年上幼馴染の一途な執着愛

青花美来

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*****

「まさかだなあ。結局お前らがくっつくなんて」

「ふふ、それ会うたびに言ってない? こんな日まで言わないでよお兄ちゃん」

「いやだって……。初対面で喧嘩した二人が結婚だぞ? まさかだろ」

「うるせぇよ星夜。俺の一途な想いが報われたんだ。もっと喜べ」

「自分で言うか? まぁ、日向の友達としては喜んでるよ。引くほど拗らせてたのも知ってるし。だけどユウの兄としてはやっぱ複雑なものがあるだろ?」

「なんでだよ素直に喜んでくれよ」


────日向からのプロポーズに頷いてから、早いもので約一年の月日が経過していた。

今日は、私と日向の結婚式が行われる。

新婦の控室までやってきたお兄ちゃんと日向が、私の前でくだらない言い合いをしているのを眩しく眺める。
日向と再会して付き合うようになって一年半ほど。
まさかこんな早くに私も結婚することになろうとは。


「そもそも"結婚前提に付き合い始めました"報告からマジで結婚するまでが早すぎんだよ。俺ら家族の心ついていかないから。日向ふざけんなと思ってるから」

「それは本当に申し訳ないと思ってる。だけどこればっかりは俺も予想外だった」

「いきなり"妊娠しました、結婚します"って言われて俺らがどれほど驚いたか。しかも俺んとこより早く産まれるとかなんなんだよふざけんな。……でも、ちゃんとユウとお腹の子どものこと、幸せにしてやってくれよ」

「当たり前。誰よりも幸せにする所存ですのでご安心を。お義兄様」

「うわ、今ゾワっとした。え、今日からお前俺の弟なの? うわぁ……なんか気持ち悪りぃ」

「厳密に言えばもう籍は入れてるからすでに俺はお前の弟だ」

「いやあ……改めてそう言われるとすっごい複雑」

「失礼だなオイ」


お兄ちゃんが複雑になるのも無理はない。
私は今、日向との赤ちゃんを身ごもっているのだから。

両親とお兄ちゃんに日向とのことを報告してから、妊娠がわかるまでは半年くらいだった。
結婚を前提としたお付き合いをしていると報告はしていたものの、まさかそれより早くに妊娠するなど全く思っていなかったからかなりバタバタしていた。


「ユウ、体調は大丈夫か?」

「うん、大丈夫。美春さんは?」

「美春はまだちょっとつわりがあってな……。時間までちょっと休んでるって」

「そっか、大丈夫かな……」

「もしなんかあったら俺もすぐ行くし、お前らは安心して自分のことだけ考えてろ。今日の主役はお前らなんだから」

「ありがとうお兄ちゃん」


美春さんも妊娠しており、私たちの子どもは同級生の従兄弟同士になる予定だ。
私は今妊娠五ヶ月で、美春さんが四ヶ月。
産まれてくるのが今からすごく楽しみだ。

今日の式は私のお腹に負担がかからないように挙式だけを予定している。
親族のみで挙式を行い、そのままレストランで食事を楽しむ予定だ。
お兄ちゃんにも相談したところ、美春さんはつわりもあるためありがたいと言ってくれて決定した。

会場に向かうお兄ちゃんを見送り、私は日向と向かい合う。


「……夕姫、綺麗だよ」

「ありがとう。日向もかっこいいよ。タキシード、似合ってる」

「ありがとう」


今日のために妊娠中でも着れるウェディングドレスを用意しておいてよかった。

日向と二人、一生忘れられない思い出がまた一つ増えるだろう。


「夕姫」

「ん?」

「俺と結婚してくれてありがとう。あの日俺と出会ってくれてありがとう。俺を好きになってくれてありがとう。今、俺は世界一の幸せ者だ」

「それを言うなら私の方だよ。あの日私を見つけてくれてありがとう。守ってくれてありがとう。ずっと一途に思い続けてくれてありがとう。私の気持ちを受け止めてくれてありがとう。……これからも、よろしくね」

「あぁ。お腹の子と一緒に一生をかけて幸せにするよ」

「日向……ありがとう」

これからも、一つ一つ大切な思い出を積み重ねていこう。
これからは二人でじゃなくて、三人で。
たくさんの幸せで溢れるように。

「夕姫、愛してるよ」

「私も。日向を愛してる」


End.
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