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最悪だ。
オプション料を払わない客がオプション内容を強要してきたから少しキレめに話したら蹴飛ばされ、挙句には今日は家に帰って頭を冷やしてこいと言われた。
一応、目標の部屋代5万は稼げたからいいとして来週から行くのだるくなってきたな。
俺は気分転換に仕事場から学校の最寄り駅まで歩くことにした。
今日は金曜日。
いい感じにみんな出来上がってきて、これから夜を楽しむ時間。
大通りの横断歩道にはたくさんの人が行き交い、この街の空気を混ぜ込んでいく。
俺もその中の1人だけど、誰1人の記憶には残らない存在。
俺もその場にいる人たちの顔も、服も、髪型も、何も記憶に残らない。
この街はたくさんのものがあるけど、何も残らない感じがするから遊ぶだけの場所にはいい。
何したって許されそうな雰囲気はあるけど、暗黙のルールはあってそれを街に来た奴は雰囲気で守ってる。
そこから外れたものはどんどん消えものになってしまうんだろうな。
消えものにならない程度には遊んできたけど、俺にも知らない一面がまだあるんだなとこの間のレオさんの話を聞いて思った。
生きて何か成したいから俺は体を傷つけないでいたけれど、今の仕事だと勝手に傷つけられる気がして嫌になってきた。
俺は仕事に悩みながら街を歩くと、1組のカップルに目がつく。
その甲高い声には聞き覚えがあってよく見てみるとツツミさんの彼女と言われてる女が俺の知らない男と腕を組んで歩いている。
あの男もレオさんが言ってたみたいに消えものになったりするんだろうかと思ったら、この場にいるみんないついなくなっても俺は知らないまんまなんだろうなと思いなぜか悲しくなった。
1人で勝手に寂しくなってると天から電話が来たので出る。
天『ひぃー…にぃ…。』
天の声が遠くて聞こえずらい。
俺は耳をすまして天の声を聞き取ろうとする。
天『なんで渡辺なの!?』
天の怒鳴り声で鼓膜が死んだ。
一「…うるさっ。なんだよ。見舞い行きたいって言ってたんだって。」
天『あんなクズ、私に会わせないでよ!』
一「どういうこと?いい奴だと思ったけど。」
天『あいつ、私をいじめてる張本人!』
一「…は?」
天『夕方からずっと家の前で座り込みしてる。そいつもいじめてくるナツコたちもいる!』
俺の目はいつまで経っても節穴なのか。
俺はすぐに車道へ向かって走る。
一「すぐ帰る。しっかり戸締りしとけ。」
天『してる。…電話繋げたままにして?』
一「分かった。」
俺はせっかく稼いだ金でタクシーに乗り、しばらくすると家が見えてきたので近場にタクシーを着けた。
一「お釣り、大丈夫です。」
俺はタクシーから飛び降り、8人近く座り込んで談笑してる男女に近寄る。
その中には天の友達だったアンちゃんもいた。
渡辺「あー!天使ちゃんのお兄さぁーん!」
渡辺が憎たらしい猫なで声で叫び、俺に手を振る。
「あー!今日学校で見かけた大学生じゃん!」
「天使のお兄さんなんだー。もったいなーい。」
もったいない…?
誰だったら無駄にならねぇんだよ。
一「みんなで見舞いか?」
俺は苛立ちながらも手は上げないように心がける。
「んな訳ないじゃん。」
「天使ちゃんの初体験ムービー撮りに来たけど開けてくれないの。」
「「ねー。」」
渡辺「変なことしないですよ。少し遊ぶだけ。」
昼に見た渡辺とは思えない反吐が出るほど憎たらしい笑顔する。
一「帰れよ。友達でもない人間は部屋に入れない。」
「えー?私たち“お友達”だから寂しい天使ちゃんかまってあげてるのに。」
一「天の友達は中学にはいない。帰れ。」
「うわぁ、寂しい奴。」
「友達いないとかマジで死んだ方がマシだわ。」
ゲラゲラと汚い笑い声が響き、腹の煮え返りがピークに達する。
一「渡辺、500円とミントタブレット返せ。」
俺は渡辺の前に立ち、手を出す。
渡辺「あれは僕に女々子先生がくれたものなんですけど。」
一「あの時のお前にだろ?今のお前じゃない。」
渡辺「はぁ?お兄さんも頭沸いてるんですか?」
渡辺がふてぶてしく後ろに手をやり、腕に体重をかけ体を動かすとカラン…とズボンのポケットから音が聞こえる。
俺は音が鳴ったポケットに手を突っ込んで暴れる渡辺から500円とミントタブレットを回収する。
一「帰れ。もう深夜徘徊の時間だ。」
渡辺「はぁ?」
と、渡辺が俺の睨みつけた瞬間、赤いランプが俺の部屋を照らす。
「はいはい。そこの子たちみんな中学生?」
タクシーの中で天に頼んでおいた警察がやっと来た。
一「夕方からずっとここにたむろっててすごい迷惑してるんです。補導お願いします。」
「そうだったんですか…。みんな、親御さんの連絡先教えなさい。」
渡辺「…チッ。」
渡辺がいち早く引き連れていた仲間を置いて逃げようとするのを俺は掴まえる。
一「自分の時間は自己責任。周りの奴ら巻き込んでるなら連帯責任。これ以上、天に何かしようとするならお前が積み上げた地位全部ぶち壊してやるよ。」
ちっぽけな中学校だけで積み上げた地位をな。
渡辺「…。」
渡辺は悔しそうな顔をしながら警察に補導されていく。
人を蹴落としてカーストをあげてもそれは頂点ではあるが0に等しい。
自分の能力で0から上り詰めるからこそ、競い合いがあるのにそれを勘違いしてるバカが多いからいじめが絶えない。
そんなクソみたいな学校に天はよく1人で行ってたなと俺が感心していると静かに部屋から天が出てきた。
天「…アン。」
天は警察車両に乗せられるアンちゃんを見て、掴んでいた扉を握りしめる。
一「お前の友達か?」
天「…。」
一「友達なら呼び戻してくればいい。」
天「…ううん。友達じゃない。」
天は静かに部屋に戻って行き、俺は警察の人たちにお礼を言い家に入った。
→ Paralyzed
オプション料を払わない客がオプション内容を強要してきたから少しキレめに話したら蹴飛ばされ、挙句には今日は家に帰って頭を冷やしてこいと言われた。
一応、目標の部屋代5万は稼げたからいいとして来週から行くのだるくなってきたな。
俺は気分転換に仕事場から学校の最寄り駅まで歩くことにした。
今日は金曜日。
いい感じにみんな出来上がってきて、これから夜を楽しむ時間。
大通りの横断歩道にはたくさんの人が行き交い、この街の空気を混ぜ込んでいく。
俺もその中の1人だけど、誰1人の記憶には残らない存在。
俺もその場にいる人たちの顔も、服も、髪型も、何も記憶に残らない。
この街はたくさんのものがあるけど、何も残らない感じがするから遊ぶだけの場所にはいい。
何したって許されそうな雰囲気はあるけど、暗黙のルールはあってそれを街に来た奴は雰囲気で守ってる。
そこから外れたものはどんどん消えものになってしまうんだろうな。
消えものにならない程度には遊んできたけど、俺にも知らない一面がまだあるんだなとこの間のレオさんの話を聞いて思った。
生きて何か成したいから俺は体を傷つけないでいたけれど、今の仕事だと勝手に傷つけられる気がして嫌になってきた。
俺は仕事に悩みながら街を歩くと、1組のカップルに目がつく。
その甲高い声には聞き覚えがあってよく見てみるとツツミさんの彼女と言われてる女が俺の知らない男と腕を組んで歩いている。
あの男もレオさんが言ってたみたいに消えものになったりするんだろうかと思ったら、この場にいるみんないついなくなっても俺は知らないまんまなんだろうなと思いなぜか悲しくなった。
1人で勝手に寂しくなってると天から電話が来たので出る。
天『ひぃー…にぃ…。』
天の声が遠くて聞こえずらい。
俺は耳をすまして天の声を聞き取ろうとする。
天『なんで渡辺なの!?』
天の怒鳴り声で鼓膜が死んだ。
一「…うるさっ。なんだよ。見舞い行きたいって言ってたんだって。」
天『あんなクズ、私に会わせないでよ!』
一「どういうこと?いい奴だと思ったけど。」
天『あいつ、私をいじめてる張本人!』
一「…は?」
天『夕方からずっと家の前で座り込みしてる。そいつもいじめてくるナツコたちもいる!』
俺の目はいつまで経っても節穴なのか。
俺はすぐに車道へ向かって走る。
一「すぐ帰る。しっかり戸締りしとけ。」
天『してる。…電話繋げたままにして?』
一「分かった。」
俺はせっかく稼いだ金でタクシーに乗り、しばらくすると家が見えてきたので近場にタクシーを着けた。
一「お釣り、大丈夫です。」
俺はタクシーから飛び降り、8人近く座り込んで談笑してる男女に近寄る。
その中には天の友達だったアンちゃんもいた。
渡辺「あー!天使ちゃんのお兄さぁーん!」
渡辺が憎たらしい猫なで声で叫び、俺に手を振る。
「あー!今日学校で見かけた大学生じゃん!」
「天使のお兄さんなんだー。もったいなーい。」
もったいない…?
誰だったら無駄にならねぇんだよ。
一「みんなで見舞いか?」
俺は苛立ちながらも手は上げないように心がける。
「んな訳ないじゃん。」
「天使ちゃんの初体験ムービー撮りに来たけど開けてくれないの。」
「「ねー。」」
渡辺「変なことしないですよ。少し遊ぶだけ。」
昼に見た渡辺とは思えない反吐が出るほど憎たらしい笑顔する。
一「帰れよ。友達でもない人間は部屋に入れない。」
「えー?私たち“お友達”だから寂しい天使ちゃんかまってあげてるのに。」
一「天の友達は中学にはいない。帰れ。」
「うわぁ、寂しい奴。」
「友達いないとかマジで死んだ方がマシだわ。」
ゲラゲラと汚い笑い声が響き、腹の煮え返りがピークに達する。
一「渡辺、500円とミントタブレット返せ。」
俺は渡辺の前に立ち、手を出す。
渡辺「あれは僕に女々子先生がくれたものなんですけど。」
一「あの時のお前にだろ?今のお前じゃない。」
渡辺「はぁ?お兄さんも頭沸いてるんですか?」
渡辺がふてぶてしく後ろに手をやり、腕に体重をかけ体を動かすとカラン…とズボンのポケットから音が聞こえる。
俺は音が鳴ったポケットに手を突っ込んで暴れる渡辺から500円とミントタブレットを回収する。
一「帰れ。もう深夜徘徊の時間だ。」
渡辺「はぁ?」
と、渡辺が俺の睨みつけた瞬間、赤いランプが俺の部屋を照らす。
「はいはい。そこの子たちみんな中学生?」
タクシーの中で天に頼んでおいた警察がやっと来た。
一「夕方からずっとここにたむろっててすごい迷惑してるんです。補導お願いします。」
「そうだったんですか…。みんな、親御さんの連絡先教えなさい。」
渡辺「…チッ。」
渡辺がいち早く引き連れていた仲間を置いて逃げようとするのを俺は掴まえる。
一「自分の時間は自己責任。周りの奴ら巻き込んでるなら連帯責任。これ以上、天に何かしようとするならお前が積み上げた地位全部ぶち壊してやるよ。」
ちっぽけな中学校だけで積み上げた地位をな。
渡辺「…。」
渡辺は悔しそうな顔をしながら警察に補導されていく。
人を蹴落としてカーストをあげてもそれは頂点ではあるが0に等しい。
自分の能力で0から上り詰めるからこそ、競い合いがあるのにそれを勘違いしてるバカが多いからいじめが絶えない。
そんなクソみたいな学校に天はよく1人で行ってたなと俺が感心していると静かに部屋から天が出てきた。
天「…アン。」
天は警察車両に乗せられるアンちゃんを見て、掴んでいた扉を握りしめる。
一「お前の友達か?」
天「…。」
一「友達なら呼び戻してくればいい。」
天「…ううん。友達じゃない。」
天は静かに部屋に戻って行き、俺は警察の人たちにお礼を言い家に入った。
→ Paralyzed
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