冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来

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Forth

14-4

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「金山の良いところは沢山あって、私は同期で仲良いと勝手に思ってるし、それ以上に尊敬もしてる」


「……なんか相田にベタ褒めされると、すっごい不気味」


「私も今鳥肌立ってる」


「おい」



自分で語り始めてそれは無いだろう。でも相田は表情を変えない。



「金山の悪いところはさ、全部自分でため込むところなんだよ」


「……うん?」


「何か悩み事があっても人に相談するってことを知らない。自分で悩んでそのままため込んでため込んで、気が付く頃には爆発してる。
元彼の時もそう。私が聞かない限り話してくれないし、プロポーズされたのも振られたってのも私がしつこく聞いたから教えてくれたでしょ」


「……」



図星で、何も言えなかった。



「人に弱みを見せないのって確かに大切だよね。こういう仕事をしている以上、取引先に動揺は悟られちゃいけない。でも私達、別に競合他社じゃないし。もっと言えば会社の同僚である前にもう友達みたいなもんじゃん?」



小さく頷くと、相田はようやく表情を少し崩してくれて。


切なげに微笑んだ表情は、今まで見たことのない、相田の顔だった。



「同期だからって、友達みたいなもんだからって、何でも知りたいわけじゃないし、何でも知ってなきゃいけないわけじゃないけどさ」


「うん」


「それでも私だって、何も相談してもらえないのって流石に寂しいよ。金山が悩んでるなら力になりたいし、相談して欲しいって思ってるよ」


「……私も、相田が悩んでたら力になりたい」


「うん。ありがとう。
だからね、さっきの金山の顔見たら、私ほっとけない。何かあったなら話してよ。それとも私じゃ力不足?」



そんなことない。首を横に振ると、相田はビールをもう一度グイッと飲んで。


半分以上残っていたビールを一気に飲み干した。



「っはぁ!……さぁ、仕方ないから今日はとことん付き合ってあげるからさっさと吐きなさい!」


「……はい」



そう言えば、課長にも言われたっけ。"ほっとけない"って。


私、色んな人に心配かけてたのかな。


相田にこの気持ちを初めて打ち明ける。思いの外スラスラと飛び出した言葉は、全て相田が受け止めてくれて。


相田と初めて腹を割って話せた気がした。


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