一なつの恋

環流 虹向

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カーテンを開けたまま寝ていたらしく、日差しが俺のまぶたを焼き付けてきたので目を覚ますと俺より先に起きた夢衣が着替えをしていた。

一「おはよ。」

夢衣「あ、ひーくんおはよー。」

最近の夢衣はご機嫌らしく自分から外に出ようとしてくれるから前より楽になった。

夢衣「今日、モモちゃんとデートしてくる。」

モモちゃん?
大学の友達だろうか。

一「へー。大学の人?」

夢衣「うん。ちょっと前にお話して仲良くなったの。」

夢衣は服選びに専念していたのかそこら中の壁にいろんなコーディネートの服がかけられている。

一「何デート?」

夢衣「カフェ行って、映画観るって。」

一「じゃあ節約で今日の朝カフェやめとくか。」

夢衣「やだ!ひーくんと一緒に行くの。」

夢衣は自分だけ準備万端で寝癖と寝間着のままの俺を外に連れ出そうとするので5分だけ時間をもらい、今日のカフェに向かう。

夢衣「ひーくん、今日の夜来れないの?」

一「うん。先輩に呑みの誘いされちゃって断れなかった。」

夢衣「私も行きたい。」

一「…男臭いからやめとけ。」

夢衣「んぅー…。じゃあ明日デートしよ。」

夢衣は唇を尖らせながら組んでいた腕にしがみつく。

一「どこか候補あるの?」

夢衣「ないけどデートしたい。」

一「…分かった。カラオケついてるホテル泊まるか。」

夢衣「うん!楽しみ!」

夢衣は子どものように体を跳ねさせて喜びを表す。

何だかんだ引っ張り出さないと行動してくれないと思っていた夢衣だけど、大学で友達が出来たみたいだしこれからは少し会う頻度落としても大丈夫かもしれない。

しかも来週からは明たちと知り合うし、さらに人との繋がりが出来るからもう俺は用済みかな。

いつ夢衣の元から去ろうかと考えていると、カフェについてオープンテラスの席に座った。

夢衣「ここのお茶漬け美味しいんだって。」

一「じゃあ、お茶漬けセットになってるやつ食べるか。」

2人でそれぞれ別の味を頼んで味を共有し合う。

夢衣「お出汁の味って体にしみるぅ…。」

一「日本の宝だな。」

俺たちはお茶漬けの旨味に感動していると、カメラのシャッター音が俺たちに向けて聞こえる。

俺は不審に思って音がした方を見ると、通りすがりの若い男2人組がこちらにカメラを向けていたのをすぐに隠した。

一「…なんだ?」

夢衣「私だと思う。」

一「え?」

夢衣「私、ちょこっと有名人なんだぁー♡」

と、夢衣が自分の携帯で見せてくれたのはSNSのフォロワー10万人近いアカウントを見せてくる。

夢衣「ラブグッズのレビュアーしてるの。」

だから棚3段使っても溢れ出るほどの玩具があるのか。

俺は頭の中にある夢衣のイカれレベルを少し下げた。

一「にしても何で夢衣ってバレるんだ?」

夢衣「だって、顔載せてるもん。」

一「…それ、大丈夫なのか?」

夢衣「大丈夫だよ。何もなった事ないし、なったら警察呼ぶもん。」

意外とまともな思考だった事を俺は今日で理解し、まだ理解してなかった夢衣の事について知ろうとしなかったことに反省した。

夢衣にさっきの盗撮の事を聞くと1人で外にいる時はよくあるらしく、それで外に出るのが億劫だったりしたらしい。

俺と遊んでいる時もたまに撮られていたけど、俺が全く気づいてなかっただけみたいで夢衣は何も気にしてる様子はなかった。

夢衣のメンタルは強いのか弱いのか謎だが、これからはオープンテラスでは食事をしないように心がけることにした。





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