76 / 112
Sixth
19-3
しおりを挟む
「金山、良かったね!おめでとう!」
「相田。ありがとう」
仕事終わりに相田と飲みに来た私は、綾人さんに許可を取った上で綾人さんと付き合うことになったことを相田に報告していた。
「でも社内恋愛が禁止だなんて全然知らなくて……」
「え!?知らなかったの!?新入社員研修であんなに忠告されたのに!?」
「……え、そうだったっけ……?」
「そうだよ!もう、金山聞いてなかったわけ!?」
「うん……。それが全く記憶に無くて……」
苦笑いする私に、相田は呆れたように溜息を吐いた。どうやら社内恋愛が禁止だと言うことを知らなかったのは私だけだったようだ。新入社員研修なんていつの話だよ。そう思うけれども。
確かに私も当時しっかり聞いていたら何年経ってもそれだけは覚えていたのだろうなと思う。
つまりただ単に聞いていなかっただけなのだ。
当時の自分が情けない。悔しい限りである。
「で!どっちから告ったの!?」
「え……いや、どっちとかそういうのじゃ……」
「何々、どういうこと!?」
根掘り葉掘り聞いてくる相田に私は逃げることができない。
「今日はぜーんぶ喋ってもらうからねー!」
相田の笑顔がとても怖くて、漏れなくほとんど全部を話す羽目になってしまったのだった。
「へぇー?あの課長がねぇー?」
「……何よ」
「いやあ?何でもない」
「……」
もちろん綾人さんが超甘党だということはトップシークレット。それに関することは話していない。
しかし私の話を聞いてにやにやが止まらないらしい相田は、頬杖をついて私に意地の悪い視線を送ってくる。
……これはしばらく揶揄われそうだ。
「相田にしか言ってないんだから、誰にも言わないでよ!?」
「はーい!わかってます!」
「本当かなあ……心配だ」
「何さー、信用無いなあ」
「だって何か企んでる目してる」
「はははっ!」
面白そうに笑う相田は、
「ははっ、大丈夫。金山が本気で嫌がるようなことはしないよ」
ごめんごめん、と笑いすぎて涙目になりながら言う。
「金山は、飛成課長と離れるの嫌なんだよね」
「……うん」
「それに営業の仕事も、金山好きだもんね」
「うん」
「私も出来る限り協力するよ。二人が一緒にいられるように」
私に語りかけるようなその声のトーンはいつも通りだったから、きっと大丈夫だろう。
「……ありがとう」
お礼を言うと、嬉しそうに笑った。
「相田。ありがとう」
仕事終わりに相田と飲みに来た私は、綾人さんに許可を取った上で綾人さんと付き合うことになったことを相田に報告していた。
「でも社内恋愛が禁止だなんて全然知らなくて……」
「え!?知らなかったの!?新入社員研修であんなに忠告されたのに!?」
「……え、そうだったっけ……?」
「そうだよ!もう、金山聞いてなかったわけ!?」
「うん……。それが全く記憶に無くて……」
苦笑いする私に、相田は呆れたように溜息を吐いた。どうやら社内恋愛が禁止だと言うことを知らなかったのは私だけだったようだ。新入社員研修なんていつの話だよ。そう思うけれども。
確かに私も当時しっかり聞いていたら何年経ってもそれだけは覚えていたのだろうなと思う。
つまりただ単に聞いていなかっただけなのだ。
当時の自分が情けない。悔しい限りである。
「で!どっちから告ったの!?」
「え……いや、どっちとかそういうのじゃ……」
「何々、どういうこと!?」
根掘り葉掘り聞いてくる相田に私は逃げることができない。
「今日はぜーんぶ喋ってもらうからねー!」
相田の笑顔がとても怖くて、漏れなくほとんど全部を話す羽目になってしまったのだった。
「へぇー?あの課長がねぇー?」
「……何よ」
「いやあ?何でもない」
「……」
もちろん綾人さんが超甘党だということはトップシークレット。それに関することは話していない。
しかし私の話を聞いてにやにやが止まらないらしい相田は、頬杖をついて私に意地の悪い視線を送ってくる。
……これはしばらく揶揄われそうだ。
「相田にしか言ってないんだから、誰にも言わないでよ!?」
「はーい!わかってます!」
「本当かなあ……心配だ」
「何さー、信用無いなあ」
「だって何か企んでる目してる」
「はははっ!」
面白そうに笑う相田は、
「ははっ、大丈夫。金山が本気で嫌がるようなことはしないよ」
ごめんごめん、と笑いすぎて涙目になりながら言う。
「金山は、飛成課長と離れるの嫌なんだよね」
「……うん」
「それに営業の仕事も、金山好きだもんね」
「うん」
「私も出来る限り協力するよ。二人が一緒にいられるように」
私に語りかけるようなその声のトーンはいつも通りだったから、きっと大丈夫だろう。
「……ありがとう」
お礼を言うと、嬉しそうに笑った。
1
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】
remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。
干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。
と思っていたら、
初めての相手に再会した。
柚木 紘弥。
忘れられない、初めての1度だけの彼。
【完結】ありがとうございました‼
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
秘密 〜官能短編集〜
槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。
まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。
小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。
こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。
【R18完結】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる