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慾望
回避
しおりを挟む…うるさい。
私は聞いたことのないアラームで目を覚まし、寝ぼけまなこで止めると自分のではない携帯が手の中にあった。
しかも携帯には学校の始業時間が表示されている。
優愛「…遅刻確定だぁ。」
私は声だけで落ち込むと隣で寝ていた白波さんも起きて時間を確認した。
白波「あー…、次の授業間に合いそう…?」
と、白波さんは全く動かない私を抱き起こして自分の膝の中に座らせた。
優愛「行きたくない。」
白波「そっちね。じゃあ今日は遊んじゃう?」
優愛「…白波は暇なの?」
白波「言い方ぁ…。今日は休み。」
ケイさんなら学校に行けって言うけど、白波さんは遊んじゃおうと言ってくれる。
それだけで好きな気持ちが揺らぐ訳じゃないけど、今は白波さんがいいと思っちゃう。
優愛「遊ぼ。うちわのフェス行きたい。」
私は白波さんが昨日貰ったうちわに貼ってある宣伝広告を指し、外デートの申し込みをする。
白波「おー、いいじゃん。ちょうど肉食いたかった。」
そう言ってくれた白波さんは私が学校へ仮病の連絡を入れている間、タンスの中を掘り出し私のデート服を探してくれる。
優愛「ゆるい…。」
服を貸してもらった私だけど、白波さんのハーフパンツのウエストが私のお尻の大きさと一緒で腰に止められない。
白波「本当、優愛ちゃんってスタイルいいよね。モデル目指そうとか思ったりしない?」
そう言いながら白波さんは私が気づかなかった内ヒモでぎゅっと腰にサイズを合わせてくれる。
優愛「食事制限とかしたくないもん。」
白波「制限してなくてこれってだいぶすごいね。」
だってもうすぐ夏だもん。
もしかしたらケイさんが人気のない海かプールに連れって行ってくれるかもって思って、筋トレ頑張ってきたもん。
けど、昨日の感じだとそんな風には一切思ってくれてなさそう…。
優愛「私は神のお恵みをいただいているのですっ。」
白波「何言ってんの。」
と、白波さんは私の適当な冗談に笑ってくれる。
それが昨日からずっと体の中で巡っていたドロドロとした何かを少し綺麗にしてくれる気がして、ちょっといいなと思ってしまった。
白波「平日のくせに何気に人多いなー…。」
優愛「みんなお肉に目がないね。いつも売ってるのばっかりなのに。」
私はフェスと言ってもテイクアウトが出来るようになっただけのいつもと変わらない街につまらないと思っていると、白波さんは私の手を引いて脇道に入った。
白波「…人酔いした。」
優愛「え?大丈夫…?」
いつのまにか白波さんの肌が青白くなっていて、普段よりも額に汗をかいていた。
私はすぐそばに自販機がないか周りを見渡していると突然白波さんに抱きしめられた。
白波「腹減りと人でゲロりそう…。」
優愛「ちょ、ちょっと待って!」
焦る私はタバコの自販機しかない路地にあったガードレールに白波さんを座らせて何か胃に入れるものを探しに行こうとするけれど、白波さんは全く私を離してくれない。
優愛「水買ってくるから。ここで少しだけ待ってて。」
白波「…だめ。…行かないで。」
優愛「でもどうしようもないよ…。」
私が困り果てていると白波さんは私の体からそっと腕を離し、その腕を首に回すと私を引き寄せて優しくキスをしてきた。
白波「心配してくれてありがと。少し落ち着いてきたからこのままね。」
そう言って白波さんはベッドの上でしかしないキスを人目が少し届く小道でするので私はいつも以上に顔が熱くなり、恥ずかしさに耐えていると白波さんはそっと唇を離し、顔を私の胸の上に置くようにして体重を預けてきた。
白波「好き。付き合お。」
優愛「…調子悪いんだから黙ってて。」
私は白波さんのワックスが付いてないふわふわとしている髪の毛を梳くように撫でていると、少し離れたところにある自販機の音が聞こえてふと顔を向けてしまう。
すると、こちらの様子を目だけで見てくる男性と私は目が合った。
…ケイさんだ。
しかも見たことないスーツ姿でいつも以上にかっこいい。
やっぱり一目惚れで好きになった人の見た目には気持ちで温めてくれる人にはないものがあることに気づいてしまった私は自分の感情を2人に隠すため、白波さんの頭を優しく抱きしめる。
そんな私を見たケイさんは携帯を取り出し、不自然に2つの指を立てて電話に出たフリをすると人混みの中に消えていった。
私はそれを見てポケットに入れていた携帯を取り、時間を確認してみると11時になりかけ。
もしかしたら2のつく数字の時に連絡を入れてくるのかもと思った私は携帯を機内モードにして最低限の機能しか使えなくする。
優愛「…今日も泊まろうかな。」
白波「俺は嬉しいけど、親がダメって言うでしょ。」
と、ため息混じりに白波さんは顔を上げ、私の胸の上に顎を置く。
白波「また別の日においで。今日はバイトが終わる時間になったら送るよ。」
そう言って白波さんは立ち上がると私にお礼のキスをしてまた手を繋ぎ、歩き始めた。
何もバレなかった私は今自分が置かれている立場がとてももどかしくて、息苦しくて、心地悪い。
けど、変えられる方法は自分が毎日歳をとって着実に大人に近づかないと変えられなくて、すぐには何も出来ない無力さを痛感させられた。
環流 虹向/愛、焦がれ
私は聞いたことのないアラームで目を覚まし、寝ぼけまなこで止めると自分のではない携帯が手の中にあった。
しかも携帯には学校の始業時間が表示されている。
優愛「…遅刻確定だぁ。」
私は声だけで落ち込むと隣で寝ていた白波さんも起きて時間を確認した。
白波「あー…、次の授業間に合いそう…?」
と、白波さんは全く動かない私を抱き起こして自分の膝の中に座らせた。
優愛「行きたくない。」
白波「そっちね。じゃあ今日は遊んじゃう?」
優愛「…白波は暇なの?」
白波「言い方ぁ…。今日は休み。」
ケイさんなら学校に行けって言うけど、白波さんは遊んじゃおうと言ってくれる。
それだけで好きな気持ちが揺らぐ訳じゃないけど、今は白波さんがいいと思っちゃう。
優愛「遊ぼ。うちわのフェス行きたい。」
私は白波さんが昨日貰ったうちわに貼ってある宣伝広告を指し、外デートの申し込みをする。
白波「おー、いいじゃん。ちょうど肉食いたかった。」
そう言ってくれた白波さんは私が学校へ仮病の連絡を入れている間、タンスの中を掘り出し私のデート服を探してくれる。
優愛「ゆるい…。」
服を貸してもらった私だけど、白波さんのハーフパンツのウエストが私のお尻の大きさと一緒で腰に止められない。
白波「本当、優愛ちゃんってスタイルいいよね。モデル目指そうとか思ったりしない?」
そう言いながら白波さんは私が気づかなかった内ヒモでぎゅっと腰にサイズを合わせてくれる。
優愛「食事制限とかしたくないもん。」
白波「制限してなくてこれってだいぶすごいね。」
だってもうすぐ夏だもん。
もしかしたらケイさんが人気のない海かプールに連れって行ってくれるかもって思って、筋トレ頑張ってきたもん。
けど、昨日の感じだとそんな風には一切思ってくれてなさそう…。
優愛「私は神のお恵みをいただいているのですっ。」
白波「何言ってんの。」
と、白波さんは私の適当な冗談に笑ってくれる。
それが昨日からずっと体の中で巡っていたドロドロとした何かを少し綺麗にしてくれる気がして、ちょっといいなと思ってしまった。
白波「平日のくせに何気に人多いなー…。」
優愛「みんなお肉に目がないね。いつも売ってるのばっかりなのに。」
私はフェスと言ってもテイクアウトが出来るようになっただけのいつもと変わらない街につまらないと思っていると、白波さんは私の手を引いて脇道に入った。
白波「…人酔いした。」
優愛「え?大丈夫…?」
いつのまにか白波さんの肌が青白くなっていて、普段よりも額に汗をかいていた。
私はすぐそばに自販機がないか周りを見渡していると突然白波さんに抱きしめられた。
白波「腹減りと人でゲロりそう…。」
優愛「ちょ、ちょっと待って!」
焦る私はタバコの自販機しかない路地にあったガードレールに白波さんを座らせて何か胃に入れるものを探しに行こうとするけれど、白波さんは全く私を離してくれない。
優愛「水買ってくるから。ここで少しだけ待ってて。」
白波「…だめ。…行かないで。」
優愛「でもどうしようもないよ…。」
私が困り果てていると白波さんは私の体からそっと腕を離し、その腕を首に回すと私を引き寄せて優しくキスをしてきた。
白波「心配してくれてありがと。少し落ち着いてきたからこのままね。」
そう言って白波さんはベッドの上でしかしないキスを人目が少し届く小道でするので私はいつも以上に顔が熱くなり、恥ずかしさに耐えていると白波さんはそっと唇を離し、顔を私の胸の上に置くようにして体重を預けてきた。
白波「好き。付き合お。」
優愛「…調子悪いんだから黙ってて。」
私は白波さんのワックスが付いてないふわふわとしている髪の毛を梳くように撫でていると、少し離れたところにある自販機の音が聞こえてふと顔を向けてしまう。
すると、こちらの様子を目だけで見てくる男性と私は目が合った。
…ケイさんだ。
しかも見たことないスーツ姿でいつも以上にかっこいい。
やっぱり一目惚れで好きになった人の見た目には気持ちで温めてくれる人にはないものがあることに気づいてしまった私は自分の感情を2人に隠すため、白波さんの頭を優しく抱きしめる。
そんな私を見たケイさんは携帯を取り出し、不自然に2つの指を立てて電話に出たフリをすると人混みの中に消えていった。
私はそれを見てポケットに入れていた携帯を取り、時間を確認してみると11時になりかけ。
もしかしたら2のつく数字の時に連絡を入れてくるのかもと思った私は携帯を機内モードにして最低限の機能しか使えなくする。
優愛「…今日も泊まろうかな。」
白波「俺は嬉しいけど、親がダメって言うでしょ。」
と、ため息混じりに白波さんは顔を上げ、私の胸の上に顎を置く。
白波「また別の日においで。今日はバイトが終わる時間になったら送るよ。」
そう言って白波さんは立ち上がると私にお礼のキスをしてまた手を繋ぎ、歩き始めた。
何もバレなかった私は今自分が置かれている立場がとてももどかしくて、息苦しくて、心地悪い。
けど、変えられる方法は自分が毎日歳をとって着実に大人に近づかないと変えられなくて、すぐには何も出来ない無力さを痛感させられた。
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