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第四章

再会(2)

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そんな親子の再会を果たしてから、一時間後。


「奈々美。覚えていることを教えて欲しいんだ」


お母さんからおばさんの話を聞いていたらしいお父さんの鋭い視線に、私は一つ頷いてから話し始めた。


「二週間くらい前から、急にインターホンが鳴るようになって、ドア開けようとしたり叩いたり。モニター見たら、そのおばさんが映ってて。私、怖くなって震えが止まんなくて……」


私の説明でモニターをもう一度確認したお父さんは、難しい顔をして私の元へ戻る。


「二週間も一人で耐えてたのか……?」

「うん。でも、毎日じゃなかったから。ただいつまた来るかがわからなくて、怖くて家からは出られなかったの」

「そうだったのか……」


今までなんの疑いも無く私を預けていたおばさんの奇行に、両親は言葉を無くす。

龍之介くんから聞いた話もすると、お父さんとお母さんは二人でおばさんの元を訪ねようかと話し合っていた。
そんな時だった。

インターホンが、今日も鳴り始めたのだ。

モニターを見ると、おばさんの姿。

それを見て私はまた身体がガタガタと震え出す。

そんな私を見かねて、お母さんが私を抱きしめてお父さんが玄関へ向かった。

何度目かのインターホンが鳴った時。

お父さんが玄関ドアを開けた音とともに、


「もう奈々美ちゃん!あんたって子はまったく……っえ!?」


驚きに満ちたおばさんの声が聞こえた。


「こんにちは。ご無沙汰しております」


お父さんの軽快なのにドスの効いた声に、私はお母さんと一緒におばさんから姿が見えないところで待機する。


「あ、え、っと……ご主人、本当に久しぶりねぇ。日本に帰ってらしたのね。お元気そうでなりよりです」

「えぇ、おかげさまで。その節は娘が大変お世話になりました。……それで、今日はうちには何の御用で?」

「え、あぁ。あの、奈々美ちゃんが退院したって聞いたのでね、快気祝いに手料理でもご馳走しようかと思ったんですけどね、毎日留守のようだから」

「だからって大声で叫んだりドアを何度もあんなに強く叩いたりしますかね普通」


「いや……えぇっと……」


だんだんとしどろもどろになっていくおばさんは、適当な理由をつけて今日は帰って行った。

去り際に、


「近いうちに今まで娘を預かってくださったお礼に伺いたいのですが、ご都合悪い日はありますか?」


とお父さんが声をかけた時に


「いやいいのよ!私も好きでやってたことだから!お礼なんて全然!気にしないで!」


と捨て台詞のように吐き捨てていったのが印象的だった。


「奈々美」

「……」

「これからは、どんな些細なことでもお父さんとお母さんに教えてくれ。一人で抱え込まないでくれ」

「うん。わかった」


その日の夜に両親は何かを話し合っていたようだったけれど、両親の雰囲気がとてもピリピリしていて私が聞いてはいけないことだと思って部屋に篭っていた。

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