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Chapter3
3-2
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また近いうちに、との約束は案外すぐにやってきた。
今度は念願だった和葉の企画が通り、初めて企画発案者として中心になってプロジェクトを進行していくことになった。
それは和葉がどれだけ頑張っていたかを知っている哲平にとっても嬉しいことで。
企画が通ったお祝いという程のいい理由を付けて部署内でまた飲み会が開催された。
今度は由美に質問攻めにされる前に由美を質問攻めにした和葉。
「由美さん、新しい彼氏さんとはどうなんですか?」
「聞いてくれる!?それがさー」
由美は人の話を聞くのも大好きだが、何よりも自分の惚気話をするのが大好きな人間だ。
由美を知っている人なら大抵わかっているため、哲平も呆れながらその様子を見ていると
「おい中西。最近後藤とどうなんだよっ」
と男性の先輩から話しかけられてビールを吹きそうになった。
「な、何ですかいきなりっ」
やっべ、油断してた。とおしぼりで口を押さえながら先輩の方を向くと、何やら男性三人ほどでニヤニヤしながらこちらを見ている。
「いんや?お前が後藤のこと好きなのは部署内ではもはや有名だし。最近仲良いみたいだし。どうなったかなー?と思いまして」
耳元でそう言われて、今度こそ哲平は噎せた。
「ハハっ、汚ねぇなおい!」
バッと和葉の方を見るも、楽しそうに由美の話を聞いていてこちらの話は聞こえていなかったようで安心した。
「な、何でそれを……っ」
「お前身長高くて目立つ分、わかりやすいんだよ。ずっと後藤のこと見てるし。朝一番に後藤に話しかけに行くし。今回の後藤の企画通ったのもお前の喜び方尋常じゃなかったし」
「確かに」
自分の行動がそんなにバレバレだったのかと哲平は恥ずかしさに両手で顔を隠した。
そんな姿を見て他の社員が笑う。
「顔も良くて仕事もできて何でもスマートにこなすお前がまさか恋愛面ではこんなヘタレだったとはなあっ。いやー、傑作傑作!」
「面白がらないでくださいよっ」
「はは、悪ぃ悪ぃ。でもよ、冗談抜きで最近いい感じなんじゃねーの?俺らはお前のこと応援してるからよ、頑張れな!」
「そうそう!早く告っちまえって」
「いやっ、それはいくらなんでも……」
哲平はしばらくその三人に捕まり根掘り葉掘り聞かれ、解放されたのは飲み会の終了と同時だった。
「(あんまり今日後藤と話せてない……)」
飲み会後、哲平はニヤニヤしながら肩を次々に叩いて去っていった先輩三人に何とも言えない思いを抱きながら由美と和葉と三人でいつもの由美が乗るタクシー乗り場まで歩く。
「哲平!あんた和葉ちゃんのこと襲うんじゃないわよっ!」
大声で叫んだ由美に、周りの人がギョッとして視線を集めた。
「バッ!お前何言ってんだよこんな公衆の面前で!!」
「和葉ちゃん、気を付けてねっ!」
「は、はぁ……」
「お前はさっさと帰れ!」
「はーい!じゃ、二人ともまた月曜日ねー」
由美をタクシーに押し込んで一息吐く。周りを見るとまだ少しだけ視線を集めていて。
「(あんの馬鹿野郎っ……)」
そのままタクシーを見送るのも早々に哲平は和葉の手をぎゅっと握ってくるりと振り返ると和葉を引っ張りながらずんずん歩き始めた。
それを見て由美はニヤニヤしながら心の中で哲平を応援して。
手を引っ張られている当人の和葉は軽くパニックになっていた。
「ちょ、中西さんっ、どこ行くんですか?」
和葉の声に我に帰った哲平は、
「あ、ごめん」
とパッと手を離して止まった。
和葉はなんだかそれが寂しくて、ジッと離された手を見つめる。
哲平はバツが悪そうに頭を掻き、
「飲み足りないからさ、この間のバー。ちょっと付き合ってよ。……ダメ?」
と手を合わせて片目を瞑って笑う。
「……その顔本当ずるい」
そんな風に言われたら、断れるわけがない。
「え?何か言った?」
「……いえ。行きましょう。私もベリーミックス飲みたいです」
ふわりと笑えば、哲平もクシャッと笑った。
その笑顔に心臓がドクンと一度大きく鳴って。
にこにこしている哲平とは反対に、和葉は胸に手を当てて一瞬顔を歪めるのであった。
今度は念願だった和葉の企画が通り、初めて企画発案者として中心になってプロジェクトを進行していくことになった。
それは和葉がどれだけ頑張っていたかを知っている哲平にとっても嬉しいことで。
企画が通ったお祝いという程のいい理由を付けて部署内でまた飲み会が開催された。
今度は由美に質問攻めにされる前に由美を質問攻めにした和葉。
「由美さん、新しい彼氏さんとはどうなんですか?」
「聞いてくれる!?それがさー」
由美は人の話を聞くのも大好きだが、何よりも自分の惚気話をするのが大好きな人間だ。
由美を知っている人なら大抵わかっているため、哲平も呆れながらその様子を見ていると
「おい中西。最近後藤とどうなんだよっ」
と男性の先輩から話しかけられてビールを吹きそうになった。
「な、何ですかいきなりっ」
やっべ、油断してた。とおしぼりで口を押さえながら先輩の方を向くと、何やら男性三人ほどでニヤニヤしながらこちらを見ている。
「いんや?お前が後藤のこと好きなのは部署内ではもはや有名だし。最近仲良いみたいだし。どうなったかなー?と思いまして」
耳元でそう言われて、今度こそ哲平は噎せた。
「ハハっ、汚ねぇなおい!」
バッと和葉の方を見るも、楽しそうに由美の話を聞いていてこちらの話は聞こえていなかったようで安心した。
「な、何でそれを……っ」
「お前身長高くて目立つ分、わかりやすいんだよ。ずっと後藤のこと見てるし。朝一番に後藤に話しかけに行くし。今回の後藤の企画通ったのもお前の喜び方尋常じゃなかったし」
「確かに」
自分の行動がそんなにバレバレだったのかと哲平は恥ずかしさに両手で顔を隠した。
そんな姿を見て他の社員が笑う。
「顔も良くて仕事もできて何でもスマートにこなすお前がまさか恋愛面ではこんなヘタレだったとはなあっ。いやー、傑作傑作!」
「面白がらないでくださいよっ」
「はは、悪ぃ悪ぃ。でもよ、冗談抜きで最近いい感じなんじゃねーの?俺らはお前のこと応援してるからよ、頑張れな!」
「そうそう!早く告っちまえって」
「いやっ、それはいくらなんでも……」
哲平はしばらくその三人に捕まり根掘り葉掘り聞かれ、解放されたのは飲み会の終了と同時だった。
「(あんまり今日後藤と話せてない……)」
飲み会後、哲平はニヤニヤしながら肩を次々に叩いて去っていった先輩三人に何とも言えない思いを抱きながら由美と和葉と三人でいつもの由美が乗るタクシー乗り場まで歩く。
「哲平!あんた和葉ちゃんのこと襲うんじゃないわよっ!」
大声で叫んだ由美に、周りの人がギョッとして視線を集めた。
「バッ!お前何言ってんだよこんな公衆の面前で!!」
「和葉ちゃん、気を付けてねっ!」
「は、はぁ……」
「お前はさっさと帰れ!」
「はーい!じゃ、二人ともまた月曜日ねー」
由美をタクシーに押し込んで一息吐く。周りを見るとまだ少しだけ視線を集めていて。
「(あんの馬鹿野郎っ……)」
そのままタクシーを見送るのも早々に哲平は和葉の手をぎゅっと握ってくるりと振り返ると和葉を引っ張りながらずんずん歩き始めた。
それを見て由美はニヤニヤしながら心の中で哲平を応援して。
手を引っ張られている当人の和葉は軽くパニックになっていた。
「ちょ、中西さんっ、どこ行くんですか?」
和葉の声に我に帰った哲平は、
「あ、ごめん」
とパッと手を離して止まった。
和葉はなんだかそれが寂しくて、ジッと離された手を見つめる。
哲平はバツが悪そうに頭を掻き、
「飲み足りないからさ、この間のバー。ちょっと付き合ってよ。……ダメ?」
と手を合わせて片目を瞑って笑う。
「……その顔本当ずるい」
そんな風に言われたら、断れるわけがない。
「え?何か言った?」
「……いえ。行きましょう。私もベリーミックス飲みたいです」
ふわりと笑えば、哲平もクシャッと笑った。
その笑顔に心臓がドクンと一度大きく鳴って。
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