18 / 30
呼び起こされる記憶
18
しおりを挟む
「え?」
「帰るって?マジで言ってんのかお前」
「はい。だってこれ以上迷惑かけられないし」
それに、こんなサラサラのシーツが敷かれたふかふかのベッドで寝る喜びを知ってしまったら、もう我が家のベッドでは寝られる気がしない。
そんなバカなことを考えている私とは裏腹に、天音は大きな溜め息を吐いた。
「こんな時間に帰すとか無理だから。大人しく泊まってけ」
「……え?」
「そもそも帰すつもりもねぇけどな。……ほら」
言葉と共に何かが顔にバサリとかかる。
それを取ると、これまた手触りの良いふわふわのバスタオルだった。
「大分酔いも覚めたみたいだし、シャワーでも入ってこい。話はその後だ」
有無を言わさないその言葉に、どうやら抗うという選択肢は与えられていないらしい。
どうしてこうなってしまったのか。いや、全面的に悪いのは私なのだから、言葉は悪いけど自業自得……と言えばそうなんだけど。
バスタオルを渡されてから五分後。
私は天音の家でシャワーを借り、十分ほどで上がる。
脱衣所に用意されていたのはおそらく天音の服であろう、私にはどう見ても大きすぎるTシャツ。
その下にスウェットと新品の替えの下着が置いてあった。
「……なんで、新品が……」
しかも、サイズがぴったり。
え?どういうこと?なんで私のサイズ知ってんの!?
ていうか、これいつ買ってきたの!?え、それとも家に元々あった!?
……あ、もしかして彼女……いや、彼女いるなんて聞いてないし……。
いやでも女物の下着なんてどうやって……。
頭の中がパニックになってしまったものの、元々私が着ていた服と下着はすでに洗濯中。
下着無しで服を借りるわけにもいかないし。かと言って乾燥前の服を着て帰るわけにもいかないだろう。
数分考えたものの、どうしようもないため私は用意された服をとりあえず身につける。
やはりシャツは大きすぎてもはやワンピースのよう。
……これ、いわゆる彼シャツってやつなのでは?
ふわりとフローラルの柔軟剤の香りがして、なんだか天音に優しく抱きしめられているような気がした。
思わず赤面しながらも、それを忘れるようにスウェットの紐をキツく結んだ。
シャワーに入る前、天音に"上がったらリビングに来い"と言われていたものの、脱衣所を出たはいいが場所がわからない。
確か先程まで寝ていた寝室は、脱衣所の向かい側。そして向かって右奥に明かりの付いている部屋のドアを見つけて、そっと足音を立てないように向かう。
恐る恐るドアを少しだけ開けて中を覗くように見ると、広いリビングの中央にあるソファに腰掛けた天音が、何か飲んでいるところだった。
「……ん、上がった?」
「は、はい……」
おいで、と言われておずおずとドアを開けて中に入る。
私の姿を見てどこか嬉しそうに目を細めた天音は、
「やっぱデカイな」
とシャツとスウェットのダボダボ感に微笑む。
私はその視線が恥ずかしくて、思わず下を向いた。
「あの、ありがとうございます。お風呂も、服も。……あ、あと下着……」
「あぁ。驚かせて悪かったよ。うちに女物の下着なんて無いから、コンシェルジュに慌てて用意させたんだ。サイズはなんとなくで用意させたんだけど、大丈夫だったか?」
「こ、コンシェルジュ……!?」
「あぁ。ここのマンションのな。言えば大体のものは何でも用意してくれるんだ。ちゃんと女性に用意させたから安心しろ」
……いや、そういう問題じゃなくて……。
聞き慣れない単語が飛び出してきて、私は覚めたはずの酔いがまた回ってきそうな錯覚に陥る。
ダメだ。やっぱりこの人は私とは住む世界が違う人だ。
庶民の私の頭では処理しきれない。
考えるのをやめて、顔を上げると、天音が座るソファの向こうにライトグレーのカーテンが見えた。そのカーテンのサイズからして、窓はとても大きいのがよくわかる。
おそらくその向こうは都内の夜景が一望できるのだろう。
ここが何階なのかはわからないけれど、コンシェルジュがいるようなマンションだ。
きっとタワマンかそれに準ずる高級物件だろうと容易く想像できる。
改めて辺りを見渡すと、リビングにある家具も洗練された雰囲気を感じる落ち着いたシックなデザイン。きっとお高い物だ。
全体的に家具以外はあまり物が無く、まるでモデルルームのような空間だった。
そんなリビングで、天音は
「こっち、来いよ」
と私を手招きして、ふかふかのソファに腰掛けるように促す。
それに従うと、ローテーブルの上に置かれたシンプルなダークブラウンのマグカップを渡された。
「ありがとう、ございます」
そこには甘い香りがふわりと漂う、ホットミルクが。
出来立てなのがわかる、ほんのりと立ち上る湯気。手で包み込むマグカップが温かい。
「……これ、天音が作ってくれたんですか?」
「あぁ。唯香には少し甘めに作ってある」
そう言った天音の手には同じホットミルクが入った色違いのダークグレーのマグカップがあり、ローテーブルの上には読みかけらしき医学書のような分厚い本が置いてあった。
天音がホットミルクを飲んでいる姿が少し意外で、手の中にあるマグカップをまじまじと見つめてしまう。
「どうした?牛乳は苦手だったか?」
「いえ、そうじゃなくって。……天音に、ホットミルクのイメージが無かったから。なんだかびっくりしちゃって」
初対面があんなんだったから、やはりお酒を飲んでいるイメージが強かった。
「俺の場合はまぁ、仕事柄、睡眠時間が限られてたり休みが全然無かったりするからさ。なるべく睡眠の質だけは良い状態で保っていたいんだよ」
まるで寝酒のようにアルコールをがぶ飲みしてしまった私にはどうにも耳が痛い話だが、天音の職業と仕事量を考えるとそれは大切なことだと私でも理解できる。
「寝不足が続くとオペ中に集中力が続かないからな」
「だから、ホットミルク?」
「そう。昔からこれ飲むと落ち着くんだよ。学生時代、試験前とかによく飲んでたからかな。なんか、今日も一日頑張ったなって。そんな気分になる」
寝付きが良くなるんだ、と言ってマグカップを口に運ぶ天音を見て、私も倣うように一口飲む。
程良い温度で私の身体を内側からそっと包み込んでくれるような、そんな優しい甘さが全身に広がって。
ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ後に、ふぅ……。とそっと息を吐き出したくなる、そんな心温まる甘さが身体に染み渡る。
「……おいしい、です。私の好きな甘さ」
仄かに香るはちみつがとても美味しくて、なんだか全部飲みきるのがもったいないくらいだ。
「そうか。そりゃあ良かった」
嬉しそうに微笑んだ天音に同じ笑みを返す。
そのまましばらく、どちらも喋らずに静かに空間を共にして。
寄り添うように、穏やかな時間を楽しんだ。
ホットミルクを飲み終わった後、私は天音に促されてあの寝室のベッドで横になっていた。
サラサラのシーツはどうやらシルク素材のようで、やはりとても滑らかで気持ち良い。
しかしここにいると、どうしても先程のキスを思い出してしまう。
一人で赤面している姿など誰にも見せられない。なんて恥ずかしいんだ。
当たり前だがこの家にはベッドがこれしかなく、泊まらせてもらうだけでも申し訳ないのに天音に"唯香はちゃんとベッドで寝ろ"と言われてしまい、もしソファが借りられればと思っていた私はあっけなく玉砕した。
私が気を遣わないように、と天音は今シャワーに入っている。その間に寝ていろということなのだろう。
時間ももう遅いし、今日は天音の言葉に甘えさせてもらおうと思う。
布団に入ると、天音の香りが私の全身を包み込む。
天音の服を着た時も思ったけれど、まるで天音に優しく抱きしめられているかのよう。
それが恥ずかしいのに、なのにどうしてか、とても落ち着いてしまう。
いつのまにかその香りを求めて、布団をギュッと抱きしめるようにしているうちに段々と瞼が重くなっていき。
そしてそのまま深い眠りに落ちる。
────十分ほどした後。
「……んな可愛いことすんなって。抱き着くんなら俺に抱き着けよ」
そんな、シャワー上がりの天音の声は、寝てしまった私には届いていなかった。
「帰るって?マジで言ってんのかお前」
「はい。だってこれ以上迷惑かけられないし」
それに、こんなサラサラのシーツが敷かれたふかふかのベッドで寝る喜びを知ってしまったら、もう我が家のベッドでは寝られる気がしない。
そんなバカなことを考えている私とは裏腹に、天音は大きな溜め息を吐いた。
「こんな時間に帰すとか無理だから。大人しく泊まってけ」
「……え?」
「そもそも帰すつもりもねぇけどな。……ほら」
言葉と共に何かが顔にバサリとかかる。
それを取ると、これまた手触りの良いふわふわのバスタオルだった。
「大分酔いも覚めたみたいだし、シャワーでも入ってこい。話はその後だ」
有無を言わさないその言葉に、どうやら抗うという選択肢は与えられていないらしい。
どうしてこうなってしまったのか。いや、全面的に悪いのは私なのだから、言葉は悪いけど自業自得……と言えばそうなんだけど。
バスタオルを渡されてから五分後。
私は天音の家でシャワーを借り、十分ほどで上がる。
脱衣所に用意されていたのはおそらく天音の服であろう、私にはどう見ても大きすぎるTシャツ。
その下にスウェットと新品の替えの下着が置いてあった。
「……なんで、新品が……」
しかも、サイズがぴったり。
え?どういうこと?なんで私のサイズ知ってんの!?
ていうか、これいつ買ってきたの!?え、それとも家に元々あった!?
……あ、もしかして彼女……いや、彼女いるなんて聞いてないし……。
いやでも女物の下着なんてどうやって……。
頭の中がパニックになってしまったものの、元々私が着ていた服と下着はすでに洗濯中。
下着無しで服を借りるわけにもいかないし。かと言って乾燥前の服を着て帰るわけにもいかないだろう。
数分考えたものの、どうしようもないため私は用意された服をとりあえず身につける。
やはりシャツは大きすぎてもはやワンピースのよう。
……これ、いわゆる彼シャツってやつなのでは?
ふわりとフローラルの柔軟剤の香りがして、なんだか天音に優しく抱きしめられているような気がした。
思わず赤面しながらも、それを忘れるようにスウェットの紐をキツく結んだ。
シャワーに入る前、天音に"上がったらリビングに来い"と言われていたものの、脱衣所を出たはいいが場所がわからない。
確か先程まで寝ていた寝室は、脱衣所の向かい側。そして向かって右奥に明かりの付いている部屋のドアを見つけて、そっと足音を立てないように向かう。
恐る恐るドアを少しだけ開けて中を覗くように見ると、広いリビングの中央にあるソファに腰掛けた天音が、何か飲んでいるところだった。
「……ん、上がった?」
「は、はい……」
おいで、と言われておずおずとドアを開けて中に入る。
私の姿を見てどこか嬉しそうに目を細めた天音は、
「やっぱデカイな」
とシャツとスウェットのダボダボ感に微笑む。
私はその視線が恥ずかしくて、思わず下を向いた。
「あの、ありがとうございます。お風呂も、服も。……あ、あと下着……」
「あぁ。驚かせて悪かったよ。うちに女物の下着なんて無いから、コンシェルジュに慌てて用意させたんだ。サイズはなんとなくで用意させたんだけど、大丈夫だったか?」
「こ、コンシェルジュ……!?」
「あぁ。ここのマンションのな。言えば大体のものは何でも用意してくれるんだ。ちゃんと女性に用意させたから安心しろ」
……いや、そういう問題じゃなくて……。
聞き慣れない単語が飛び出してきて、私は覚めたはずの酔いがまた回ってきそうな錯覚に陥る。
ダメだ。やっぱりこの人は私とは住む世界が違う人だ。
庶民の私の頭では処理しきれない。
考えるのをやめて、顔を上げると、天音が座るソファの向こうにライトグレーのカーテンが見えた。そのカーテンのサイズからして、窓はとても大きいのがよくわかる。
おそらくその向こうは都内の夜景が一望できるのだろう。
ここが何階なのかはわからないけれど、コンシェルジュがいるようなマンションだ。
きっとタワマンかそれに準ずる高級物件だろうと容易く想像できる。
改めて辺りを見渡すと、リビングにある家具も洗練された雰囲気を感じる落ち着いたシックなデザイン。きっとお高い物だ。
全体的に家具以外はあまり物が無く、まるでモデルルームのような空間だった。
そんなリビングで、天音は
「こっち、来いよ」
と私を手招きして、ふかふかのソファに腰掛けるように促す。
それに従うと、ローテーブルの上に置かれたシンプルなダークブラウンのマグカップを渡された。
「ありがとう、ございます」
そこには甘い香りがふわりと漂う、ホットミルクが。
出来立てなのがわかる、ほんのりと立ち上る湯気。手で包み込むマグカップが温かい。
「……これ、天音が作ってくれたんですか?」
「あぁ。唯香には少し甘めに作ってある」
そう言った天音の手には同じホットミルクが入った色違いのダークグレーのマグカップがあり、ローテーブルの上には読みかけらしき医学書のような分厚い本が置いてあった。
天音がホットミルクを飲んでいる姿が少し意外で、手の中にあるマグカップをまじまじと見つめてしまう。
「どうした?牛乳は苦手だったか?」
「いえ、そうじゃなくって。……天音に、ホットミルクのイメージが無かったから。なんだかびっくりしちゃって」
初対面があんなんだったから、やはりお酒を飲んでいるイメージが強かった。
「俺の場合はまぁ、仕事柄、睡眠時間が限られてたり休みが全然無かったりするからさ。なるべく睡眠の質だけは良い状態で保っていたいんだよ」
まるで寝酒のようにアルコールをがぶ飲みしてしまった私にはどうにも耳が痛い話だが、天音の職業と仕事量を考えるとそれは大切なことだと私でも理解できる。
「寝不足が続くとオペ中に集中力が続かないからな」
「だから、ホットミルク?」
「そう。昔からこれ飲むと落ち着くんだよ。学生時代、試験前とかによく飲んでたからかな。なんか、今日も一日頑張ったなって。そんな気分になる」
寝付きが良くなるんだ、と言ってマグカップを口に運ぶ天音を見て、私も倣うように一口飲む。
程良い温度で私の身体を内側からそっと包み込んでくれるような、そんな優しい甘さが全身に広がって。
ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ後に、ふぅ……。とそっと息を吐き出したくなる、そんな心温まる甘さが身体に染み渡る。
「……おいしい、です。私の好きな甘さ」
仄かに香るはちみつがとても美味しくて、なんだか全部飲みきるのがもったいないくらいだ。
「そうか。そりゃあ良かった」
嬉しそうに微笑んだ天音に同じ笑みを返す。
そのまましばらく、どちらも喋らずに静かに空間を共にして。
寄り添うように、穏やかな時間を楽しんだ。
ホットミルクを飲み終わった後、私は天音に促されてあの寝室のベッドで横になっていた。
サラサラのシーツはどうやらシルク素材のようで、やはりとても滑らかで気持ち良い。
しかしここにいると、どうしても先程のキスを思い出してしまう。
一人で赤面している姿など誰にも見せられない。なんて恥ずかしいんだ。
当たり前だがこの家にはベッドがこれしかなく、泊まらせてもらうだけでも申し訳ないのに天音に"唯香はちゃんとベッドで寝ろ"と言われてしまい、もしソファが借りられればと思っていた私はあっけなく玉砕した。
私が気を遣わないように、と天音は今シャワーに入っている。その間に寝ていろということなのだろう。
時間ももう遅いし、今日は天音の言葉に甘えさせてもらおうと思う。
布団に入ると、天音の香りが私の全身を包み込む。
天音の服を着た時も思ったけれど、まるで天音に優しく抱きしめられているかのよう。
それが恥ずかしいのに、なのにどうしてか、とても落ち着いてしまう。
いつのまにかその香りを求めて、布団をギュッと抱きしめるようにしているうちに段々と瞼が重くなっていき。
そしてそのまま深い眠りに落ちる。
────十分ほどした後。
「……んな可愛いことすんなって。抱き着くんなら俺に抱き着けよ」
そんな、シャワー上がりの天音の声は、寝てしまった私には届いていなかった。
13
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
紬 祥子(まつやちかこ)
恋愛
★第17回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました★
夢破れて帰ってきた故郷で、再会した彼との契約婚の日々。
【表紙:Canvaテンプレートより作成】
とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
けいこ
恋愛
「絶対に後悔させない。今夜だけは俺に全てを委ねて」
燃えるような一夜に、私は、身も心も蕩けてしまった。
だけど、大学を卒業した記念に『最後の思い出』を作ろうなんて、あなたにとって、相手は誰でも良かったんだよね?
私には、大好きな人との最初で最後の一夜だったのに…
そして、あなたは海の向こうへと旅立った。
それから3年の時が過ぎ、私は再びあなたに出会う。
忘れたくても忘れられなかった人と。
持ちかけられた契約結婚に戸惑いながらも、私はあなたにどんどん甘やかされてゆく…
姉や友人とぶつかりながらも、本当の愛がどこにあるのかを見つけたいと願う。
自分に全く自信の無いこんな私にも、幸せは待っていてくれますか?
ホテル リベルテ 鳳条グループ 御曹司
鳳条 龍聖 25歳
×
外車販売「AYAI」受付
桜木 琴音 25歳
憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。
私は密かに先生に「憧れ」ていた。
でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。
そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。
久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。
まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。
しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて…
ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆…
様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。
『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』
「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。
気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて…
ねえ、この出会いに何か意味はあるの?
本当に…「奇跡」なの?
それとも…
晴月グループ
LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長
晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳
×
LUNA BLUホテル東京ベイ
ウエディングプランナー
優木 里桜(ゆうき りお) 25歳
うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。
エリート警視正の溺愛包囲網 クールな彼の激情に甘く囚われそうです
桜月海羽
恋愛
旧題:エリート警視正の溺愛包囲網~クールな彼の甘やかな激情~
「守ると約束したが、一番危ないのは俺かもしれない」
ストーカー被害に悩む咲良は、警察官の堂本桜輔に守ってもらうことに。
堅物で生真面目な雰囲気とは裏腹に、彼の素顔は意外にも甘くて――?
トラウマを抱えるネイリスト
深澤咲良(27)
×
堅物なエリート警察官僚
堂本桜輔(34)
「このまま帰したくない、と言ったら幻滅するか?」
「しません。私……あなたになら、触れられたい」
エリート警視正の溺愛包囲網に
甘く、激しく、溶かされて――。
アルファポリス 2023/5/10~2023/6/5
※別名義・旧題でベリーズカフェでも公開していました。
書籍化に伴い、そちらは非公開にしています。
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。
政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
如月 そら
恋愛
父のお葬式の日、雪の降る中、園村浅緋と母の元へ片倉慎也が訪ねてきた。
父からの遺言書を持って。
そこに書かれてあったのは、
『会社は片倉に託すこと』
そして、『浅緋も片倉に託す』ということだった。
政略結婚、そう思っていたけれど……。
浅緋は片倉の優しさに惹かれていく。
けれど、片倉は……?
宝島社様の『この文庫がすごい!』大賞にて優秀作品に選出して頂きました(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
※表紙イラストはGiovanni様に許可を頂き、使用させて頂いているものです。
素敵なイラストをありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる