23 / 30
*****
23
しおりを挟む
「今日からテストだね」
「さすがに教えてもらっておいて点取れませんじゃ笑えないから頑張るよ」
「うん。一緒に頑張ろう」
この学校では夏休みが終わるとすぐに中間テストが始まる。
始業式から数日後、今日がまさにその中間テストの初日だ。
珍しく早起きしたから、と登校途中に出会い、二人で並んで歩く。
学校に近づくにつれて相変わらず視線は飛んでくるけれど、誰もわたしたちに話しかけてくることはなかった。
「はいじゃあまずは数学からー。まず解答用紙から配るからなー」
教科担任の声に、教室中から緊張を感じる。
前の席の子がわたしに解答用紙を渡してくれる。
それを受け取ろうと手を伸ばすと、手が触れた瞬間にパッと離されてしまい、わたしたちの間に音を立てて落ちてしまった。
「あ……!」
「おーい、そこどうした?」
「あ……すみません、解答用紙落としちゃって」
「ちょっと待ってろー、今取りに行くから」
教室中の視線を集めてしまった。
前の席の女の子は、わたしとは関わりたくないのかすぐに前を向いてしまっている。
おそらく周りからはわたしが一人で手を滑らせて落としてしまったように見えてしまっているのだろう。
それにちくりと胸が痛みながらも、先生が拾ってくれた用紙を受け取る。
「じゃあ次は問題用紙配るからなー」
次はちゃんと受け取ることができたけれど、やはり前の席の子はわたしとは目も合わせないようにしているようだった。
テスト自体は、比較的落ち着いて挑めたと思う。
湊くんに教えることが多かったからか、わたしも改めて知識として身についたようで一学期の期末テストよりもスラスラ解ける問題も多かった。
二日に分かれたテストは体力も精神力も削られていったけれど、終わった後に
「千春ちゃん、教えてもらったところ出た!解けたよ!」
と湊くんが嬉しそうに喜んでくれるから、さっきまでのもやもやした気持ちやちくりとした胸の痛みなんてどこかへ飛んでいく。
頑張ってよかったと思えた。
「さすがに教えてもらっておいて点取れませんじゃ笑えないから頑張るよ」
「うん。一緒に頑張ろう」
この学校では夏休みが終わるとすぐに中間テストが始まる。
始業式から数日後、今日がまさにその中間テストの初日だ。
珍しく早起きしたから、と登校途中に出会い、二人で並んで歩く。
学校に近づくにつれて相変わらず視線は飛んでくるけれど、誰もわたしたちに話しかけてくることはなかった。
「はいじゃあまずは数学からー。まず解答用紙から配るからなー」
教科担任の声に、教室中から緊張を感じる。
前の席の子がわたしに解答用紙を渡してくれる。
それを受け取ろうと手を伸ばすと、手が触れた瞬間にパッと離されてしまい、わたしたちの間に音を立てて落ちてしまった。
「あ……!」
「おーい、そこどうした?」
「あ……すみません、解答用紙落としちゃって」
「ちょっと待ってろー、今取りに行くから」
教室中の視線を集めてしまった。
前の席の女の子は、わたしとは関わりたくないのかすぐに前を向いてしまっている。
おそらく周りからはわたしが一人で手を滑らせて落としてしまったように見えてしまっているのだろう。
それにちくりと胸が痛みながらも、先生が拾ってくれた用紙を受け取る。
「じゃあ次は問題用紙配るからなー」
次はちゃんと受け取ることができたけれど、やはり前の席の子はわたしとは目も合わせないようにしているようだった。
テスト自体は、比較的落ち着いて挑めたと思う。
湊くんに教えることが多かったからか、わたしも改めて知識として身についたようで一学期の期末テストよりもスラスラ解ける問題も多かった。
二日に分かれたテストは体力も精神力も削られていったけれど、終わった後に
「千春ちゃん、教えてもらったところ出た!解けたよ!」
と湊くんが嬉しそうに喜んでくれるから、さっきまでのもやもやした気持ちやちくりとした胸の痛みなんてどこかへ飛んでいく。
頑張ってよかったと思えた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
トウシューズにはキャラメルひとつぶ
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。
小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。
あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。
隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。
莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。
バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。
わたしたちの恋、NGですっ! ~魔力ゼロの魔法少女~
立花鏡河
児童書・童話
【第1回きずな児童書大賞】奨励賞を受賞しました!
応援して下さった方々に、心より感謝申し上げます!
「ひさしぶりだね、魔法少女アイカ」
再会は突然だった。
わたし、愛葉一千花は、何の取り柄もない、フツーの中学二年生。
なじめないバスケ部をやめようかと悩みながら、掛けもちで園芸部の活動もしている。
そんなわたしには、とある秘密があって……。
新入生のイケメン、乙黒咲也くん。
わたし、この子を知ってる。
ていうか、因縁の相手なんですけどっ!?
★*゚*☆*゚*★*゚*☆*゚*★
わたしはかつて、魔法少女だったんだ。
町をねらう魔物と戦う日々――。
魔物のリーダーで、宿敵だった男の子が、今やイケメンに成長していて……。
「意外とドジですね、愛葉センパイは」
「愛葉センパイは、おれの大切な人だ」
「生まれ変わったおれを見てほしい」
★*゚*☆*゚*★*゚*☆*゚*★
改心した彼が、わたしを溺愛して、心をまどわせてくる!
光と闇がまじりあうのはキケンです!
わたしたちの恋愛、NGだよね!?
◆◆◆第1回きずな児童書大賞エントリー作品です◆◆◆
表紙絵は「イラストAC」様からお借りしました。
甘い香りがする君は誰より甘くて、少し苦い。
めぇ
児童書・童話
いつもクールで静かな天井柊羽(あまいしゅう)くんはキレイなお顔をしていて、みんな近付きたいって思ってるのに不愛想で誰とも喋ろうとしない。
でもそんな天井くんと初めて話した時、ふわふわと甘くておいしそうな香りがした。
これは大好きなキャラメルポップコーンの匂いだ。
でもどうして?
なんで天井くんからそんな香りがするの?
頬を赤くする天井くんから溢れる甘い香り…
クールで静かな天井くんは緊張すると甘くておいしそうな香りがする特異体質らしい!?
そんな天井くんが気になって、その甘い香りにドキドキしちゃう!
オタわん〜オタクがわんこ系イケメンの恋愛レッスンをすることになりました〜
石丸明
児童書・童話
豊富な恋愛知識をもち、友人からアネゴと呼ばれる主人公、宮瀬恭子(みやせきょうこ)。けれどその知識は大好きな少女漫画から仕入れたもので、自身の恋愛経験はゼロ。
中二で同じクラスになった、みんなのアイドル的存在である安達唯斗(あだちゆいと)から、好きな人と仲良くなるための「恋愛レッスン」をして欲しいと頼まれ、断りきれず引き受ける。
唯斗はコミュニケーション能力が高く、また気遣いもできるため、恭子に教えられることは特になかった。それでも練習として一緒に下校などするうちに、二人は仲を深めていった。
恭子は、あどけない唯斗のことを「弟みたい」だと感じ、惹かれていくが……。
初恋の王子様
中小路かほ
児童書・童話
あたし、朝倉ほのかの好きな人――。
それは、優しくて王子様のような
学校一の人気者、渡優馬くん。
優馬くんは、あたしの初恋の王子様。
そんなとき、あたしの前に現れたのは、
いつもとは雰囲気の違う
無愛想で強引な……優馬くん!?
その正体とは、
優馬くんとは正反対の性格の双子の弟、
燈馬くん。
あたしは優馬くんのことが好きなのに、
なぜか燈馬くんが邪魔をしてくる。
――あたしの小指に結ばれた赤い糸。
それをたどった先にいる運命の人は、
優馬くん?…それとも燈馬くん?
既存の『お前、俺に惚れてんだろ?』をジュニア向けに改稿しました。
ストーリーもコンパクトになり、内容もマイルドになっています。
第2回きずな児童書大賞にて、
奨励賞を受賞しました♡!!
【完結】落ちこぼれと森の魔女。
たまこ
児童書・童話
魔力が高い家系に生まれたのに、全く魔力を持たず『落ちこぼれ』と呼ばれるルーシーは、とっても厳しいけれど世話好きな魔女、師匠と暮らすこととなる。
たまにやって来てはルーシーをからかうピーターや、甘えん坊で気まぐれな黒猫ヴァンと過ごす、温かくて優しいルーシーの毎日。
原田くんの赤信号
華子
児童書・童話
瑠夏のクラスメイトで、お調子者の原田くん。彼は少し、変わっている。
一ヶ月も先のバレンタインデーは「俺と遊ぼう」と瑠夏を誘うのに、瑠夏のことはべつに好きではないと言う。
瑠夏が好きな人にチョコを渡すのはダメだけれど、同じクラスの男子ならばいいと言う。
テストで赤点を取ったかと思えば、百点満点を取ってみたり。
天気予報士にも予測できない天気を見事に的中させてみたり。
やっぱり原田くんは、変わっている。
そして今日もどこか変な原田くん。
瑠夏はそんな彼に、振りまわされてばかり。
でも原田くんは、最初から変わっていたわけではなかった。そう、ある日突然変わり出したんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる