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慾深
集団
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クリスマスイブ。
愛が生まれた日。
愛をお祝いする今日。
そんな日に結婚式をする元家庭教師のミサさんは、今まで見た中で1番綺麗。
やっぱり、医療系じゃなくてブライダルに進みたい。
将来が決まってからやりたいことが溢れ出す自分にちょっと嫌気がさし、鼻で笑うと保護者役の白波さんが私のドレスの襟元を直した。
白波「もう疲れた?」
優愛「可愛くなるのって結構大変なの。」
白波「その手間をすこーしでも省くためにパーマ当てたんだけどね。」
と、白波さんは私のセットを直すように毛先を指に巻いて私がヘマしたくびれボブを手直ししてくれる。
優愛「にしてもこれ、いつまで並べばいいの?」
私は友達が多いミサさんと旦那さんが呼んだ参列者の最後尾付近に並び、いつまでたっても進まない列の向こうを見るけど人が壁になって見えない。
白波「会費を渡すから時間かかるんだよ。」
そう言って白波さんは自分の胸ポケットから豪華な飾りがついた封筒を取り出した。
優愛「会費高いぃ。並ぶのめんどくさいぃ。」
いつもは履かないピンヒールの10㎝パンプスに足が疲れ始めたので、久々に駄々をこねていると白波さんは私の隣にあった自分の腕を出し、体重をのっけていいよと言わんばかりにぽんぽんと指で叩いた。
それを見た私は200人近い赤の他人の背後で白波さんの腕に抱きつき、疲れた足を休ませていると20分近く待ち、やっとのことで私たちの番が回ってきたので会費を渡し、名前を書いて会場に入ると初めて見る豪華なパーティ会場に疲れが吹き飛ぶ。
白波「席はここね。」
と、白波さんはど真ん中にあるテーブルを指し、私を案内してくれた。
優愛「なにこれ、可愛い…!」
私はおもちゃ箱を逆さまにしたようなテーブルセットに心踊らせながら席に着き、大きな扉からミサさんが来るのを待っていると隣でシャッター音が聞こえた。
優愛「…勝手に撮らないで。」
白波「今日イチで可愛いなって思ったからつい。」
悪気のない顔。
まだ愛しそうに見る画面の中の私。
それが白波さんが表してくれる愛っぽい。
けど、その横顔は削除してほしい。
今は好きな人だけの特別にしたいから。
そう思って私が白波さんの携帯へ手を伸ばそうとすると、会場が暗くなり大きな扉に白いライトが向けられる。
すると、一気に曲のサビが流れた瞬間、大きな扉が開いて真っ白なドレスのミサさんとその隣で白に映えるよう光沢感があるグレーのスーツを着た旦那さんがノリノリで肩を軽く揺らしながらダンスをしていた。
その様子を見た友達たちはなんだか盛り上がっていたけど、身内ノリ過ぎて分からなかった私は同じように盛り上がられない白波さんと一緒に小さく手拍子をしているととってもキラキラ輝いているミサさんが私の前まで来てくれた。
優愛「おめでと。」
私は音楽と歓声にかき消される声を出さず、顔と口でお祝いの言葉を伝えるとミサさんはノリノリだった体を止めてクリスマスリースみたいなブーケを私に手渡し、耳元でありがとうと言って自分の席へ行ってしまった。
そのことに呆気にとられて自分が持ってちゃいけないブーケにあたふたしていると、スタッフさんが大きな紙袋を持って私の隣にやってきてどうぞと手で示した。
それに私は流されるままブーケを入れてミサさんへ視線を戻すと、新郎新婦のスピーチ間際でも余裕のサムアップポーズを取ったミサさんに私は笑顔を送る。
白波「良かったね。」
優愛「約束したもん。」
本当はブーケトスやブーケプルズなんかで友達にあげるものだったのに、あんな口約束を守ってくれるなんて思いもしなかった。
白波「若いのに結婚願望強めなんだ?」
優愛「将来の夢は可愛いお嫁さん。」
白波「いい夢だね。応援してる。」
そう言ってくれた白波さんは私のために保護者役をしてくれるけど、来年はどうなんだろう?
ふと、そんなことを考えてしまった私は相変わらずダメだなとせっかくもらったブーケに目を落とし反省をした。
環流 虹向/愛、焦がれ
愛が生まれた日。
愛をお祝いする今日。
そんな日に結婚式をする元家庭教師のミサさんは、今まで見た中で1番綺麗。
やっぱり、医療系じゃなくてブライダルに進みたい。
将来が決まってからやりたいことが溢れ出す自分にちょっと嫌気がさし、鼻で笑うと保護者役の白波さんが私のドレスの襟元を直した。
白波「もう疲れた?」
優愛「可愛くなるのって結構大変なの。」
白波「その手間をすこーしでも省くためにパーマ当てたんだけどね。」
と、白波さんは私のセットを直すように毛先を指に巻いて私がヘマしたくびれボブを手直ししてくれる。
優愛「にしてもこれ、いつまで並べばいいの?」
私は友達が多いミサさんと旦那さんが呼んだ参列者の最後尾付近に並び、いつまでたっても進まない列の向こうを見るけど人が壁になって見えない。
白波「会費を渡すから時間かかるんだよ。」
そう言って白波さんは自分の胸ポケットから豪華な飾りがついた封筒を取り出した。
優愛「会費高いぃ。並ぶのめんどくさいぃ。」
いつもは履かないピンヒールの10㎝パンプスに足が疲れ始めたので、久々に駄々をこねていると白波さんは私の隣にあった自分の腕を出し、体重をのっけていいよと言わんばかりにぽんぽんと指で叩いた。
それを見た私は200人近い赤の他人の背後で白波さんの腕に抱きつき、疲れた足を休ませていると20分近く待ち、やっとのことで私たちの番が回ってきたので会費を渡し、名前を書いて会場に入ると初めて見る豪華なパーティ会場に疲れが吹き飛ぶ。
白波「席はここね。」
と、白波さんはど真ん中にあるテーブルを指し、私を案内してくれた。
優愛「なにこれ、可愛い…!」
私はおもちゃ箱を逆さまにしたようなテーブルセットに心踊らせながら席に着き、大きな扉からミサさんが来るのを待っていると隣でシャッター音が聞こえた。
優愛「…勝手に撮らないで。」
白波「今日イチで可愛いなって思ったからつい。」
悪気のない顔。
まだ愛しそうに見る画面の中の私。
それが白波さんが表してくれる愛っぽい。
けど、その横顔は削除してほしい。
今は好きな人だけの特別にしたいから。
そう思って私が白波さんの携帯へ手を伸ばそうとすると、会場が暗くなり大きな扉に白いライトが向けられる。
すると、一気に曲のサビが流れた瞬間、大きな扉が開いて真っ白なドレスのミサさんとその隣で白に映えるよう光沢感があるグレーのスーツを着た旦那さんがノリノリで肩を軽く揺らしながらダンスをしていた。
その様子を見た友達たちはなんだか盛り上がっていたけど、身内ノリ過ぎて分からなかった私は同じように盛り上がられない白波さんと一緒に小さく手拍子をしているととってもキラキラ輝いているミサさんが私の前まで来てくれた。
優愛「おめでと。」
私は音楽と歓声にかき消される声を出さず、顔と口でお祝いの言葉を伝えるとミサさんはノリノリだった体を止めてクリスマスリースみたいなブーケを私に手渡し、耳元でありがとうと言って自分の席へ行ってしまった。
そのことに呆気にとられて自分が持ってちゃいけないブーケにあたふたしていると、スタッフさんが大きな紙袋を持って私の隣にやってきてどうぞと手で示した。
それに私は流されるままブーケを入れてミサさんへ視線を戻すと、新郎新婦のスピーチ間際でも余裕のサムアップポーズを取ったミサさんに私は笑顔を送る。
白波「良かったね。」
優愛「約束したもん。」
本当はブーケトスやブーケプルズなんかで友達にあげるものだったのに、あんな口約束を守ってくれるなんて思いもしなかった。
白波「若いのに結婚願望強めなんだ?」
優愛「将来の夢は可愛いお嫁さん。」
白波「いい夢だね。応援してる。」
そう言ってくれた白波さんは私のために保護者役をしてくれるけど、来年はどうなんだろう?
ふと、そんなことを考えてしまった私は相変わらずダメだなとせっかくもらったブーケに目を落とし反省をした。
環流 虹向/愛、焦がれ
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