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俺は明日に備えて自分の家に戻り、着替えの服を選んでいると携帯が鳴った。
一「もしもし?」
『あ、夜遅くにごめんね。』
と、永海が電話の向こうで謝った。
一「大丈夫。夜強いから。」
永海『そうだったねー。』
永海は俺の冗談に空元気に笑う。
その笑い声がピンポン玉が跳ねるように軽くてどこかに行ってしまいそうだった。
一「どうした?相談事?」
永海『ううん。ちょっと遊びたいなって。』
ああ、そうだった。
夢衣のことで忘れてたけど永海とデートする約束してたんだ。
一「俺の1日でいい?」
永海『うん。そのつもり。』
一「永海って門限ある?」
永海『特にないよ。』
一「じゃあ、夜遊ぶか。いつがいい?」
永海『…明日とか。』
明日か…。
明日はるあくんと夢衣をホテルに泊まらせるところまで計画を立てたけど、永海と遊ぶ時間までに間に合うか?
永海『無理だったらいいよ。』
そう言って永海の諦めようとする声がとても寂しそうに聞こえて、本当にどこかへ行ってしまいそうだった。
一「大丈夫。もしかしたらすごい遅くなるかもだけどいい?」
永海『うん。暇だから何時でもいいよ。』
一「分かった。なる早で連絡する。」
永海『うん。じゃあまた明日ね。』
そう言って永海は電話を終えた。
夏が誰かと付き合ってることが分かってから永海はずっと元気がない声をしていて心配だったけれど、どうしても優先順位が下がってしまう。
失恋の痛みは分かってるはずなのにやっぱり俺って自分のことしか考えられないのかもしれない。
俺は前の自分を思い出してしまい、少し休憩するためにソファーに座るといつのまにか届いていた現像された写真が入っている封筒を見つけた。
チラシに混じっていて気づかなかったけどもう来てたんだ。
俺はその場で開けてみんなに配る用と自分のものを仕分けしていると、姐さんの後ろ姿の写真が出てきた。
…やっぱり、会いたい。
俺は自分の分の写真をアルバムに貼り付けて、思い出の手紙と一緒に閉じ込める。
そして俺は姐さんの家に行き、ポストに投函した。
この思い出の共有はストーカー行為に含まれるのか投函してからふと考えてしまい、扉前で後悔し始めていると電話がかかってきた。
…姐さんだ。
俺は急いで携帯を耳に当てる。
一「姐さん!電話してくれてありがとう!」
さき『…この写真、何?』
一「え?」
さき『今さっき入れたでしょ?』
え?
この扉の向こうに姐さんはいるのか?
一「…この間、旅行で見た景色を姐さんにも見せたくて。」
さき『なんで?』
一「俺の大切な人だから。一緒にいろんな景色を見たいから。」
そう言うと姐さんは黙り込んでしまった。
この扉1枚が出会ったときから変わらない俺と姐さんの心の距離。
どんなに近くても、この扉が開かない限り姐さんと目を合わせることも肌を触れ合わせることもできない。
さき『…忙しいんじゃないの?』
一「忙しくても会いたいから来ちゃった。」
さき『ちゃんとやるべき事終えて来てよ。』
一「…終えたら来ていいの?」
さき『…うん。1回だけならいいよ。』
1回だけ?
その1回は1日?
1日の中の1時間?
ほんのちょっとだけ、顔を合わせるだけ?
でも、姐さんの側にいれることは確実なんだ。
一「分かった。頑張る。」
さき『うん。またね。』
一「またね。」
姐さんは電話を切り、足音を立てて部屋に戻っていった。
俺は姐さんの応援に応えるために終わらせなければならないことをしっかりと終わらせるため、毎日来る明日に備えることにした。
→ 名もなき感情
一「もしもし?」
『あ、夜遅くにごめんね。』
と、永海が電話の向こうで謝った。
一「大丈夫。夜強いから。」
永海『そうだったねー。』
永海は俺の冗談に空元気に笑う。
その笑い声がピンポン玉が跳ねるように軽くてどこかに行ってしまいそうだった。
一「どうした?相談事?」
永海『ううん。ちょっと遊びたいなって。』
ああ、そうだった。
夢衣のことで忘れてたけど永海とデートする約束してたんだ。
一「俺の1日でいい?」
永海『うん。そのつもり。』
一「永海って門限ある?」
永海『特にないよ。』
一「じゃあ、夜遊ぶか。いつがいい?」
永海『…明日とか。』
明日か…。
明日はるあくんと夢衣をホテルに泊まらせるところまで計画を立てたけど、永海と遊ぶ時間までに間に合うか?
永海『無理だったらいいよ。』
そう言って永海の諦めようとする声がとても寂しそうに聞こえて、本当にどこかへ行ってしまいそうだった。
一「大丈夫。もしかしたらすごい遅くなるかもだけどいい?」
永海『うん。暇だから何時でもいいよ。』
一「分かった。なる早で連絡する。」
永海『うん。じゃあまた明日ね。』
そう言って永海は電話を終えた。
夏が誰かと付き合ってることが分かってから永海はずっと元気がない声をしていて心配だったけれど、どうしても優先順位が下がってしまう。
失恋の痛みは分かってるはずなのにやっぱり俺って自分のことしか考えられないのかもしれない。
俺は前の自分を思い出してしまい、少し休憩するためにソファーに座るといつのまにか届いていた現像された写真が入っている封筒を見つけた。
チラシに混じっていて気づかなかったけどもう来てたんだ。
俺はその場で開けてみんなに配る用と自分のものを仕分けしていると、姐さんの後ろ姿の写真が出てきた。
…やっぱり、会いたい。
俺は自分の分の写真をアルバムに貼り付けて、思い出の手紙と一緒に閉じ込める。
そして俺は姐さんの家に行き、ポストに投函した。
この思い出の共有はストーカー行為に含まれるのか投函してからふと考えてしまい、扉前で後悔し始めていると電話がかかってきた。
…姐さんだ。
俺は急いで携帯を耳に当てる。
一「姐さん!電話してくれてありがとう!」
さき『…この写真、何?』
一「え?」
さき『今さっき入れたでしょ?』
え?
この扉の向こうに姐さんはいるのか?
一「…この間、旅行で見た景色を姐さんにも見せたくて。」
さき『なんで?』
一「俺の大切な人だから。一緒にいろんな景色を見たいから。」
そう言うと姐さんは黙り込んでしまった。
この扉1枚が出会ったときから変わらない俺と姐さんの心の距離。
どんなに近くても、この扉が開かない限り姐さんと目を合わせることも肌を触れ合わせることもできない。
さき『…忙しいんじゃないの?』
一「忙しくても会いたいから来ちゃった。」
さき『ちゃんとやるべき事終えて来てよ。』
一「…終えたら来ていいの?」
さき『…うん。1回だけならいいよ。』
1回だけ?
その1回は1日?
1日の中の1時間?
ほんのちょっとだけ、顔を合わせるだけ?
でも、姐さんの側にいれることは確実なんだ。
一「分かった。頑張る。」
さき『うん。またね。』
一「またね。」
姐さんは電話を切り、足音を立てて部屋に戻っていった。
俺は姐さんの応援に応えるために終わらせなければならないことをしっかりと終わらせるため、毎日来る明日に備えることにした。
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