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「うーんっ!泥くさい!いいね♡」
と、笑顔で夢衣は夜の散歩を楽しむ。
俺は少しヒールが高い夢衣の足元を照らしながら、河原に向かう。
一「臭いのに好きなのか?」
夢衣「うん!じぃじとばぁばの家、思い出す!」
そういえば昔、夢衣のおばあさんが亡くなってずっと泣いていたなと思い出した。
今はそれを克服したのか、笑顔で夕立が過ぎたあとの湿った土の匂いを嗅いで楽しんでいる。
夢衣「ひーくんの友達、面白くていい人いっぱいで羨ましいな。」
一「今はもう夢衣の友達だろ?」
夢衣「…そうなのかな?」
一「みんな夢衣の事いい奴って言ってたし、もっと知っていきたいなって言ってた。」
夢衣「でも知ったら離れちゃう。」
夢衣はそう言うとさっきまで笑顔だったのに、急に泣き出しそうな顔をする。
一「俺の友達はそんなことしないよ。俺を知っても離れなかったよ。」
夢衣「ひーくんだからだよ。」
一「あいつらみんな、俺と夢衣の事を分かってくれる優しい奴らだから大丈夫。」
夢衣「…優しい人は怖い人だよ。」
夢衣は足を止めて、下を俯いてしまう。
俺が知らない夢衣の時間に今でも涙が溢れるほど嫌な事をされてしまったらしい。
一「みんな夢衣のこと見てくれるから。ちゃんと人として見てくれるから1回だけ信じてみて。」
俺は夢衣の顔を両手で包み、強制的に上を向かせて俺と目を合わせる。
一「…もし、あいつらも夢衣が出会ってきた昔の“お友達”と一緒だったとしても俺がいるから大丈夫。俺は夢衣の事、大半知ってるけど離れなかっただろ?」
夢衣「…今年の夏まで会ってなかったじゃん。」
一「夢衣が他の男たちに夢中で、俺のこと目もくれなかったじゃん。」
夢衣「…そんな事ないし。」
夢衣は俺と合わせていた目を逸らし、唇を尖らす。
一「でも、俺のところに戻ってきたってことは夢衣なりに何か理由があったんだろ?少しでも俺のことを思い出して頼ってくれたのが嬉しい。」
俺はそのまま夢衣に抱きつくと夢衣も俺に抱きつく。
一「俺は夢衣が求めてる存在にはなれないけど、一緒にいたい時は一緒にいられるようにするから。もう1人にはさせないから安心して。」
夢衣「…うん。」
本当に俺は俺が嫌になる。
夢衣のためにじゃなくて俺のために夢衣を1人にはさせない。
俺が1人になりたくないから、1人になってしまいそうな夢衣に優しくしてしまう。
こんなことしたら夢衣が俺の事を彼氏って言ってしまうのなんて分かっているのに、自分のための言葉を夢衣に渡してしまう。
ごめんな。夢衣。
俺も1人は寂しいんだ。
夢衣「…ひーくん、暑い。」
俺がしばらく夢衣の温もりを感じていると、夢衣は俺の熱で顔を火照らせてしまう。
一「ごめん。暑いよな。」
俺は夢衣の体をゆっくり離し、汗と涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭いてあげる。
夢衣「なんでひーくんが泣いてるの…?」
俺の顔を見た夢衣は心配そうに俺を見つめ、俺の目を伝う汗を拭いてくれる。
一「分からない。」
俺は自分の感情をさらけ出せずにやっぱり誤魔化してしまう。
夢衣「…とぼけるひーくんあんまり好きじゃないよ。」
一「そっか…。ごめん。」
夢衣「あとは全部好きだよ。」
一「…ありがと。」
俺は続けて『そういう夢衣が好き』と続けてしまいそうになる言葉を舌先で止める。
一「夢衣の全部を分かってくれる人は絶対いるから大丈夫。一緒に見つけよう?」
夢衣「…うん。分かった。」
俺は夢衣の顔についた水滴を全て拭き取り、手を繋いで目的地の河原に向かった。
→ サイレン
と、笑顔で夢衣は夜の散歩を楽しむ。
俺は少しヒールが高い夢衣の足元を照らしながら、河原に向かう。
一「臭いのに好きなのか?」
夢衣「うん!じぃじとばぁばの家、思い出す!」
そういえば昔、夢衣のおばあさんが亡くなってずっと泣いていたなと思い出した。
今はそれを克服したのか、笑顔で夕立が過ぎたあとの湿った土の匂いを嗅いで楽しんでいる。
夢衣「ひーくんの友達、面白くていい人いっぱいで羨ましいな。」
一「今はもう夢衣の友達だろ?」
夢衣「…そうなのかな?」
一「みんな夢衣の事いい奴って言ってたし、もっと知っていきたいなって言ってた。」
夢衣「でも知ったら離れちゃう。」
夢衣はそう言うとさっきまで笑顔だったのに、急に泣き出しそうな顔をする。
一「俺の友達はそんなことしないよ。俺を知っても離れなかったよ。」
夢衣「ひーくんだからだよ。」
一「あいつらみんな、俺と夢衣の事を分かってくれる優しい奴らだから大丈夫。」
夢衣「…優しい人は怖い人だよ。」
夢衣は足を止めて、下を俯いてしまう。
俺が知らない夢衣の時間に今でも涙が溢れるほど嫌な事をされてしまったらしい。
一「みんな夢衣のこと見てくれるから。ちゃんと人として見てくれるから1回だけ信じてみて。」
俺は夢衣の顔を両手で包み、強制的に上を向かせて俺と目を合わせる。
一「…もし、あいつらも夢衣が出会ってきた昔の“お友達”と一緒だったとしても俺がいるから大丈夫。俺は夢衣の事、大半知ってるけど離れなかっただろ?」
夢衣「…今年の夏まで会ってなかったじゃん。」
一「夢衣が他の男たちに夢中で、俺のこと目もくれなかったじゃん。」
夢衣「…そんな事ないし。」
夢衣は俺と合わせていた目を逸らし、唇を尖らす。
一「でも、俺のところに戻ってきたってことは夢衣なりに何か理由があったんだろ?少しでも俺のことを思い出して頼ってくれたのが嬉しい。」
俺はそのまま夢衣に抱きつくと夢衣も俺に抱きつく。
一「俺は夢衣が求めてる存在にはなれないけど、一緒にいたい時は一緒にいられるようにするから。もう1人にはさせないから安心して。」
夢衣「…うん。」
本当に俺は俺が嫌になる。
夢衣のためにじゃなくて俺のために夢衣を1人にはさせない。
俺が1人になりたくないから、1人になってしまいそうな夢衣に優しくしてしまう。
こんなことしたら夢衣が俺の事を彼氏って言ってしまうのなんて分かっているのに、自分のための言葉を夢衣に渡してしまう。
ごめんな。夢衣。
俺も1人は寂しいんだ。
夢衣「…ひーくん、暑い。」
俺がしばらく夢衣の温もりを感じていると、夢衣は俺の熱で顔を火照らせてしまう。
一「ごめん。暑いよな。」
俺は夢衣の体をゆっくり離し、汗と涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭いてあげる。
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俺の顔を見た夢衣は心配そうに俺を見つめ、俺の目を伝う汗を拭いてくれる。
一「分からない。」
俺は自分の感情をさらけ出せずにやっぱり誤魔化してしまう。
夢衣「…とぼけるひーくんあんまり好きじゃないよ。」
一「そっか…。ごめん。」
夢衣「あとは全部好きだよ。」
一「…ありがと。」
俺は続けて『そういう夢衣が好き』と続けてしまいそうになる言葉を舌先で止める。
一「夢衣の全部を分かってくれる人は絶対いるから大丈夫。一緒に見つけよう?」
夢衣「…うん。分かった。」
俺は夢衣の顔についた水滴を全て拭き取り、手を繋いで目的地の河原に向かった。
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