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頬を突かれてることに気づいて目を覚ますと、明が俺を起こしに来ていた。
明「おはよー。」
一「おはよー…。」
俺は1人で好きなアニメを朝方まで見てしまい、寝不足まま体を起こしてあくびをする。
明「ご飯もう少し時間かかるらしいから一緒にヨガしない?」
一「…ヨガ?」
俺は明に連れられるまま、朝日が照りつけるベランダで明が用意したヨガマットに座る。
明「晴れたねぇー!雨上がりの匂い好き!」
明は深呼吸しながら体を動かし始めたので俺は隣でダラダラとストレッチをする。
明「口の絆創膏取れてよかったね。」
一「まだ痛いけどな。」
明「しばらくちゅーは出来ないね。」
一「…そうだな。」
俺は明と将のサークルでの出来事をふと思い出したが、変に掘り返したくないので口にはしなかった。
明「…あの後さ、かーちゃんが呑み会開いたんだけど初めて一緒にいて寂しく思っちゃった。」
一「…あの日の夜?」
明「うん。みんな普段と変わった様子はないのに、俺だけが知ってるかーちゃんの思いが見えちゃって…。それをない事にしようとわざと沙樹くんに話しかけるかーちゃんに栄美先生は嫉妬して…。
けど、一生徒としてしか見られてない俺は何も出来なくて…。」
と、打ち明け始めた明はヨガをやめて脚を抱えて小さくなる。
明「呑むのやめてたら将が少し酔ってたのか、肩に腕を回して甘えてきて…。
全部今まで見て経験したことがあるのに、色々知っちゃった途端に寂しくなっちゃった。」
一「…全部、嫌になった?」
俺は恐る恐る明に聞いてみた。
俺の勝手な友達の励まし方はあんまり明に響かなかったのかもしれない。
明「ううん。好きだから寂しい。」
明は朝日を薄目で見ながらそう呟いた。
その目はあの日ずっと音己ねぇを待ってた俺と同じ目をしていて、明の気持ちが痛いほど分かる気がした。
明「かーちゃんは俺の中身を1番初めから見ようとしてくれたから好きになったんだ。
出会ってきたみんなの第一声が俺に男か女か聞いてくるのに、かーちゃんは俺の自己紹介が丁寧だねって褒めてくれたんだ。その自己紹介1週間かけて考えてきたからすごい嬉しくて泣いちゃった。」
そうだったのか…。
俺も明に男か女か聞いてしまった1人だけれど、海阪先生は男女関係なく最初から人として明を知ろうとしたらしい。
明「一もここにいるみんなも、俺のこと気色悪がらずに一緒にいてくれるからすごい嬉しいんだ。」
一「そんなこと1度も思ったことないよ。」
明「…嬉しいぃ。」
明はボロボロと涙を膝に落とし始める。
明「小さい時からずっと好きなものを身につけてきたんだ。それでも、俺が好きと思える人たちは一緒にいてくれたことなかったから今すごい嬉しいんだ。」
明はそう言いながら微笑み、俺に笑顔を見せてくれる。
明「今まで出会ってきた人みんなが俺のことを化け物のように扱ってきたけど、化け物でも心はあるんだ…。」
分かるよ。
俺は好きでこの怪我を作ったわけじゃないけど、心ない言葉は沢山あびせられてきた。
明「…けどね、この学校に入ってみんなと出会えてよかったって本当に思ってるんだ。今の俺のことを受け入れてくれて嬉しい。」
一「俺は好きなことを貫き続ける明をカッコいいって思ってる。他人の当たり前は俺たちにとって異常なんだ。自分の無い生き方をするのは死んだと同じだ。」
明「…俺、一瞬死にかけた。けど、一のおかげで大丈夫になったんだ。ありがとう。」
この間、俺がついた嘘が明を救ったらしい。
俺の嘘は真実になることはないだろうけれど、それで救われるのであればまた何度も嘘をつくよ。
一「いや、決めたのは明だ。死ななくてよかったよ。」
俺は明に微笑み、綺麗に整えられていた髪の毛を崩すように撫でる。
すると、明は溢れた涙を拭いていつもの笑顔を見せてくれた。
明「一、好き!」
一「俺も好き。」
明は飛びかかり、俺を押し倒して抱きつく。
ずっと好きなことを貫いてきた明でも、たくさん辛いことにぶち当たってきてしまったんだなと知ると、どんな人生を送っても嫌なことは起きてしまうんだなと嫌になる。
けど、やっぱり自分の思いに反したことをしたくないと思い俺は覚悟を決めた。
→ 君がついた嘘なら
明「おはよー。」
一「おはよー…。」
俺は1人で好きなアニメを朝方まで見てしまい、寝不足まま体を起こしてあくびをする。
明「ご飯もう少し時間かかるらしいから一緒にヨガしない?」
一「…ヨガ?」
俺は明に連れられるまま、朝日が照りつけるベランダで明が用意したヨガマットに座る。
明「晴れたねぇー!雨上がりの匂い好き!」
明は深呼吸しながら体を動かし始めたので俺は隣でダラダラとストレッチをする。
明「口の絆創膏取れてよかったね。」
一「まだ痛いけどな。」
明「しばらくちゅーは出来ないね。」
一「…そうだな。」
俺は明と将のサークルでの出来事をふと思い出したが、変に掘り返したくないので口にはしなかった。
明「…あの後さ、かーちゃんが呑み会開いたんだけど初めて一緒にいて寂しく思っちゃった。」
一「…あの日の夜?」
明「うん。みんな普段と変わった様子はないのに、俺だけが知ってるかーちゃんの思いが見えちゃって…。それをない事にしようとわざと沙樹くんに話しかけるかーちゃんに栄美先生は嫉妬して…。
けど、一生徒としてしか見られてない俺は何も出来なくて…。」
と、打ち明け始めた明はヨガをやめて脚を抱えて小さくなる。
明「呑むのやめてたら将が少し酔ってたのか、肩に腕を回して甘えてきて…。
全部今まで見て経験したことがあるのに、色々知っちゃった途端に寂しくなっちゃった。」
一「…全部、嫌になった?」
俺は恐る恐る明に聞いてみた。
俺の勝手な友達の励まし方はあんまり明に響かなかったのかもしれない。
明「ううん。好きだから寂しい。」
明は朝日を薄目で見ながらそう呟いた。
その目はあの日ずっと音己ねぇを待ってた俺と同じ目をしていて、明の気持ちが痛いほど分かる気がした。
明「かーちゃんは俺の中身を1番初めから見ようとしてくれたから好きになったんだ。
出会ってきたみんなの第一声が俺に男か女か聞いてくるのに、かーちゃんは俺の自己紹介が丁寧だねって褒めてくれたんだ。その自己紹介1週間かけて考えてきたからすごい嬉しくて泣いちゃった。」
そうだったのか…。
俺も明に男か女か聞いてしまった1人だけれど、海阪先生は男女関係なく最初から人として明を知ろうとしたらしい。
明「一もここにいるみんなも、俺のこと気色悪がらずに一緒にいてくれるからすごい嬉しいんだ。」
一「そんなこと1度も思ったことないよ。」
明「…嬉しいぃ。」
明はボロボロと涙を膝に落とし始める。
明「小さい時からずっと好きなものを身につけてきたんだ。それでも、俺が好きと思える人たちは一緒にいてくれたことなかったから今すごい嬉しいんだ。」
明はそう言いながら微笑み、俺に笑顔を見せてくれる。
明「今まで出会ってきた人みんなが俺のことを化け物のように扱ってきたけど、化け物でも心はあるんだ…。」
分かるよ。
俺は好きでこの怪我を作ったわけじゃないけど、心ない言葉は沢山あびせられてきた。
明「…けどね、この学校に入ってみんなと出会えてよかったって本当に思ってるんだ。今の俺のことを受け入れてくれて嬉しい。」
一「俺は好きなことを貫き続ける明をカッコいいって思ってる。他人の当たり前は俺たちにとって異常なんだ。自分の無い生き方をするのは死んだと同じだ。」
明「…俺、一瞬死にかけた。けど、一のおかげで大丈夫になったんだ。ありがとう。」
この間、俺がついた嘘が明を救ったらしい。
俺の嘘は真実になることはないだろうけれど、それで救われるのであればまた何度も嘘をつくよ。
一「いや、決めたのは明だ。死ななくてよかったよ。」
俺は明に微笑み、綺麗に整えられていた髪の毛を崩すように撫でる。
すると、明は溢れた涙を拭いていつもの笑顔を見せてくれた。
明「一、好き!」
一「俺も好き。」
明は飛びかかり、俺を押し倒して抱きつく。
ずっと好きなことを貫いてきた明でも、たくさん辛いことにぶち当たってきてしまったんだなと知ると、どんな人生を送っても嫌なことは起きてしまうんだなと嫌になる。
けど、やっぱり自分の思いに反したことをしたくないと思い俺は覚悟を決めた。
→ 君がついた嘘なら
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