一なつの恋

環流 虹向

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俺と奏たち、そして音己ねぇまでもるあくんの家にやって来た。

るあくんはその人数に驚いていたけど、心よく家に入れてくれる。

一「るあくん、ありがとう。」

るあ「ううん!いっくんの悩みは俺の悩みだから!」

と、元気よく俺を“いっくん”と言うるあくんにみんな首を傾げる。

俺は隣にいるるあくんの耳元で本名を明かし、今からはひとと呼んでもらうことにした。

るあ「一くんから多分聞いてると思うけど、モモちゃんに関わるのはとっても危ないんだ。だからあんまり顔見知りを増やしたくなって思ってるんだけど…。」

将「それでも夢衣さんの安全が守れるなら俺はなんでもやる。」

明「夢衣さんとショッピングの約束してるもん!」

旅行の時に特に夢衣と仲良くなった2人は絶対に自分を曲げなさそうだ。

奏「警察は無理そう?」

海斗「警察に頼るのが1番のいい気がする。」

るあ「桃汰が夢衣ちゃんに何かしたって証拠が提示出来るのなら今にでも警察に連絡するけど、連絡ブロックだけじゃ難しいね。」

音己「強行突破は?」

るあ「俺たちが不法浸入でお縄だよ。」

どうしたら夢衣を桃汰さんがいる家から引き離せられるか考えていると、将の携帯が鳴った。

将「…誰だ?」

と、知らない電話番号に少し戸惑う将が電話に出ると声を上げて驚く。

将「夢衣さん…!?」

俺たちも声をあげて驚き、スピーカーにしてもらう。

夢衣『なんかみんなからメッセージ来ないなって思ったら、私の連絡先変わってたみたい。ごめんね。』

と、申し訳なさそうに喋る夢衣。

旅行の時に2人して滝壺に飛び込んで携帯を壊した後、一緒に携帯ショップに行った時に将が紙のメモで自分の連絡先を夢衣に渡したらしく、それを見て連絡したと話してくれた。

将「え、えっと…、そんなことより夢衣さん体調とか大丈夫?」

夢衣『んっ…、え?大丈夫だよー。』

夢衣は桃汰さんのことにまだ気づいてないのか?

一「夢衣。今、家?」

夢衣『…っんぁ。あれぇ?ひーくん?』

と、夢衣は少し言葉を溶かしながら聞いてくる。

一「うん。夢衣って今から外出れる?」

夢衣『いっ…ぁ、無理だよぅ。桃汰がもうちょっとで帰ってくるもん。』

ん?なんだ?
なんか、夢衣の様子がおかしい。

音己「むーこ、大丈夫か?」

夢衣『あれ…?ねねちゃんもいる。パーティーなの?』

一「そんなとこ。だから夢衣も来てよ。」

そう言うと夢衣は軽い息切れをしているのか、吐息混じりに行けないと言う。

一「大丈夫か?む…」

夢衣『名前ぇ…、言わないでっ。』

と、震える声で夢衣は自分の名前を呼ばれることを拒否する。

この声は俺しか知らない声だ。

一「むーこ。俺のとこおいで。」

夢衣『…だって、ダメだよ。』

一「俺、むーこに会いたいよ。」

夢衣『桃汰と一緒じゃないと…』

一「それでもいいから。とりあえず会おう?」

そう言うと夢衣は黙り込み、静かになってしまう。

ごめんな。
俺が遠ざけたくせに、また俺の元に戻れなんて自分勝手にもほどがあるよな。

一「朝カフェ、俺と行けてないところいっぱいあるんだろ?だから連れてってよ。」

夢衣『…分かった。朝、私の家に来てくれる?』

一「うん。行くよ。桃汰さんにはサプライズにしとこ。」

夢衣『うん!分かった!じゃあ…』

るあ「むーこさん!」

と、るあくんが夢衣が電話を切る前に呼び止めた。

夢衣『ん?誰?』

るあ「天の声!電話履歴、桃汰以外の全部消してメモはしっかり隠しといて。あと、出来たら電話番号覚えといて。」

一「俺からもお願い。天の声に従っといて。」

夢衣『分かったよー。覚えるの苦手だけど頑張ってみる。』

そう言って夢衣は電話を切り、俺たちとの繋がりを1度無くしてしまった。

明「…夢衣さん、ちょっと変だったね。」

奏「なんか息荒くて体調悪そうだったね。」

海斗「ちゃんと食べさせてもらってるのか?」

と、童貞3人は夢衣の喘ぎに気づいてない様子。

音己「私も朝カフェ行く。」

将「俺も。」

明日何も予定がないと言う2人が俺にそう言ってきたけど、るあくんが止めた。

るあ「なるべく桃汰の知らない手数は残しておきたい。明日は一くん1人でいいかな?」

一「俺はいいよ。」

2人は少し悩みながらも頷き、明日の朝は俺1人で夢衣の家に行ってみることになった。

俺はるあくんに今知ってる限りの桃汰さんのことを教えてもらい、明日に備えた。




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