7 / 15
Chunky
Past Loading…
しおりを挟む
髪色を変えてから私の欲しいものが増えた。
前は好きな漫画やアニメのグッズが9割を占めていたけど、あの頃はグッズ5割、洋服3割、コスメ1割、雑誌1割になっていた。
そういうのは女友達に分かってしまうらしく、ショッピングに連れ出されておすすめの物を私の体に押し当てられて店員さんと一緒に購入を勧めてくる。
けど、ひとつ5000円近くあるものばかりで買うことに躊躇して、いつものようにプチプラで着古しているスウェットと裏起毛のあったかズボンで大学1年の冬を過ごしていると私の背後からボソっと聞こえてくる。
『紅芋ちゃん』
始めに聞いたのは食堂で蕾を待ちながら、窓越しでぼーっと落ち葉を掃いているおじさんを見ていた時に。
個性的な名前のアイドルかなんかだと思ってラジオの様に周りの音を聞いていたけど、その紅芋ちゃんはあんまりいい様に言われてなかった。
最初はダサい。
次はデブ。
その次は芋臭い。
確定はすぐ赤くなるほっぺたを真後ろにいたサークルにいた先輩の女王様に罵られたこと。
綺麗な者の意見はみんな正しいと受け入れ、何もしてない私の悪い噂が流れる様になった。
教室では芋なのに彼氏がいる。
蕾がバイト中のサークルでは、ぼっちのインキャオタク。
月1ある懇親会では紅芋カップル。
おつまみとして置いてあったボンボンショコラを1個食べただけで顔が真っ赤になる私たちはやっぱり端っこにいるしかなくて、このサークルにいる意味を見出せなくなった私たちはその場で辞めることを決め、卒業お祝いに初めてのレイトショーに行くことにした。
蕾「あったかーい。」
と、少し酔っ払っている蕾は新年会で高まった私の熱をもらって嬉しそうに笑った。
瞳「酔ってる?」
寒空の下で頬も鼻も赤く染める蕾は雑に巻いた白チェックのマフラーを地面に引きずっていても気にせず歩くので私は空いてた片手で巻き直す。
蕾「よってないよぉ。」
瞳「酔ってるじゃん。」
私よりもお酒に耐性がない蕾はふわふわな体で一歩前を歩いて自動券売機で2つ映画券を買うと、5分過ぎてしまったシアタールームに入って2人きりの貸切状態で明後日公開終了するラブロマンスを見る。
けど、蕾は酔いが回ってしまって耳でしか映画を楽しんでなくて私は半開きになった口を閉じさせる様にキスをすると、蕾はゆっくりと目を開けて私の唇に残ったチョコを味わう様に一度上唇を吸ってきた。
それに私は驚いてちゅっとリップ音を鳴らした蕾から口を離し、とろけた目同士を合わせるとスクリーンからも同じ音が聞こえてきて私は真っ暗なシアタールームで人生イチ顔を真っ赤にさせてたと思う。
すると、いつのまにか冷えた蕾の手が私の顔を冷やす様に添えられ、私の背後でたくさんキスをしている2人と一緒のキスをしてきた。
まだほろ酔いな私はチカチカと黒フィルムの中にいるような蕾だけにしか目に入らなくて、いつもとは違う雰囲気に飲まれる。
蕾「…いこ。」
と、蕾は終電間際なのにまた私をどこかに誘った。
瞳「なに…?」
私は喉で行き先を止めて照れ始める蕾に聞き返す。
蕾「一緒にお泊りしよ…?」
蕾は言葉を濁し、私の頬に置いていた手を首元に落として親指で無い喉仏を撫でた。
その時の私はネットカフェでオールしようという意味で受け取り頷いてまた映画を見たけど、その映画で恋仲の男女がお泊りする意味を知り、アルコールが抜けて鼻だけが赤い蕾と一緒に初めてラブホテルに行って、初めてパパ以外の男の人に裸を見せて、幼稚園ぶりに血が出る痛みで涙を流した。
環流 虹向/ピンヒールでおどらせて
前は好きな漫画やアニメのグッズが9割を占めていたけど、あの頃はグッズ5割、洋服3割、コスメ1割、雑誌1割になっていた。
そういうのは女友達に分かってしまうらしく、ショッピングに連れ出されておすすめの物を私の体に押し当てられて店員さんと一緒に購入を勧めてくる。
けど、ひとつ5000円近くあるものばかりで買うことに躊躇して、いつものようにプチプラで着古しているスウェットと裏起毛のあったかズボンで大学1年の冬を過ごしていると私の背後からボソっと聞こえてくる。
『紅芋ちゃん』
始めに聞いたのは食堂で蕾を待ちながら、窓越しでぼーっと落ち葉を掃いているおじさんを見ていた時に。
個性的な名前のアイドルかなんかだと思ってラジオの様に周りの音を聞いていたけど、その紅芋ちゃんはあんまりいい様に言われてなかった。
最初はダサい。
次はデブ。
その次は芋臭い。
確定はすぐ赤くなるほっぺたを真後ろにいたサークルにいた先輩の女王様に罵られたこと。
綺麗な者の意見はみんな正しいと受け入れ、何もしてない私の悪い噂が流れる様になった。
教室では芋なのに彼氏がいる。
蕾がバイト中のサークルでは、ぼっちのインキャオタク。
月1ある懇親会では紅芋カップル。
おつまみとして置いてあったボンボンショコラを1個食べただけで顔が真っ赤になる私たちはやっぱり端っこにいるしかなくて、このサークルにいる意味を見出せなくなった私たちはその場で辞めることを決め、卒業お祝いに初めてのレイトショーに行くことにした。
蕾「あったかーい。」
と、少し酔っ払っている蕾は新年会で高まった私の熱をもらって嬉しそうに笑った。
瞳「酔ってる?」
寒空の下で頬も鼻も赤く染める蕾は雑に巻いた白チェックのマフラーを地面に引きずっていても気にせず歩くので私は空いてた片手で巻き直す。
蕾「よってないよぉ。」
瞳「酔ってるじゃん。」
私よりもお酒に耐性がない蕾はふわふわな体で一歩前を歩いて自動券売機で2つ映画券を買うと、5分過ぎてしまったシアタールームに入って2人きりの貸切状態で明後日公開終了するラブロマンスを見る。
けど、蕾は酔いが回ってしまって耳でしか映画を楽しんでなくて私は半開きになった口を閉じさせる様にキスをすると、蕾はゆっくりと目を開けて私の唇に残ったチョコを味わう様に一度上唇を吸ってきた。
それに私は驚いてちゅっとリップ音を鳴らした蕾から口を離し、とろけた目同士を合わせるとスクリーンからも同じ音が聞こえてきて私は真っ暗なシアタールームで人生イチ顔を真っ赤にさせてたと思う。
すると、いつのまにか冷えた蕾の手が私の顔を冷やす様に添えられ、私の背後でたくさんキスをしている2人と一緒のキスをしてきた。
まだほろ酔いな私はチカチカと黒フィルムの中にいるような蕾だけにしか目に入らなくて、いつもとは違う雰囲気に飲まれる。
蕾「…いこ。」
と、蕾は終電間際なのにまた私をどこかに誘った。
瞳「なに…?」
私は喉で行き先を止めて照れ始める蕾に聞き返す。
蕾「一緒にお泊りしよ…?」
蕾は言葉を濁し、私の頬に置いていた手を首元に落として親指で無い喉仏を撫でた。
その時の私はネットカフェでオールしようという意味で受け取り頷いてまた映画を見たけど、その映画で恋仲の男女がお泊りする意味を知り、アルコールが抜けて鼻だけが赤い蕾と一緒に初めてラブホテルに行って、初めてパパ以外の男の人に裸を見せて、幼稚園ぶりに血が出る痛みで涙を流した。
環流 虹向/ピンヒールでおどらせて
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる