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慾末
欠意
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鍵を渡されたけどやっぱりインターフォンを鳴らしたい私は前と同じく指先でボタンを押した。
すると少しの間があった後、扉が開いた。
ケイ「…鍵、渡したじゃん。」
少し、不機嫌そうで寝ぼけ眼の顔。
優愛「忘れてた。」
ポケットの中で温まった鍵をケイさんに返すと睡眠を妨害されたケイさんは寝癖がついた頭を見せ、すぐに部屋に向かった。
私はそっと鍵を閉めて現実とこの空間を遮断してからケイさんがいるベッドの隣にある座椅子に座った。
数ヶ月ぶりに来たけどなんにも変わってない。
日用品とか小物の配置は所々違うけど、テレビだけの灯りとタバコの匂いとどこかチクッとする匂いがケイさんの家に来たっていう高揚感をくすぐる。
ケイ「俺は忙しいの終わったけど、優愛は?」
ぽちぽちと最近流行ってるゲームを進めてるケイさんは久しぶりに私の名前を呼んでくれた。
優愛「んー…、ぼちぼち…?」
全く忙しくないけど、暇人と思われるのも嫌で適当に答えるとケイさんはふーんと鼻を鳴らしたがほぼため息のように空気を吐いた。
ケイ「次、大学?」
優愛「え?うん。」
ケイ「大学生、意外と暇って知ってた?」
優愛「…まあ、休み多いのは知ってる。」
なんか、今、私…、質問攻めされてる…?
私は少し前より世間話が多めなケイさんに戸惑いつつ、目の前に出されたお茶をちびちび飲んでいるとケイさんはいつ開けたのか気になるお茶のペットボトルを渡してくれた。
前にこんな手厚い対応されてたっけ?と記憶を呼び起こしているときゅっと手を引かれてそのままベッドに引きずり込まれた。
ケイ「会ってない間、なにしてた?」
ケイさんの上に乗せられた私は温かい指先が動くまま服を脱がされる。
優愛「勉強とバイトとテストかな。」
ケイ「遊んでないの?」
ブラの上のレースを指先でなぞり私の様子を伺うケイさんだけど、私はケイさんの顔を見てもなにを考えてるか分からない。
優愛「んー…まあ、この間七星ちゃんとカラオケしたくらい?」
ケイ「そう。」
少し不満げな声を漏らしたケイさんはするっとフォックを外し、少し肉がついた私の体を検査するかのように指を滑らしては手のひらで肌を包み込む。
いつもは気持ちが赴くがまま始めるのに今日は焦らし散らかしたいのかもしれない。
優愛「…ちゅーしよー。」
私は10分近くずっと眉にしわを寄せてるケイさんに唇を近づけるとケイさんはそっぽを向いた。
ケイさんの横顔、改めて見るとやっぱり綺麗で見とれちゃうけど今日はずっと私を見てほしい。
自分の手でケイさんの顔を真正面に戻し、無理矢理唇をくっつけると今までにないくらい私を求めるキスをしてくれたケイさんはスリスリと私を自分に乗せたまま起き上がり座った。
ケイ「俺と会ってない時、どのくらい遊んでた?」
私はその質問に心臓をチクリと刺されたけど、煮え切らない質問だから意地悪をした。
優愛「んー…、4人くらい?」
遊んだことのある人をパッと頭で思い浮かべられたのが4人。
七星ちゃん、智さん、桃樹さん、白波さん。
ケイ「へー、意外と多いね。」
優愛「意外といるよー。」
どう解釈されてるか知らないけど、もういいもん。
だって、彼女いるし。
今日で最後って思って来たし。
ケイ「俺は2人かな。」
質問してないのに余計なことを答えるケイさんの前で私は心臓が張り裂けそうになる。
ケイ「けど、今は優愛だけ。」
聞かなくてよかったことをいちいち言い始めたケイさんはまた私を求めるキスをしてくれる。
けど、もう信じられないよ。
私はケイさんが無駄に喋らないように自分から口を塞ぎに行くと、ケイさんはそれを嫌そうにして私をベッドに押し付けて自分が思うがままに体を動かす。
それで良かったのに。
最後にそれだけで良かったのに。
ケイ「俺のこと、好き?」
私の中で体温を高めるケイさんはキス手前の口で聞いてきた。
優愛「…好き。」
本当に好き、でした。
好きだけど、もう今はケイさんが言う好きじゃない。
今日でさよなら。
私の好きを食べたケイさんはとても満足そうだけど、私は久しぶりにぎゅっと悲しいのが体を吹き抜けた。
泊まればいいのにというケイさんに首を振って、春休みはなにするのという質問に首を傾げて、大あくびをするケイさんに手を振ると珍しく玄関までついてきた。
優愛「じゃあね。」
ケイ「卒業したら…」
と、私と声が被ったケイさんはなにかまだ言葉を出そうとしたけど、私がさよならの手を上げた瞬間、口を閉じてしまった。
聞き返したい。
けど、もう気持ちぐちゃぐちゃにされたくない。
私はケイさんの部屋の匂いと2人の匂いがついている髪の毛を軽く整えて、言葉を続けてくれなかったケイさんに手を振って扉を自分から閉めた。
環流 虹向/愛、焦がれ
すると少しの間があった後、扉が開いた。
ケイ「…鍵、渡したじゃん。」
少し、不機嫌そうで寝ぼけ眼の顔。
優愛「忘れてた。」
ポケットの中で温まった鍵をケイさんに返すと睡眠を妨害されたケイさんは寝癖がついた頭を見せ、すぐに部屋に向かった。
私はそっと鍵を閉めて現実とこの空間を遮断してからケイさんがいるベッドの隣にある座椅子に座った。
数ヶ月ぶりに来たけどなんにも変わってない。
日用品とか小物の配置は所々違うけど、テレビだけの灯りとタバコの匂いとどこかチクッとする匂いがケイさんの家に来たっていう高揚感をくすぐる。
ケイ「俺は忙しいの終わったけど、優愛は?」
ぽちぽちと最近流行ってるゲームを進めてるケイさんは久しぶりに私の名前を呼んでくれた。
優愛「んー…、ぼちぼち…?」
全く忙しくないけど、暇人と思われるのも嫌で適当に答えるとケイさんはふーんと鼻を鳴らしたがほぼため息のように空気を吐いた。
ケイ「次、大学?」
優愛「え?うん。」
ケイ「大学生、意外と暇って知ってた?」
優愛「…まあ、休み多いのは知ってる。」
なんか、今、私…、質問攻めされてる…?
私は少し前より世間話が多めなケイさんに戸惑いつつ、目の前に出されたお茶をちびちび飲んでいるとケイさんはいつ開けたのか気になるお茶のペットボトルを渡してくれた。
前にこんな手厚い対応されてたっけ?と記憶を呼び起こしているときゅっと手を引かれてそのままベッドに引きずり込まれた。
ケイ「会ってない間、なにしてた?」
ケイさんの上に乗せられた私は温かい指先が動くまま服を脱がされる。
優愛「勉強とバイトとテストかな。」
ケイ「遊んでないの?」
ブラの上のレースを指先でなぞり私の様子を伺うケイさんだけど、私はケイさんの顔を見てもなにを考えてるか分からない。
優愛「んー…まあ、この間七星ちゃんとカラオケしたくらい?」
ケイ「そう。」
少し不満げな声を漏らしたケイさんはするっとフォックを外し、少し肉がついた私の体を検査するかのように指を滑らしては手のひらで肌を包み込む。
いつもは気持ちが赴くがまま始めるのに今日は焦らし散らかしたいのかもしれない。
優愛「…ちゅーしよー。」
私は10分近くずっと眉にしわを寄せてるケイさんに唇を近づけるとケイさんはそっぽを向いた。
ケイさんの横顔、改めて見るとやっぱり綺麗で見とれちゃうけど今日はずっと私を見てほしい。
自分の手でケイさんの顔を真正面に戻し、無理矢理唇をくっつけると今までにないくらい私を求めるキスをしてくれたケイさんはスリスリと私を自分に乗せたまま起き上がり座った。
ケイ「俺と会ってない時、どのくらい遊んでた?」
私はその質問に心臓をチクリと刺されたけど、煮え切らない質問だから意地悪をした。
優愛「んー…、4人くらい?」
遊んだことのある人をパッと頭で思い浮かべられたのが4人。
七星ちゃん、智さん、桃樹さん、白波さん。
ケイ「へー、意外と多いね。」
優愛「意外といるよー。」
どう解釈されてるか知らないけど、もういいもん。
だって、彼女いるし。
今日で最後って思って来たし。
ケイ「俺は2人かな。」
質問してないのに余計なことを答えるケイさんの前で私は心臓が張り裂けそうになる。
ケイ「けど、今は優愛だけ。」
聞かなくてよかったことをいちいち言い始めたケイさんはまた私を求めるキスをしてくれる。
けど、もう信じられないよ。
私はケイさんが無駄に喋らないように自分から口を塞ぎに行くと、ケイさんはそれを嫌そうにして私をベッドに押し付けて自分が思うがままに体を動かす。
それで良かったのに。
最後にそれだけで良かったのに。
ケイ「俺のこと、好き?」
私の中で体温を高めるケイさんはキス手前の口で聞いてきた。
優愛「…好き。」
本当に好き、でした。
好きだけど、もう今はケイさんが言う好きじゃない。
今日でさよなら。
私の好きを食べたケイさんはとても満足そうだけど、私は久しぶりにぎゅっと悲しいのが体を吹き抜けた。
泊まればいいのにというケイさんに首を振って、春休みはなにするのという質問に首を傾げて、大あくびをするケイさんに手を振ると珍しく玄関までついてきた。
優愛「じゃあね。」
ケイ「卒業したら…」
と、私と声が被ったケイさんはなにかまだ言葉を出そうとしたけど、私がさよならの手を上げた瞬間、口を閉じてしまった。
聞き返したい。
けど、もう気持ちぐちゃぐちゃにされたくない。
私はケイさんの部屋の匂いと2人の匂いがついている髪の毛を軽く整えて、言葉を続けてくれなかったケイさんに手を振って扉を自分から閉めた。
環流 虹向/愛、焦がれ
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