52 / 188
7/17
22:00
しおりを挟む
「やだ。今日も一緒に寝よ。」
夢衣は帰ろうとする俺の体から離れてくれない。
一「酒も呑んだし、やる事やっただろ?そろそろ家に帰らないと…」
夢衣「…彼女いるの?」
夢衣が不機嫌そうに聞いてくる。
いてもいなくても夢衣には関係ないのに。
一「今、妹が家に来てるんだ。だから面倒見ないと…」
夢衣「天ちゃん!私も会いたい!」
夢衣が立ち上がり、近くに投げ捨てた服を拾い始める。
なんで会う前提で出かける準備始めてるんだ?
一「天は今、俺より忙しいから遊べないぞ。」
夢衣「えー…?中学生なんか遊び盛りじゃん。」
一「夏休みの宿題と浴衣の課題があるから無理だと思う。」
夢衣「浴衣?そんなの宿題で出された事ないよ。今の中学生って大変だね。」
一「浴衣は天が自分で作ってるだけ。」
夢衣「え!?天ちゃん、独学で浴衣作ってるの?すごい!」
一「だから邪魔してやるな。」
えー、と言いながら行く気がなくなったのかシャツだけ着て半裸のままベッドに泳ぎに行く夢衣。
夢衣「…私の浴衣も作ってくれるかな?」
一「あー…、聞いてみるか。」
俺は天に電話をしてみると、まさかの半コールで出た。
天『はい。今、宿題やってます。』
あいつらと間違えてるらしい。
きっとこの2日で何度も連絡を入れてくるのだろう。
一「お疲れ。あのさ…」
天『あ!ひぃ兄!いつ帰ってくるの!?』
俺の声に驚きながらも少し怒って俺の帰宅を待つ天。
昨日帰るはずだったから怒られてもしょうがない。
一「もう帰る。あのさ、夢衣って覚えてる?」
天『確か、ひぃ兄の1番可愛い元彼さんでしょ?』
一「まあそんなとこ。夢衣が天に浴衣作ってほしいって。」
夢衣「天ちゃーん♡おひさぁー。」
夢衣が俺の電話の横に頭を寄せて話し始める。
天『夢衣ちゃんの声だ!より戻したんだね、おめでとうっ!』
一「戻してない。で、作れそうか?」
天『え?そうなの?…うん!作れるよ。』
天は少し困惑した声で俺にそう答えた。
天の歳だった時の俺でもきっとこの状況に困惑するだろうな。
一「作れるって。」
夢衣「やったぁ♡天ちゃんありがとう!楽しみにしてるね。」
天『はーい!女の子の浴衣作りたかったから嬉しいぃ…!』
一「じゃあ、また後でな。」
天『はーい。』
俺は携帯をポケットに入れて合宿の時に持っていったキャリーケースから、メージャーを取り出し夢衣のサイズを図って天に送信する。
夢衣「ピンクの浴衣がいいー。」
一「言っとく。あとなんかある?」
夢衣「フリル付いてるの可愛いと思う!」
一「そんな凝った浴衣出来るか分からないけど言っておく。」
俺はメジャーをしまいながら家を出る準備を始める。
そろそろ電車がなくなるから早く出ないと。
夢衣「…帰るの?」
と、まだ夢衣はだだをこねる。
一「帰るよ。朝になったら今日食べれなかったエッグのやつ食べに行こ。」
夢衣「1人じゃ寝れないよ。」
一「前は寝れただろ?甘えるな。」
夢衣「ううぅ…。1人嫌なんだけど。」
靴を履き始める俺を夢衣は後ろから抱きついてきてまた離してくれない。
一「1人で何かする時間も必要なんだ。風呂沸かしといたから長風呂すればいいじゃん。」
俺は合宿の土産で買った入浴剤と顔パックが置いてあるローテーブルを指した。
けど、夢衣はそれでも不服そうな顔をして離してくれない。
夢衣「…1人やだ。」
一「…俺も1人の時間、好きじゃないよ。けど、俺とだけの時間ばかりじゃだめなんだ。明日は夢衣のやってみたい事見つけよう。」
俺は振り返って夢衣の頭にキスをする。
一「明日は朝から夕方まで一緒にいられるから、少しだけ自分の時間作ろう?」
俺は夢衣の手を引いてしゃがんでる所を立ち上がらせる。
夢衣は口を尖らしながらも俺の話をちゃんと聞いて整理しようとしていた。
夢衣「…何時に来るの?」
一「夢衣は何時に起きようと思ってる?」
夢衣「んー…、7時くらい。」
一「夢衣が起きる前にここに来るから。ゆっくり寝て美味い朝飯一緒に食べよ。」
夢衣「…分かったよぉ。」
まだ納得はしてない様子だけれど、OKしてくれたことに一安心する。
一「明日ね。おやすみ。」
夢衣「…おやすみ。」
夢衣は名残惜しそうに俺に手を振って静かに家の鍵を閉め、俺はキャリーケースを引きながら急いで駅に向かった。
→ チューリップ
夢衣は帰ろうとする俺の体から離れてくれない。
一「酒も呑んだし、やる事やっただろ?そろそろ家に帰らないと…」
夢衣「…彼女いるの?」
夢衣が不機嫌そうに聞いてくる。
いてもいなくても夢衣には関係ないのに。
一「今、妹が家に来てるんだ。だから面倒見ないと…」
夢衣「天ちゃん!私も会いたい!」
夢衣が立ち上がり、近くに投げ捨てた服を拾い始める。
なんで会う前提で出かける準備始めてるんだ?
一「天は今、俺より忙しいから遊べないぞ。」
夢衣「えー…?中学生なんか遊び盛りじゃん。」
一「夏休みの宿題と浴衣の課題があるから無理だと思う。」
夢衣「浴衣?そんなの宿題で出された事ないよ。今の中学生って大変だね。」
一「浴衣は天が自分で作ってるだけ。」
夢衣「え!?天ちゃん、独学で浴衣作ってるの?すごい!」
一「だから邪魔してやるな。」
えー、と言いながら行く気がなくなったのかシャツだけ着て半裸のままベッドに泳ぎに行く夢衣。
夢衣「…私の浴衣も作ってくれるかな?」
一「あー…、聞いてみるか。」
俺は天に電話をしてみると、まさかの半コールで出た。
天『はい。今、宿題やってます。』
あいつらと間違えてるらしい。
きっとこの2日で何度も連絡を入れてくるのだろう。
一「お疲れ。あのさ…」
天『あ!ひぃ兄!いつ帰ってくるの!?』
俺の声に驚きながらも少し怒って俺の帰宅を待つ天。
昨日帰るはずだったから怒られてもしょうがない。
一「もう帰る。あのさ、夢衣って覚えてる?」
天『確か、ひぃ兄の1番可愛い元彼さんでしょ?』
一「まあそんなとこ。夢衣が天に浴衣作ってほしいって。」
夢衣「天ちゃーん♡おひさぁー。」
夢衣が俺の電話の横に頭を寄せて話し始める。
天『夢衣ちゃんの声だ!より戻したんだね、おめでとうっ!』
一「戻してない。で、作れそうか?」
天『え?そうなの?…うん!作れるよ。』
天は少し困惑した声で俺にそう答えた。
天の歳だった時の俺でもきっとこの状況に困惑するだろうな。
一「作れるって。」
夢衣「やったぁ♡天ちゃんありがとう!楽しみにしてるね。」
天『はーい!女の子の浴衣作りたかったから嬉しいぃ…!』
一「じゃあ、また後でな。」
天『はーい。』
俺は携帯をポケットに入れて合宿の時に持っていったキャリーケースから、メージャーを取り出し夢衣のサイズを図って天に送信する。
夢衣「ピンクの浴衣がいいー。」
一「言っとく。あとなんかある?」
夢衣「フリル付いてるの可愛いと思う!」
一「そんな凝った浴衣出来るか分からないけど言っておく。」
俺はメジャーをしまいながら家を出る準備を始める。
そろそろ電車がなくなるから早く出ないと。
夢衣「…帰るの?」
と、まだ夢衣はだだをこねる。
一「帰るよ。朝になったら今日食べれなかったエッグのやつ食べに行こ。」
夢衣「1人じゃ寝れないよ。」
一「前は寝れただろ?甘えるな。」
夢衣「ううぅ…。1人嫌なんだけど。」
靴を履き始める俺を夢衣は後ろから抱きついてきてまた離してくれない。
一「1人で何かする時間も必要なんだ。風呂沸かしといたから長風呂すればいいじゃん。」
俺は合宿の土産で買った入浴剤と顔パックが置いてあるローテーブルを指した。
けど、夢衣はそれでも不服そうな顔をして離してくれない。
夢衣「…1人やだ。」
一「…俺も1人の時間、好きじゃないよ。けど、俺とだけの時間ばかりじゃだめなんだ。明日は夢衣のやってみたい事見つけよう。」
俺は振り返って夢衣の頭にキスをする。
一「明日は朝から夕方まで一緒にいられるから、少しだけ自分の時間作ろう?」
俺は夢衣の手を引いてしゃがんでる所を立ち上がらせる。
夢衣は口を尖らしながらも俺の話をちゃんと聞いて整理しようとしていた。
夢衣「…何時に来るの?」
一「夢衣は何時に起きようと思ってる?」
夢衣「んー…、7時くらい。」
一「夢衣が起きる前にここに来るから。ゆっくり寝て美味い朝飯一緒に食べよ。」
夢衣「…分かったよぉ。」
まだ納得はしてない様子だけれど、OKしてくれたことに一安心する。
一「明日ね。おやすみ。」
夢衣「…おやすみ。」
夢衣は名残惜しそうに俺に手を振って静かに家の鍵を閉め、俺はキャリーケースを引きながら急いで駅に向かった。
→ チューリップ
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ひと夏の恋
環流 虹向
恋愛
一夏の恋日記。
主人公の彼方 夏/かなた なつは、女性専門風俗店で働きお金を稼いでいく。
そのお金で美術専門学校に通い、新しい友達も出来たけれど、高校生の時に付き合っていた彼女の莉李が忘れられずにふとした思い出で寂しくなる。
けれどその寂しさを埋めるために誰かを代わりに置こうとは思わず1人で過ごしていると、ある子に手を引かれ自分の隠していた気持ちを見せるお手本を見せてもらい、自分の気持ちを伝えたい子に伝え始める。
ひとなつの恋にひかれるよ。
もう一度、この手で描くために。
将来のため、君のため、自分のために。
自らの身体だけでなんとかしてきた主人公。
けれど何も芽生えないあの身体に触れることで自分の本心は溶け出し、空気に触れ死んでいく。
批判されると分かっていても、自分がやりたい事のため、生きていくためにはそれをしないといけない。
そして、今日もまた
何でもない人たちと脆く儚い愛を語り、
大切な人たちには砕けても煌めき残り続ける愛を届けられずに日々を過ごしていく。
1話ずつ、オススメの曲を紹介しています。
Spotifyにプレイリスト作りました。
https://open.spotify.com/playlist/08yh0OwB5etrXXEC5LuMJY?si=N-f-0URyRPimdYKj-A2myw&dl_branch=1
サイドストーリーの«一なつの恋»もあります!
・カクヨム
・小説家になろう
・魔法のiらんど
・ノベルアップ+ にも掲載しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる