冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来

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「まずどの店で買おうか」


「私、毎年ここのパフェを食べてるんです。行ってもいいですか?」


「あぁ。行こう」



顔の赤みが落ち着くよりも先に、甘い香りに誘われるように私のお腹が情けない音を奏でた。


それに小さく笑った課長の腕を引っ張り、無理矢理中に入った私達。


パンフレットを見つめ、指差したお店に向かってあんみつパフェを買った。



「どうせならシェアして色んなの食べませんか?」



提案して、なんだかそれってカップルみたい、だなんて思って一気に恥ずかしくなる。


しかし課長はそんなこと全く気にしていないのか



「そうだな、そうしよう」



とスプーンを二つ貰ってくれた。


イチゴ大福や抹茶ケーキ、色々な和スイーツを手に、イートインの端の席に腰掛けて広げる。



「ちょっと買いすぎましたかね?」


「いいんじゃないか?すぐ食べ切れるだろ」



課長の言葉通り半分ずつにして食べたため、ものの十五分程で全部完食してしまった私達は、それから何回かお店を回って気になるスイーツを食べ尽くした。



「ビュッフェとかバイキングも良いですけどこういうのもやっぱり楽しいですね」


「あぁ、気に入った店も見つかったし、満足だ」



デパートを出た私達は、大満足で街中を歩いていた。


時刻は十五時。たっぷり二時間もスイーツを堪能していたらしい。



「この後どうします?」


「そうだな……折角だし、どこか行きたい所は無いか?」


「行きたい所ですか?」



どこかあったかな?と悩む私を横目に、綾人さんは



「何か買いたいものとか、見たいものとか無いのか?」



と問うてくる。


いきなりそんなことを言われても。そう思いつつも、歩きながらポヤーっと辺りを見回していると。


目に入った一つの看板。



「か……じゃなかった綾人さん、私あれ見たいです!」


「……映画か?」


「はい、あのシリーズ大好きで、新作ずっと楽しみにしてたんです!そういえばついこの間公開なの忘れてました」



シリーズ物の最新作。アクションシーンが有名な洋画。世界中にファンが沢山いて、皆が待ち望んでいた新作だ。


課長が良いなら見に行きたい、と言うと



「じゃあこれ見に行くか」



とすぐに了承してくれて。



「俺もこのシリーズは好きなんだ。奇遇だな」


「え、そうなんですか!?わー、嬉しいです!」



また共通の話題が増えたと思って、嬉しくなった。
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