60 / 188
7/20
12:00
しおりを挟む
アラームの音で重く腫れたまぶたを開くと、ベッドの脇にあるテーブルにコップとお茶、そして風邪薬が置いてあった。
きっと天が買ってきてくれたんだろう。
けれどその天は外に出かけているのか、向こうの部屋からは何も音が聞こえない。
俺は起き上がり、出かける準備をする。
この家にいたらなにがあったか、話さないといけなくなってしまいそうだから。
話してもいいけれど、今日だけは辛いのも寂しいのももういっぱい味わったから明日にして。
明日にはまた帰ってくるから。
俺は準備をしながら携帯を開き、るあくんにメッセージを送る。
『今日遊ぼ。』
けれど、いつも数秒で送られてくるレスは何分待っても来なかった。
俺はまたそれに涙が溢れそうになってしまう。
また1人、自分の知らない間に好きな人が離れていった。
今回は、俺が気がつかない間にだ。
俺はカバンの中身を確認して夜遊びに行く準備を整えると、玄関が開く音と複数の足音が聞こえる。
俺は急いで準備したカバンを机の下に隠し、寝たふりをすることにした。
天「ひぃ兄、ずっと寝たままでまだ起きてないっぽい。」
将「そうかー…。バイト先で早速、夏風邪でももらったのか?」
明「災難だね。昨日さきちゃんとのデート大丈夫だったのかな?」
海斗「あんまりうるさくしてると体に触るから、見舞いの物だけ置いて行こう。」
昼までバイトの奏以外の3人が休憩の間、学校からここまで足を伸ばしてくれたらしい。
みんな、優しいな。
けど、今はお前たちに頼ってしまうと見せたくない涙も自分の嘘が全てばれてしまうのが怖い。
全部、自分の責任だけどどうしても好きだと思う人には弱いところを見せたくなくて、ただ頼られたいと思ってしまう俺のわがままが頭の中でぐちゃぐちゃになる。
天たち4人は俺がもしかしたら起きるかもと願って昼飯を俺の家で食べるが、どんなに待っても俺は起き上がる決心がつかなかった。
1時間、俺の家でゆったりと過ごした海斗たちはJ ORICONNの作業をするために学校に戻っていった。
ごめん。みんな。
明日はまたいつもの日向 一になるから待っててほしい。
なんの言葉もいらないから俺の寂しさを溶かす時間だけをくれればいい。
俺はこっそりとアラームをつけ、15時には起きれるようセットしてまた目を瞑る。
こうやって、どうしても辛い時はたくさん眠ってしまう。
保育園の頃も、小学生の頃も、中学生の頃も、高校生の頃も、誰にも相談せず自分の頭で最善の答えを考え手帳にまとめて、相手にとって最善の答えを出す。
それが俺なりの辛いことの終わらせ方。
今日の夜にはちゃんとまとめられるように頑張るから、今はただ寝かせてほしい。
俺はまた寂しさをまぶたの裏にある暗闇に溶かした。
→ 風のように
きっと天が買ってきてくれたんだろう。
けれどその天は外に出かけているのか、向こうの部屋からは何も音が聞こえない。
俺は起き上がり、出かける準備をする。
この家にいたらなにがあったか、話さないといけなくなってしまいそうだから。
話してもいいけれど、今日だけは辛いのも寂しいのももういっぱい味わったから明日にして。
明日にはまた帰ってくるから。
俺は準備をしながら携帯を開き、るあくんにメッセージを送る。
『今日遊ぼ。』
けれど、いつも数秒で送られてくるレスは何分待っても来なかった。
俺はまたそれに涙が溢れそうになってしまう。
また1人、自分の知らない間に好きな人が離れていった。
今回は、俺が気がつかない間にだ。
俺はカバンの中身を確認して夜遊びに行く準備を整えると、玄関が開く音と複数の足音が聞こえる。
俺は急いで準備したカバンを机の下に隠し、寝たふりをすることにした。
天「ひぃ兄、ずっと寝たままでまだ起きてないっぽい。」
将「そうかー…。バイト先で早速、夏風邪でももらったのか?」
明「災難だね。昨日さきちゃんとのデート大丈夫だったのかな?」
海斗「あんまりうるさくしてると体に触るから、見舞いの物だけ置いて行こう。」
昼までバイトの奏以外の3人が休憩の間、学校からここまで足を伸ばしてくれたらしい。
みんな、優しいな。
けど、今はお前たちに頼ってしまうと見せたくない涙も自分の嘘が全てばれてしまうのが怖い。
全部、自分の責任だけどどうしても好きだと思う人には弱いところを見せたくなくて、ただ頼られたいと思ってしまう俺のわがままが頭の中でぐちゃぐちゃになる。
天たち4人は俺がもしかしたら起きるかもと願って昼飯を俺の家で食べるが、どんなに待っても俺は起き上がる決心がつかなかった。
1時間、俺の家でゆったりと過ごした海斗たちはJ ORICONNの作業をするために学校に戻っていった。
ごめん。みんな。
明日はまたいつもの日向 一になるから待っててほしい。
なんの言葉もいらないから俺の寂しさを溶かす時間だけをくれればいい。
俺はこっそりとアラームをつけ、15時には起きれるようセットしてまた目を瞑る。
こうやって、どうしても辛い時はたくさん眠ってしまう。
保育園の頃も、小学生の頃も、中学生の頃も、高校生の頃も、誰にも相談せず自分の頭で最善の答えを考え手帳にまとめて、相手にとって最善の答えを出す。
それが俺なりの辛いことの終わらせ方。
今日の夜にはちゃんとまとめられるように頑張るから、今はただ寝かせてほしい。
俺はまた寂しさをまぶたの裏にある暗闇に溶かした。
→ 風のように
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
エンディングノート
環流 虹向
恋愛
出会って、付き合って、別れるまでのエンディングノート
[主人公]采原 明人/さいはら めりは、社会人2年目で毎日を多忙に過ごし癒しゼロ。
けれど、そんな明人にオアシスが現れた。
2021/09/30 完結しましたが改めて校正したいので一旦全話非公開にして、また順次投稿します。
11/27から19:00に更新していきます。
君と出会って
君と付き合って
君とお別れするまでが綴られている
私が書いた、もぐもぐノート
君がいる、あの時に戻りたいと思った時は
いつもこのノートに綴られたごはんを食べるんだ
そしたらあの日、君と食べたごはんが
1番美味しかったって思い出せるから
だから、このノートにはもうペンを走らせない
これは君と私のエンディングノートだから
他の人とのもぐもぐ日記はいらないの
だけど、また
始められるように戻ってきてほしいな
私はまだ、君をあの街で待ってるよ
君のじゃない、別のお家で
君じゃない人と一緒に
Ending Song
君がドアを閉めた後 / back number
転載防止のため、毎話末に[環流 虹向/エンディングノート]をつけています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
アンコール マリアージュ
葉月 まい
恋愛
理想の恋って、ありますか?
ファーストキスは、どんな場所で?
プロポーズのシチュエーションは?
ウェディングドレスはどんなものを?
誰よりも理想を思い描き、
いつの日かやってくる結婚式を夢見ていたのに、
ある日いきなり全てを奪われてしまい…
そこから始まる恋の行方とは?
そして本当の恋とはいったい?
古風な女の子の、泣き笑いの恋物語が始まります。
━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━
恋に恋する純情な真菜は、
会ったばかりの見ず知らずの相手と
結婚式を挙げるはめに…
夢に描いていたファーストキス
人生でたった一度の結婚式
憧れていたウェディングドレス
全ての理想を奪われて、落ち込む真菜に
果たして本当の恋はやってくるのか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる