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俺はいつも通り、夢衣より早く起きて散らかった部屋を片付ける。
少し会えなくなっただけでこんなに散らかしてくれるもんなんだな。
そう思いながら暴れ散らかしたことが簡単に想像出来る部屋を見て呆れる。
俺は会えずにいた2日分のお詫びに部屋を片付けていると、夢衣が起きた途端また泣き始めた。
夢衣「なんで、一緒に寝てないのぉ…。」
と、布団にくるまりながら俺を見つめてくる夢衣。
一「…ごめん。」
俺は掃除をすぐに止めて夢衣がいるベッドに戻る。
夢衣「もう…、いなくならないで…。」
一「分かった。」
俺は夢衣を抱きしめて目を瞑る。
姐さんにこれを言ってほしかった。
好きって言ってくれてるのに、なんで一緒にいてくれないんだろう。
好きなら一緒にいてもいいじゃん。
病気も、秘密も、俺と一緒に過ごす時間の中でそんなに煩わしいものなのかな。
その2つに負けた俺って魅力も想いも足りなかったのかな。
俺は悔しくて涙が出る。
出会って姐さんを好きになった日の朝からたくさん好きを伝えてきたのに、こんなにもあっさり終わってしまうなんて思わなかった。
もし、終わるなら俺が卒業してあの街から足が遠のいてしまう時なのかと思っていた。
けど、姐さんは今このタイミングで俺に別れを告げてきた。
ずっと自分で抱えっぱなしで俺には頼ってくれないんだな。
俺って好きな人から本当の頼りにもされないんだな。
俺は抱き枕を強く抱きしめる。
抱き枕が少し暑そうにするけれど、今は誰かの温もりを感じてたい。
そうじゃないと生きてる感覚が見つからない。
俺が姐さんのことを考えていると顔についた涙を拭かれて我に帰る。
夢衣「…寂しいの?」
一「うん…。」
そう答えると夢衣が俺を抱きしめてた腕を強める。
夢衣「私がいるよ。」
一「…うん。」
今いてほしいのは夢衣じゃないんだ。
そんなことは言えるわけもなく、俺はそのまま夢衣に抱きついて学校に行く時間まで甘え続けてしまった。
こんなことしたらもっと夢衣が傷つくだけなのに、やっぱり自分が辛い時はどうしても自分を可愛がってしまう。
誰かに頼りたくなってしまう。
姐さんも泣くほど辛い時、俺の知らない頼れる人に頼ってるんだろうな。
俺がその場にいてあげたいのに、いてあげられない。
必要と思われてるって自惚れてその位置に甘えてた俺は大馬鹿者だよな。
姐さんに会いたいよ。
けど、ずっとメッセージは無視されてる。
もうずっと会えないのかな。
あの日最後に触れた少し冷えた手を思い出しながら、俺は夢衣の温もりを借りた。
→ Aitai
少し会えなくなっただけでこんなに散らかしてくれるもんなんだな。
そう思いながら暴れ散らかしたことが簡単に想像出来る部屋を見て呆れる。
俺は会えずにいた2日分のお詫びに部屋を片付けていると、夢衣が起きた途端また泣き始めた。
夢衣「なんで、一緒に寝てないのぉ…。」
と、布団にくるまりながら俺を見つめてくる夢衣。
一「…ごめん。」
俺は掃除をすぐに止めて夢衣がいるベッドに戻る。
夢衣「もう…、いなくならないで…。」
一「分かった。」
俺は夢衣を抱きしめて目を瞑る。
姐さんにこれを言ってほしかった。
好きって言ってくれてるのに、なんで一緒にいてくれないんだろう。
好きなら一緒にいてもいいじゃん。
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その2つに負けた俺って魅力も想いも足りなかったのかな。
俺は悔しくて涙が出る。
出会って姐さんを好きになった日の朝からたくさん好きを伝えてきたのに、こんなにもあっさり終わってしまうなんて思わなかった。
もし、終わるなら俺が卒業してあの街から足が遠のいてしまう時なのかと思っていた。
けど、姐さんは今このタイミングで俺に別れを告げてきた。
ずっと自分で抱えっぱなしで俺には頼ってくれないんだな。
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そうじゃないと生きてる感覚が見つからない。
俺が姐さんのことを考えていると顔についた涙を拭かれて我に帰る。
夢衣「…寂しいの?」
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今いてほしいのは夢衣じゃないんだ。
そんなことは言えるわけもなく、俺はそのまま夢衣に抱きついて学校に行く時間まで甘え続けてしまった。
こんなことしたらもっと夢衣が傷つくだけなのに、やっぱり自分が辛い時はどうしても自分を可愛がってしまう。
誰かに頼りたくなってしまう。
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