幸い、積荷は無事なようです」
「よかったね、弟子くん」
「はい。ところでその積荷の中身って⋯⋯」
「ああ、中身は全部小麦ですよ。この先の街にあるパン屋に仕入れてもらっているので。⋯⋯あ! もし良かったら、この馬車で街までお送りしましょうか? まあ、お礼と言っては何ですが⋯⋯」
男の提案を受け、隣に立つ彼女は少しの間顎に手を当てて逡巡した。そして、なぜか俺の方を見て微笑んだあとこう言った。
「遠慮しておきます。でもその代わりに、何か私たちに依頼はありませんか? 魔物の退治とか、街で困っている人がいたら教えてほしいです」
内心、「げっ」と俺は思った。なるほど、これが彼女の求める旅のやり方か。行き当たりばったりの旅もなかなか悪くないとは思うけど。依頼がないなら自分で見つけに行けばいいと。なんともアクティブな。
「依頼、ですか⋯⋯そうですね⋯⋯あるにはあるんですが⋯⋯少し難易度が高めと言うか」
「大歓迎です! 彼にお任せください!」
「えっ普通に何言ってんですか」
「そういうことでしたら、私がご案内しますよ」
これが彼女の真の狙いか。山賊を退治してちゃっかり人助けをして、ちゃっかり依頼を受けて、ちゃっかり俺のトレーニングに使う。まったく計算高いというかなんと言うか⋯⋯
わざわざ商人の彼に送ってもらって(本当にありがたい)、俺たちは山を少し進んだところにあった集落で降ろされた。住居はどれも朽ちかけていて裕福そうな村とは言えなかったが、途中見かけた人達の愛想の良さを見る限り活気までは失われていないようだった。
馬車から降りて散策すると、『←セルロ村』と書かれた道標が地面に突き刺さっていた。
「セルロ村⋯⋯」
「へー、いいところだね。空気が美味しい」
「美味しいって⋯⋯そんなに変わるもんですか?」
「山の空気は澄んでるんだよ。ここはご飯も美味しそうだ」
「なんでご馳走してもらう前提なんですか⋯⋯」
「あはは⋯⋯」
馬車を降りて早々腹黒い彼女の一面が垣間見えてしまったが、そこは今どうでもよくて。
「おや、坊やたち見ない顔だねぇ?」
馬車の音で気づいたのか、民家から出てきた一人の年老いた女性が話しかけてきた。しわのある顔だったが、表情と口調は柔和な印象を受けた。
「はじめまして、俺は剣士のルフトです。彼に依頼を紹介してもらって来ました」
「冒険者かい、珍しいねぇ」
「どうも、お久しぶりです。ステラさん」
商人の青年が少し前へ出る。
「ああ、久しぶりだねぇ。エリック。あんたが依頼を?」
「ええ。彼らに助けてもらったお礼に、紹介してほしいと頼まれたので。例の、アンデッド退治を」
それを聞いた老婆は、少し表情を硬くして答えた。
「そうかい⋯⋯あれを頼んじまったかい」
「?⋯⋯ステラさん?」
「何でもないよ。ほら、冒険者のお二人さん、それからあんたもお茶を淹れてあげるから家へお入り」
「ありがとうございます」
「お邪魔しまーす!」
俺と先輩がその家で束の間の休息をとっている間、エリックさんは殴られた馬車馬たちの手当てに勤しんでいた。まさかここで街で買った回復薬が役に立つとは思っていなかった。
⋯⋯ここまで彼女が初めから読めていたとしたら、俺は正直引く。
「そうかい、ずいぶんと遠い所から来たもんだねぇ」
「いえいえ、私たちも旅人ですし」
「⋯⋯ところで、そっちのお嬢さんはその耳、エルフかい?」
「はい。⋯⋯って言っても、まだ少ししか生きてない端くれ者ですけどね」
まだまだ若いですよ、と愛らしい笑みで彼女は言う。実の所は彼女の実年齢が気になるところだが、長寿な種族であるエルフにそんなことを訊くのは野暮中の野暮だろう。俺は一度訊きかけたけど。
「お嬢さん、ここに来たことはあるかい? どうしてか、あなたとは初めて会った気がしなくてねぇ」
「確か⋯⋯前に何度か。おばあさんとも、どこかで会ってるかもしれませんね」
「不思議なもんだねぇ」
しばし彼女の家で談笑したあと、俺たちは例の魔物が出る墓地の近くまで案内された。どうやら彼の言っていた通り、依頼はアンデッド退治らしい。⋯⋯アンデッドってどうやって倒すの?
「ここで、夜な夜な兵士の姿をしたアンデッドが現れるそうなんです。住人にはまだ直接被害は及んでいませんが、姿が姿だけに不安を煽るようで⋯⋯」
エリックさんは、その人気のない墓地で淡々と依頼内容を告げた。その墓地――というか墓石が置かれた場所の付近は何者かによって雑草が刈り取られており、定期的に墓参りに訪れる人の存在を感じさせた。
「アンデッドか⋯⋯じゃあ夜まで待たないと出てこないね。どこかに泊めさせてもらおうか」
「そうしましょうか」
といっても、俺には一晩でなんとかできるような自信はさらさらないのだが。
その墓石の前に近づき、膝を折ってしゃがみこむ。墓石には「シュプリンガー」という名前が丁寧に刻まれていた。見たところ、それ以外の名前は刻まれていなかった。
俺の隣で墓石を眺めていたハイル先輩が、疑問形で呟く。
「シュプリンガー⋯⋯?」
「先輩? どうかしましたか?」
「ううん、なんか聞き覚えのある名前だなって思っただけ。でもきっと人違いだよね⋯⋯」
曖昧に答え、彼女は目線を落とした。
「先輩、今日なんかおかしくないですか?」
「え?」
具体的に言えば、いつもより彼女の言い回しが回りくどくて曖昧だと思った。俺もまだ彼女のことを深く理解している訳ではないのだが(もしかしたらまだ一ミリも知らないのかもしれない)、何故か引っかかりを覚える。
取り繕うような微笑みを溜息とともに捨て、彼女はいつになく小さな声で言った。
「⋯⋯弟子」
「はい?」
「――私の隠しごとはきっと、君はまだ知らない方がいいよ。君が、私の弟子でありたいと少しでも思うならね」
商人らしき若い男は深々と頭を下げた。
山賊に襲われたところを俺と先輩が助けてあげたというわけなんだが⋯⋯別に俺は見返りを求めてはいない。本当だ。ハイル先輩とは違う。
「いえいえ、私たちも偶々ここを通りかかっただけですから。ね?」
意味深な目配せはやめてほしいのだが。
「⋯⋯そうですね。僕たちは当然のことをしたまでです」
「とんでもない! 実は私の地元の同業者たちも、ここの山賊の被害に遭っていまして。退治してくださって有難い限りですよ」
「⋯⋯でも、彼らはあの程度で懲りるんですかね? 騎士団にでも連行していった方が⋯⋯」
いかんせん、今回は平和的解決を掲げて挑んだために直接的な武力行使は出来ていない。もしこれに懲りずにまた強盗行為を働いた場合、これまでの二の舞になってしまうのではないか。
「それは大丈夫だよ」妙に自信ありげに彼女は言う。
「何でですか?」
「私を知ってたから。だからもう彼らは、ここに戻ってくることはないだろうね」
「それって⋯⋯」
「あ、ところで積荷は無事でした?」
俺の言葉に被せるように、彼女は話題を転換する。若い男は、彼女に訊かれてはっとしたように荷台を確認しに行く。
「幸い、積荷は無事なようです」
「よかったね、弟子くん」
「はい。ところでその積荷の中身って⋯⋯」
「ああ、中身は全部小麦ですよ。この先の街にあるパン屋に仕入れてもらっているので。⋯⋯あ! もし良かったら、この馬車で街までお送りしましょうか? まあ、お礼と言っては何ですが⋯⋯」
男の提案を受け、隣に立つ彼女は少しの間顎に手を当てて逡巡した。そして、なぜか俺の方を見て微笑んだあとこう言った。
「遠慮しておきます。でもその代わりに、何か私たちに依頼はありませんか? 魔物の退治とか、街で困っている人がいたら教えてほしいです」
内心、「げっ」と俺は思った。なるほど、これが彼女の求める旅のやり方か。行き当たりばったりの旅もなかなか悪くないとは思うけど。依頼がないなら自分で見つけに行けばいいと。なんともアクティブな。
「依頼、ですか⋯⋯そうですね⋯⋯あるにはあるんですが⋯⋯少し難易度が高めと言うか」
「大歓迎です! 彼にお任せください!」
「えっ普通に何言ってんですか」
「そういうことでしたら、私がご案内しますよ」
これが彼女の真の狙いか。山賊を退治してちゃっかり人助けをして、ちゃっかり依頼を受けて、ちゃっかり俺のトレーニングに使う。まったく計算高いというかなんと言うか⋯⋯
わざわざ商人の彼に送ってもらって(本当にありがたい)、俺たちは山を少し進んだところにあった集落で降ろされた。住居はどれも朽ちかけていて裕福そうな村とは言えなかったが、途中見かけた人達の愛想の良さを見る限り活気までは失われていないようだった。
馬車から降りて散策すると、『←セルロ村』と書かれた道標が地面に突き刺さっていた。
「セルロ村⋯⋯」
「へー、いいところだね。空気が美味しい」
「美味しいって⋯⋯そんなに変わるもんですか?」
「山の空気は澄んでるんだよ。ここはご飯も美味しそうだ」
「なんでご馳走してもらう前提なんですか⋯⋯」
「あはは⋯⋯」
馬車を降りて早々腹黒い彼女の一面が垣間見えてしまったが、そこは今どうでもよくて。
「おや、坊やたち見ない顔だねぇ?」
馬車の音で気づいたのか、民家から出てきた一人の年老いた女性が話しかけてきた。しわのある顔だったが、表情と口調は柔和な印象を受けた。
「はじめまして、俺は剣士のルフトです。彼に依頼を紹介してもらって来ました」
「冒険者かい、珍しいねぇ」
「どうも、お久しぶりです。ステラさん」
商人の青年が少し前へ出る。
「ああ、久しぶりだねぇ。エリック。あんたが依頼を?」
「ええ。彼らに助けてもらったお礼に、紹介してほしいと頼まれたので。例の、アンデッド退治を」
それを聞いた老婆は、少し表情を硬くして答えた。
「そうかい⋯⋯あれを頼んじまったかい」
「?⋯⋯ステラさん?」
「何でもないよ。ほら、冒険者のお二人さん、それからあんたもお茶を淹れてあげるから家へお入り」
「ありがとうございます」
「お邪魔しまーす!」
俺と先輩がその家で束の間の休息をとっている間、エリックさんは殴られた馬車馬たちの手当てに勤しんでいた。まさかここで街で買った回復薬が役に立つとは思っていなかった。
⋯⋯ここまで彼女が初めから読めていたとしたら、俺は正直引く。
「そうかい、ずいぶんと遠い所から来たもんだねぇ」
「いえいえ、私たちも旅人ですし」
「⋯⋯ところで、そっちのお嬢さんはその耳、エルフかい?」
「はい。⋯⋯って言っても、まだ少ししか生きてない端くれ者ですけどね」
まだまだ若いですよ、と愛らしい笑みで彼女は言う。実の所は彼女の実年齢が気になるところだが、長寿な種族であるエルフにそんなことを訊くのは野暮中の野暮だろう。俺は一度訊きかけたけど。
「お嬢さん、ここに来たことはあるかい? どうしてか、あなたとは初めて会った気がしなくてねぇ」
「確か⋯⋯前に何度か。おばあさんとも、どこかで会ってるかもしれませんね」
「不思議なもんだねぇ」
しばし彼女の家で談笑したあと、俺たちは例の魔物が出る墓地の近くまで案内された。どうやら彼の言っていた通り、依頼はアンデッド退治らしい。⋯⋯アンデッドってどうやって倒すの?
「ここで、夜な夜な兵士の姿をしたアンデッドが現れるそうなんです。住人にはまだ直接被害は及んでいませんが、姿が姿だけに不安を煽るようで⋯⋯」
エリックさんは、その人気のない墓地で淡々と依頼内容を告げた。その墓地――というか墓石が置かれた場所の付近は何者かによって雑草が刈り取られており、定期的に墓参りに訪れる人の存在を感じさせた。
「アンデッドか⋯⋯じゃあ夜まで待たないと出てこないね。どこかに泊めさせてもらおうか」
「そうしましょうか」
といっても、俺には一晩でなんとかできるような自信はさらさらないのだが。
その墓石の前に近づき、膝を折ってしゃがみこむ。墓石には「シュプリンガー」という名前が丁寧に刻まれていた。見たところ、それ以外の名前は刻まれていなかった。
俺の隣で墓石を眺めていたハイル先輩が、疑問形で呟く。
「シュプリンガー⋯⋯?」
「先輩? どうかしましたか?」
「ううん、なんか聞き覚えのある名前だなって思っただけ。でもきっと人違いだよね⋯⋯」
曖昧に答え、彼女は目線を落とした。
「先輩、今日なんかおかしくないですか?」
「え?」
具体的に言えば、いつもより彼女の言い回しが回りくどくて曖昧だと思った。俺もまだ彼女のことを深く理解している訳ではないのだが(もしかしたらまだ一ミリも知らないのかもしれない)、何故か引っかかりを覚える。
取り繕うような微笑みを溜息とともに捨て、彼女はいつになく小さな声で言った。
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