最強の奴隷

よっちゃん

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対決

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2人は個々に、身体を囲うように円形のバリアを張りながら、地下中央にある魔吸水タンクの中央の入り口のバルブを開けて下へと急速に進んでいく。

黒みがかった紫色の魔吸水は、辺りの視界が悪く、その先に何があるのかも皆目検討もつかなくさせた。

しかし、かなり下まで降りて行ったところで、魔力を発する黄色い四角型の強力なバリアが張られた空間に辿り着いた。


陛下は自分の周りに張った円形バリアと、四角いバリアガードをくっ付けて隙間をなくし、炎魔法でバリアを円形に貫いて中へ入り、魔吸水が入らないように内部へと侵入した。

彼女は高度魔法により、円形バリアを張ったまま、円形バリアに光沢の光を発せながら四角いバリアをそのまますり抜けていった。

四角いバリアの中は、広大な敷地が広がっており、青い絨毯が真っ直ぐと伸びた先には、ガーゼア国王が王座にドンと構えて座っていた。


ガーゼア国王は、通常の人間サイズの10倍程はあり、髪の毛は白髪のロン毛で筋肉質で焼けた肌に白い歯と、年齢不詳の大男であった。


ガーゼア国王の周囲には更に強力なバリアがされており、一筋縄で破れないような高度防御魔法が施されていた。


「いつかやって来るとはわかっていたが、まさかこんなに早くに乗り込んでくるとはな。わたしのロケット作戦も台無しにして、地上に帰れるとは思うなよ。」

ガーゼア国王の太く重たい声が、敷地内に響き渡る。

陛下と彼女はバリアを張ったまま、ガーゼア国王や周囲の様子を伺いながら、接近をしていく。

ガーゼア国王はゆっくりと王座から立ち上がり、指パッチンをすると、王座の後ろにある垂れ幕が上がっていき、約2万名ほどの個々に生命維持装置内に入れられている陛下の兵士たちの姿が露わになった。

兵士たちは魔吸水内の水槽に入れられており、高さは50メートルほどの巨大な水槽に浸されていた。

陛下と彼女は、足を止めてガーゼア国王の後ろの水槽内に目をやる。

「おーい。先に忠告しておくぞ。わたしとこの後ろの水槽はチューブで繋がれている。お前のところの兵士は言わば全員が人質かつ、いつでもわたしの好きな時にわたしのエネルギー源にできる。」


「…ってめぇ。」


陛下は魔力を増幅させて、攻撃体制に入るが、ガーゼア国王は陛下の目の前で、水槽内手前の生命維持装置に入っている10名ほどの兵士の身体を爆発させ、生命維持装置内で内臓と血液と骨などが散乱しながら浮遊する姿を目の当たりにさせる。


「お前がわたしのバリアを破り、わたしに攻撃があたる前に、わたしはお前の兵士全員を一瞬で消せるのだぞ。」


ガーゼア国王が、高笑いをしながら大きな肉体で胸を張り、陛下の事を見下すように見る。


「そこにひれ伏せよ。さもなくば、お前の兵士は一瞬にして、木っ端微塵よ。」


陛下は怒りを浸透させながらも、血塗れで浮かぶ生命維持装置10箱を見つめなが ら、ギュッと拳を握りしめる。


そして考えを巡らせながらも、ガーゼア国王の前に片膝を落とす。

「よし。いいだろう。お前を殺すことをどれ程心待ちにしてきたことか。お前の兵士たちの目の前で、お前のことを抹消するとしよう。」


そう言ってガーゼア国王は、水槽内に浮かぶ生命維持装置に繋がれた兵士たちを覚醒させた。

兵士たちは意識を戻すやいなや、目の前の現状に驚愕する。

ガーゼア国王は、生命維持装置内と陛下たちのいる空間のスピーカーを繋ぎ、兵士たちの声を空間内に響き渡せる。

「よーく見るがいい。お前らの国王は、お前らの身を案じて死にゆくのだ。まぁ、お前を殺した後で、此奴らを殺さないという保証はできぬがな。」


そう言い放つガーゼア国王を、陛下はキッと睨みつける。

「おおっと!攻撃はするなよ。此奴らの死ぬ時間が早まるぞ。」

そう言ってガーゼア国王は、水槽内にいる兵士10名をまた爆破させて殺してみせる。

死にゆく兵士の悲痛な叫び声が、空間内に響き渡る。

『陛下!わたしたちのことは気にせず、そやつを殺してください!』

そう言った幾つもの兵士たちの声が、スピーカーを通して陛下の耳に届く。

しかし、陛下は動こうとはせずに、漆黒に帯びた殺気のオーラを身体から放ちながら、歯を噛みして考えを巡らせる。

「んー??」

ガーゼア国王は、陛下の隣にいる彼女の存在に遅らせながらも気付く。

「お前の隣にいるのは女か?」

物々しい形相で、ガーゼア国王は彼女を見つめると、ガッハッハと大笑いをしながら王座に腰をかける。

「こんな窮地に、奴隷を連れてくるとはな!」

そして、陛下を睨みつける。

「どこまでも馬鹿にしよって!」

水中内にいる兵士たちの視線が一斉に彼女に集まる。

兵士たちは最強の奴隷である彼女という存在に気づき、一斉に『陛下を助けてください!』と声を挙げる。

スピーカー越しに耳にする兵士たちの言葉に、ガーゼア国王は違和感を覚える。

「魔力を持たない奴隷ごときが、この場を打破できるわけがなかろう。なんとも愚かな奴どもめ。2人合わせて跡形もなく抹消させてやる。」


そう言って、四角いバリアの内側天井につけられている、レーザービームを出す攻撃装置が、2人の方へと向けられる。

その時だったー。

「ちょっ、ちょっと待て!」

そう声を張り上げて静止をさせながら、ガーゼア国王の隣脇の空中から、ワープを使って、ガーゼア国王の側近である小さな男が、いきなり出現してきた。

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