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一年後

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───時は流れ、それから一年の月日が経過した。




「……唯香」

「天音。どう、かな?」

「……あぁ、似合ってる。すごい綺麗だよ」

「ふふっ、……天音がそんな素直に私を褒めるなんて滅多に無いから、なんか照れる」

「失礼な。俺はいつでも唯香を愛してるよ」

「っ……そういうの照れるんだってば」

「いいだろ。今日から新婚なんだし」

「天音はいつもそうでしょ!」


窓から差し込む日差しが、眩しいくらいに私のドレスを煌めかせている。

Aラインが華やかで美しいこの純白のドレスは、試着の際に天音が一番似合うと言ってくれたものだ。


「……でも、まさか私がここで式を挙げることになるなんて」

「俺たちの出会いの場だからな。まぁ、傑たちの思い出の場所でもあるのが癪に触るけど」

「ふふっ、本当は満更でもないくせに」


ここは、ニューヨークのマンハッタンから車で一時間ほど。

森の中に建つそこは、傑くんと梨香子さんが挙式と披露宴を行ったあのホテルだ。

控室の窓からも、ハドソン川がよく見える。

タキシードに身を包んだ天音は、いつもの何倍もかっこよくて素敵だ。

こんな素敵な人が今日、私の旦那様になるなんて。

あの時は全く予想もつかなかったけれど。



同棲を始めて半年くらい経った頃に天音と国内旅行に行った。その日のディナーで、天音からサプライズでプロポーズされたのだ。

天音はこのホテルで初めて出会った時に飲んでいたあのワインをわざわざ取り寄せてくれて、大粒のダイヤモンドが輝く指輪をくれた。

跪いて私に指輪を嵌めてくれた天音は、王子様そのものだった。

プロポーズを思い出していると、コンコン、と控室のドアがノックされる。

それに天音が返事をして、私の手をそっと取る。


「……俺の一生をかけて、お前を幸せにする」

「天音……」

「唯香だけを愛してる」


私の手の甲にそっとキスをして、そして柔らかく微笑んだ。

式ではなく、控室で二人きりの時にそう言葉をくれるのがとても嬉しくて。

今日も王子様そのもののその振る舞いに、私は淡く頬を染めつつその目を見つめ返して笑った。


「天音」

「ん?」

「私も、天音だけを愛してます」



end
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