冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来

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Fifth

18-1

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窓から差し込む日差しで目が覚めた時、隣には既に誰もいなくて。



「……あれ?……」



眠い目を擦り、ベッドから降りて床に落ちていた下着と服を着る。



そのまま寝室を出てそっとリビングに向かうと、お味噌汁の良い香りがした。



「……おはよう」



私の姿を見てふわりと笑った課長。



「お、おはようございます……」



と返す。


その甘い笑顔に胸焼けしてしまいそう。



「味噌汁、飲む?」


「いただきます」



ソファに促され座っていると目の前に置かれたお味噌汁。



「あ、しじみだ」


「嫌いか?」


「いえ、好きです。ありがとうございます」



きっと、昨夜お酒を飲んだからしじみのお味噌汁にしてくれたのだろう。優しさとしじみの出汁が身に染みる。


スウェット姿で私の隣にぴったりと座った課長は、ソファの背もたれに身を預けてテレビを見ていて。


お昼のニュースが流れているのを見て、



「……え!?もうお昼ですか!?」



と驚きの余り大きな声が出た。



「何を今更。もう昼過ぎだけど」


「そんなあ……せっかくのお休みだったのに寝過ぎた……」



落ち込む私に、課長は笑う。


飲み終わったお碗をシンクで水に浸す。



「食器洗っちゃって良いですか?」


「いや、そのまま置いといて」


「でも……」


「いいから」



袖を捲っていた私の腕を掴み、そのまま引かれた。


その拍子に体ごと課長の胸の中に飛び込んでしまう。



「……そんなの後でどうにでもなるから、こっち来て」



ギュッと抱き締められて耳元で囁かれる。


待って、甘い。糖度が高過ぎる。



「はっ、顔真っ赤」


「な、課長のせいでしょ!」


「だーからそれ辞めろっての」


「……綾人さんのせい、です」


「ふーん?まぁそういうことにしといてやるよ」



したり顔の課長……じゃなくて綾人さんに腹が立つ。


でもその顔がかっこいいと思ってしまうから、もっと腹が立つ。


そのままソファに促され、座った綾人さんの膝の上に向き合うように座らされて抱き締められる。


恥ずかしくて、ギュッと抱き付いた。



「……歩」


「っ!」



いきなり耳元で名前で呼ばれて、思わず肩を跳ねさせて赤面した私に綾人さんは腕を緩めるとちゅっとリップ音をたててキスをする。



「なっ……」



その一連の動作が凄く自然で、翻弄される自分が恥ずかしいやらどこか嬉しいやら、やっぱり悔しいやら。


色々な感情が混ざり合って心臓が忙しない。


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