一なつの恋

環流 虹向

文字の大きさ
上 下
146 / 188
8/18

7:00

しおりを挟む
俺は昨日るあくんの家に泊まって体を休め、今日もまた夢衣の家に行く。

今日のるあくんはヘアセットをしっかりしてピアスも前のようにたくさんつけていて、前のるあくんに戻ったようだった。

るあ「とりあえず夢衣ちゃんを外に出すところからだね。」

一「うん。昨日朝カフェ出来なかった、で押し通してみる。」

俺はインターフォンのカメラが映さないところにるあくんがいるのを確認し、何度か鳴らすと応答してくれた。

『はー…い?』

と、夢衣ではなく寝ぼけた桃汰さんがだるそうに言う。

一「昨日朝カフェ行けなかったんで、今日も来ました。」

桃汰『えー…?夢衣ちゃんお疲れなんだけど。』

一「俺だったら疲れてても行ってくれます。」

桃汰『…なにそれ。また喧嘩販売中?』

一「そんなとこです。」

俺は通話時間が切れるごとにインターフォンを鳴らして、そのうるさい音で夢衣が目を覚ましてくれないか願っていると桃汰さんがマイクから離れた。

すると、わずかだけど夢衣の声が聞こえる。

一「おい!朝カフェ行くぞ!今日は俺が連れてきたい場所があるんだ!だから準備して来い!」

『…んと、…た…。…で?だっ…』

夢衣は遠いところで桃汰さんと話しているのか、かすかに言い争ってるのが聞こえる。

すると、隠れているはずだったるあくんが俺の隣に来た。

るあ「桃汰、久しぶり。元気だったー?」

桃汰『…誰?…あぁ♡』

と、桃汰さんがカメラの映像を見たのか嬉しそうな声を上げる。

桃汰『シンジだぁ!お久しいね♡』

るあ「るあだよー。名前間違えんなよ。」

桃汰『シンジこそ、自分の名前間違えんなよー。ジジィの頭になったー?』

るあ「お前こそ、アル漬けの脳みそちゃんは正常に動いてんのー?」

桃汰『喉通ってくから脳みそには届いてくれないんだよー?人体の勉強しないとお仕事のなくなっちゃうよっ。』

2人が謎の言い合いをしながら罵り合っていると、桃汰さんは気分が変わったらしく夢衣と一緒に部屋から出て来てくれることになった。

俺はインターフォンのマイクが切れたあと、るあくんに感謝してまた昨日と同じ時間待っていると2人が出て来た。

一「むぅちゃんおはよ。」

夢衣「おはよー。」

少し火照ってた夢衣の頬の上にあるクマがちゃんと寝れてないSOSを俺に伝えてくる。

桃汰「シンジ、ひーくんおはよー。」

るあ「瑠璃の瑠に愛で瑠愛って名前なんだ。もう1回その名前言ったらその舌引き抜くね。」

桃汰「はーい。シンジくぅーん♡」

その一言で瑠愛くんは笑顔だった桃汰さんの口に手を突っ込み、本気で舌を引き抜こうとする。

けれど桃汰さんは動じずに瑠愛くんの手に容赦なく噛みついた。

一「瑠愛くん!やめなって!」

夢衣「桃汰!瑠愛くん痛そうだよ…。」

すると、桃汰さんが瑠愛くんに噛みつくのをやめて少し血のにじむ歯を見せながら夢衣を見る。

桃汰「夢衣ちゃんは俺の心配してくれないんだ。」

桃汰さんがそう言うと、夢衣は急に地べたに倒れ込み昨日よりもはるかに快楽の波が早くなってしまっていることが一目で分かった。

瑠愛「大丈夫…!?」

瑠愛くんは夢衣の耳を抑えて桃汰さんの声を遮断してくれる。

一「…やめてください。」

桃汰「ん?なにが?」

一「夢衣の名前、呼ばないでください。」

桃汰「なんで?可愛い名前なのに。」

一「テメェが洗脳して夢衣がおかしくなりかけてんだ。これ以上夢衣に近づくな。」

桃汰「俺、彼氏だもん。元彼もとかれのひーくんに言われてもなぁ。」

わざとらしく困り顔をしている桃汰さんの顔を本気で殴りたくなるのを必死で抑える。

桃汰「とりあえず、4人で遊ぼっかぁ。まずは腹満たそうぅ♡」

そう言って桃汰さんは夢衣を少し乱暴におぶり、歩き始めてしまう。

瑠愛「今日、絶対引き離そう。」

一「うん。」

俺たちは桃汰さんが勝手にどこか行かないように、夢衣の服を掴みながら朝飯に向かった。





→ signal

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ひと夏の恋

環流 虹向
恋愛
一夏の恋日記。 主人公の彼方 夏/かなた なつは、女性専門風俗店で働きお金を稼いでいく。 そのお金で美術専門学校に通い、新しい友達も出来たけれど、高校生の時に付き合っていた彼女の莉李が忘れられずにふとした思い出で寂しくなる。 けれどその寂しさを埋めるために誰かを代わりに置こうとは思わず1人で過ごしていると、ある子に手を引かれ自分の隠していた気持ちを見せるお手本を見せてもらい、自分の気持ちを伝えたい子に伝え始める。 ひとなつの恋にひかれるよ。 もう一度、この手で描くために。 将来のため、君のため、自分のために。 自らの身体だけでなんとかしてきた主人公。 けれど何も芽生えないあの身体に触れることで自分の本心は溶け出し、空気に触れ死んでいく。 批判されると分かっていても、自分がやりたい事のため、生きていくためにはそれをしないといけない。 そして、今日もまた 何でもない人たちと脆く儚い愛を語り、 大切な人たちには砕けても煌めき残り続ける愛を届けられずに日々を過ごしていく。 1話ずつ、オススメの曲を紹介しています。 Spotifyにプレイリスト作りました。 https://open.spotify.com/playlist/08yh0OwB5etrXXEC5LuMJY?si=N-f-0URyRPimdYKj-A2myw&dl_branch=1 サイドストーリーの«一なつの恋»もあります! ・カクヨム ・小説家になろう ・魔法のiらんど ・ノベルアップ+ にも掲載しています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。 あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。 そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。 翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。 しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。 ********** ●早瀬 果歩(はやせ かほ) 25歳、OL 元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。 ●逢見 翔(おうみ しょう) 28歳、パイロット 世界を飛び回るエリートパイロット。 ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。 翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……? ●航(わたる) 1歳半 果歩と翔の息子。飛行機が好き。 ※表記年齢は初登場です ********** webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です! 完結しました!

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

処理中です...