一なつの恋

環流 虹向

文字の大きさ
上 下
57 / 188
7/19

12:00

しおりを挟む
俺は選択を間違ったらしい。

ツツミさんが経営している数ヶ月前に出来た銭湯はただの性風俗店ということが研修中に理解できた。

研修はツツミさんではなく、少し前から働いてる先輩のレオさんに教えてもらったけど俺がなんでこんなにもやる気がないのか不思議そうにしていた。

俺の働く“牛乳屋”ブースは小学校の頃、給食で飲んでいた牛乳と同じくらいの大きさの物を3000円で売っていて、それを俺の口から相手に飲ますことで1回につき1800円で貰えるということだったらしい。

レオさんは最後までやってしまう“浴場”でいつも仕事をしているらしく、普段仕事している店の倍を稼げたと自慢してきたが俺はあまり乗り気にはなれなかった。

けど、15時までやるという話になっているので指名されてしまったらやるしかない。

俺はレオさんと一緒に牛乳屋のブースで客を待っていると、バスローブ姿の30代3人組が入ってきた。

部屋の前にはプレイ内容が必ず書いてあって確認して入ってくることが大半なので、9割方は俺ら牛乳屋の客になるらしい。

レオ「お姉さん、冷えた牛乳いかがですか?」

と、レオさんは声色を変えて客に声を掛けた。

即答でお願いしますと甘い声で了承する3人。

するとレオさんは裏から人を呼んでくると言って、スタッフルームに走っていってしまった。

俺は客に軽く挨拶して冷蔵庫に入ったプレーンの牛乳、コーヒー牛乳、イチゴミルク、フルーツオレ好きな物を選んでもらい、レオさんたちが帰ってくるのを待つ。

「今日、初めて?」

と、1人の客が俺に質問してきた。

一「はい。さっき研修が終わったばっかりで…」

「えー!可愛い!私この子がいい!」

「私はレオくん。」

「私もこの子がいいんだけど。」

と、俺の話そっちのけで話始める客たち。
軽い悶着をなだめているとレオさんが1人連れてきて、用具入れに置いてあったタイマーを渡してきた。

レオ「お姉さん、牛乳だけ?お掃除は?」

「「「してくー!」」」

自然にオプション追加をしていくレオさん。

レオさんはその後しっかりオプションを3つ追加してもらい、番台でチャージした金で支払いを済ます客たち。

どちらも手馴れた様子で俺は見てて少し嫌悪感を感じてしまった。

俺は1番最初に俺を指名した客と休憩処と書かれた半個室の部屋に入り、すだれで周りの視界を遮る。

「けんくん、よろしくね。」

一「…はい。よろしくお願いします。」

俺は牛乳を口に含み、オプションで追加された直飲みを客の口にしていく。

…この女、ここに来る前中華を食べたのかまだ味が残ってる。

歯磨き必須と書かれてるのになんでしてこないんだよ。

俺は若干イラつきながら何度か牛乳を含んでは客に飲ませる。
けれどせっかく飲ませているのにわざと体にこぼしていく客。
その間に客はゆっくりとバスローブを脱ぎ始めて、下腹部まで牛乳を垂らし始めた。

…ここまで掃除しないといけないのか。

俺は研修で言われた通り、最後の1口を残して客の体についた牛乳を舐めとり掃除をする。

そして、その間に搾乳と呼ばれるオプションを決められた分数していく。
全く乳が出ない代わりに、客からは甘い吐息が出始めて時間が進むごとに隣から聞こえてくる声も大きくなっていく。

「あと…、何分?」

一「あと10分です。」

牛乳1本買うと30分は指名した男といられる仕組み。
だから最大限に楽しむために時間を気にし始めた客。

「水風船、出来る?」

一「…はい。」

俺は最後のオプションのために用意していたコンドームを取り出し、軽く被せるように装着する。

一「一緒に楽しみましょう。」

「うん。」

客が足を開いて俺の指を待ちわびる。
その間に俺は指ドームをつけて客が求めてる場所に触れ、自分のを摩る。

「ぎゅ…、にゅう。」

少しすると客は体をビクつかせながら牛乳を求めてきたので俺は流れを止めないように口で牛乳瓶を掴み、最後の1口を含んでその場に投げ捨てる。

俺は客のだらしなく開いた口に少しずつ牛乳をこぼしていき、全てを注いだ後自分の舌で混ぜ込んで甘みを増させる。

客は少し溺れたような声をあげながら一気に牛乳を飲み干して、最後は1番大きな甘い声を俺の耳元で叫んで脱力した。

俺は客にそっと指を触れたまま、水風船を作り目が潤んでる客の目と鼻の先に見せびらかす。

一「出来ましたよ。」

「…ちょうだい。」

と、口を開けてくる客。

俺はまだ結び目をつけてない作りかけの水風船の中身を客の口に入れ初めての仕事を終えた。

俺は客を見送るとすぐさまレオさんたちが飛びついてきた。

レオ「けんくんすごいな!初めてにしては出来すぎだろ!」

「な!俺、時間余ったから覗いたけどあんなにのびてる客見るの初めてだった。」

褒められてるのか、けなされてるのか、分からない俺は何も言葉に出せなかった。

レオ「ツツミさんの知り合いだけあって、飲み込みが早いな!ここが慣れたら上の階に来いよ。」

レオさんが今よりプレイが濃いブースを勧めてくる。

一「…考えときます。」

俺はその後、数人の客と同じようなことをしてツツミさんにお願いしていた日払いの給料を受け取る。

確認すると26,050円という文字が紙に書かれていて、封筒の中身を見るとその金額が入っていた。

一「…これって今日の給料ですか?」

ツツミ「なんだ?足りなかったか?」

ツツミさんは少し焦り、封筒の中身を確認する。

ツツミ「俺、算数苦手だから毎回確認してくれると助かる。…どうだ?次入れそうか?」

ツツミさんはいつもの笑顔で俺の目を見て聞いてきた。

一「…皆さんは週に何回入ってるんですか?」

ツツミ「研修してくれたレオは今は週4、違う店で週2で働いてるって言ってたな。」

俺が働いてるところよりも給料が高いところで働いてると言ってたから、この倍近くは余裕で稼いでるのだろう。

でも、こういう仕事は親の仕事上あまり気が向かなかった。
というよりやって良かったのか分からない。

ツツミ「とりあえず、金がないんだろ?生活費分を稼ぎながらこのまま続けるか考えてみたらどうだ?」

あと、10万円近く稼げれば夏休み中は実家に帰らないで済む。

学費をこれで稼ごうと思えば稼げるのだろうけど、そこまで自分の気持ちが続くのかは分からない。

一「…そうします。」

ツツミ「良かった。レオから仕事ぶり聞いたがいいらしいじゃないか。リーピーターがっつり作っていけ。」

一「分かりました。」

俺は今週分のシフトを出して、少し重くなったカバンを持って学校に戻った。





→ Baby
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

エンディングノート

環流 虹向
恋愛
出会って、付き合って、別れるまでのエンディングノート [主人公]采原 明人/さいはら めりは、社会人2年目で毎日を多忙に過ごし癒しゼロ。 けれど、そんな明人にオアシスが現れた。 2021/09/30 完結しましたが改めて校正したいので一旦全話非公開にして、また順次投稿します。 11/27から19:00に更新していきます。 君と出会って 君と付き合って 君とお別れするまでが綴られている 私が書いた、もぐもぐノート 君がいる、あの時に戻りたいと思った時は いつもこのノートに綴られたごはんを食べるんだ そしたらあの日、君と食べたごはんが 1番美味しかったって思い出せるから だから、このノートにはもうペンを走らせない これは君と私のエンディングノートだから 他の人とのもぐもぐ日記はいらないの だけど、また 始められるように戻ってきてほしいな 私はまだ、君をあの街で待ってるよ 君のじゃない、別のお家で 君じゃない人と一緒に Ending Song 君がドアを閉めた後 / back number 転載防止のため、毎話末に[環流 虹向/エンディングノート]をつけています。

アンコール マリアージュ

葉月 まい
恋愛
理想の恋って、ありますか? ファーストキスは、どんな場所で? プロポーズのシチュエーションは? ウェディングドレスはどんなものを? 誰よりも理想を思い描き、 いつの日かやってくる結婚式を夢見ていたのに、 ある日いきなり全てを奪われてしまい… そこから始まる恋の行方とは? そして本当の恋とはいったい? 古風な女の子の、泣き笑いの恋物語が始まります。 ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ 恋に恋する純情な真菜は、 会ったばかりの見ず知らずの相手と 結婚式を挙げるはめに… 夢に描いていたファーストキス 人生でたった一度の結婚式 憧れていたウェディングドレス 全ての理想を奪われて、落ち込む真菜に 果たして本当の恋はやってくるのか?

UNDEAD・L・L・IVE

環流 虹向
恋愛
過激表現多々有〼。 転載防止のため、毎話末に[環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE]をつけています。 私はいつも指先ひとつで殺される あの日も 今日も いつまでも だけど、君だけは 私を唯一生かしてくれた だから私は生きてる限り 君が欲している物を全て贈り届けるよ Co Addiction Sweet Little Lies / bülow

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...