冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来

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Seventh

23-3

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翌日。目が覚めたのはお昼近くで、散歩がてら二人で外にお昼を食べに行こうと綾人さんの家を出た。


そしたカフェでブランチを食べ終えた私たちは、そのまま街中をほんの少しの距離をあけながら歩いていた。


今日も綾人さんは、ぺたんこの髪の毛にサングラス姿だ。そこまで行くともう清々しさすら感じる。



「マスクはやめたんですね」


「……不審者扱いはゴメンだ」


「ふふっ」



苦々しい呟きに、私は思わず笑ってしまう。
とは言え、私も今日はおしゃれ眼鏡とやらをしてきた。


これで私たちだとは知り合いにもバレない……はず。




「そう言えば、どうして甘い物が好きだって隠し続けてるんですか?」



歩きながらずっと疑問に感じていたことを聞くと、綾人さんはこちらを向いて、すぐに正面を向いた。


甘い物好きを公言している男性も多いし、スイーツ男子なんて言葉もあるくらい、別に今時珍しいことじゃない。


なのに頑なに隠し通そうとする綾人さんは、少し不思議に思う。



「あー……いや……」



どこか言いづらそうな綾人さんに、



「言いたくないならいいですよ」



と笑って伝えるものの。



「いや、そういうわけじゃないんだ」


「……?」



しかしそれっきり、何も言わない。


二人並んで歩く街並みは、真夏のジリジリとした暑さでゆらゆらと揺らめいて見える。


額に汗が滲む綾人さんはそのまま口を閉じてしまい、しばらく二人で歩いていた。


途中でアイスカフェラテを買い、十分程歩いて着いた先は大きな公園。


木の下で日陰になっているベンチを見つけ、そこに腰掛ける。


大きな木が良い具合に周りから見えにくくしてくれていて、緑の香りがとても落ち着く。


きゅ、と。どちらからともなく、手を繋ぐ。


目の前には大きな噴水があり、犬の散歩中の人や小学生くらいの子ども達が手で水を触って遊んでいた。



「──昔、それが原因でこっぴどく振られたことがあったんだ」



目を細めて目の前の光景を眺める綾人さんを見て、私も同じように正面を見つめる。


右手は綾人さんの左手と繋がっていて、左手はカフェラテを膝の上で持つ。


結露が、左手を伝って膝を濡らした。



「まだ十代だった頃に、付き合っていた彼女がいたんだ」



切ない声に、右手をギュッと握る。



「向こうから告白されて、二年付き合って。結局向こうから振られた」



遠い目で、語り始めた。


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