冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来

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いつもの不快なアラーム音はいつもより早い時間にセットされていた。


今日も安定的に不快な音で起こされた私は、なんだかんだ何事も無く普通に寝た自分に何とも言えない複雑な気持ちを抱えながら起きた。


課長はまだ寝ているようで、隣のベッドで規則正しい寝息を立てている。


スマホで時間を確認するとまだ朝の5時。ちょっと早すぎたか。


もう一度広いお風呂に入ってこようかな。


そう思ってデスクの上に一応書き置きを残して大浴場へ向かった。


書き置きはしたけれど、できるだけ早く戻ろう。


そう思ってたどり着いた朝の大浴場は予想に反して誰もいなくて。


広いお風呂でのんびりと足を伸ばす。


朝風呂を堪能して部屋に戻った頃には6時になっていた。


どうやらまだ課長は寝ているようで、書き置きの紙をゴミ箱に捨てて今の内にと洗面スペースでスーツに着替えてメイクをする。


それでもまだ起きていなくて、そろそろ起きないと午前のアポに間に合わなくなるため起こすことにした。



「……かちょー、起きてください。朝ですよ」



枕元で布団の上からトントンと叩いてみるものの、寝息は変わらない。


まさか上司をバシバシと叩き起こすわけにもいかない。それは最終手段だ。


どうしたものか。そう思って課長の寝顔を見つめる。



……本当綺麗な顔。



寝顔ですら綺麗なのがわかる。何がどうなったら寝顔もこんなイケメンになれるのか。


昔友達に見せられた自分の寝顔の写真を思い出して勝手に落ち込んだ。


……って、そんなことはどうでも良くて。


とりあえず起こさないと。



「課長、起きてください」



申し訳ないとは思いつつも布団の中に手を入れて肩を揺する。そしてどうしても好奇心が勝ってしまい、その綺麗な顔を指で突いてみる。


プニプニだ。気持ち良い。


それでも眉間が少し動いただけで起きる様子は無い。


この人は一体何時まで仕事していたのか。


ふぅ、と溜息を吐いた。



「かちょー……起きてー……」



腕時計とにらめっこしながら課長の寝顔を見つめる。


うっすらと空いた唇、毛穴一つ無いつるつるの肌。閉じた瞼から伸びる長い睫毛とキリッとした眉毛。


見れば見るほど綺麗で、かっこいい。


思わず伸ばした手は、頬を撫でる。


思っていたよりも温かく、触り心地が良い。


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