ここのサキには

環流 虹向

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昨日もまた言いそびれちゃった。

そんな私の口はあなたに塞がれて、私の栄養になる液体を中に出される。

「ね…さん…っ、もういいって…。」

そう言って私の顔を自分の腰から遠ざけようとする私の大好きな日向 一ひゅうが ひとは少し焦った様子で私の顔を持ち上げようとするけど、私はそのまま垂れた栄養剤を舐めとる。

一「も、もぅ、いいって…っ。くすぐったい…。」

 と、恥ずかしそうに腰を跳ねさせる一に私はまた好きを募らせてしまうのを止めるため、口を離しそのまま抱きついてベッドに倒れる。

一「また姐さんに搾り取られた…。」

「姐さんじゃないでしょ。」

一「…雅紀まさき。」

雅紀「うん。それでいい。」

私は自分のことを女として見てほしくないがために、ずっと一だけに呼んでもらっていた『姐さん』を辞めてもらうのをここ半年近くやっていたけど一も頑固でなかなか抜けない。

そつやってお互い頑固だからこの関係をずるずる続けちゃっていたけど、そろそろ終わらせなきゃ。

雅紀「一、学校は?」

一「もう冬休み。姐さんはこれから一眠り?」

そう言って一は重そうな腕を私の腰に回し、お互いの体を密着させ鼻にキスをして満足そうに微笑む。

その笑顔に私はキスをしたくなっても自分からするのは昨日辞めた。

…はずだけど、あと1回だけ。

私は自分の味がする一とのキスをして一度頷く。

一「じゃあ一緒に寝よ。で、晩飯は音己ねこねぇとね。」

雅紀「…音己は本当にいいって言ってるの?」

音己は一が好き。

一は音己が大切。

私は一が好きで、音己はトラウマを克服してくれた“いい人”。

その関係性はそのままにしたいけど、一は私と音己をくっつけたいみたい。

けど、まだ女性と付き合う覚悟は持てないし、そんなことされるならこのまま2人が知らないうちに消えちゃいたいとも思ってしまう。

一「姐さんがクリパ来れるか分からないって言ったら早めにプレゼント渡したいって。サプライズって言ってたからちゃんと驚いてね。」

雅紀「そうだったんだ…。じゃあ私も今日音己にプレゼント渡そう。」

一「うん。まあパーティーは夜通しやってるはずだから来れそうだったら来てね。」

雅紀「分かった。出来るだけ頑張ってみる。」

一「まあ、俺は姐さんと2人で過ごしたかったけどね。」

と、一は自分だけ欲張りを言っておやすみと呟き目を瞑った。

私は自分もと言いたかった口を閉じ、おやすみのキスの代わりに一が幼い時に作ってしまった額の傷を撫でるように手を添え、そのまま眠りについた。


環流 虹向/ここのサキには
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