一なつの恋

環流 虹向

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昼に決めた肝試しをするために消灯時間の見回りにきた栄美先生をやり過ごし、5人でホテルを出る。

日焼け止めと汗でべたついた体をサイクリング後にシャワーで流したけれど、それでも昼の熱が残ったアスファルトが俺たちを汗ばませて気だるくさせる。

海斗「本当に懐中電灯1つで良かったのか?」

明「明るすぎたら意味ないよ。」

将「つけないくらいがちょうどいい。」

海斗「じゃあ2人とも俺の腕掴まないでくれないか?暑い。」

2人が怖いと叫びながら海斗にぴったりとくっついていく後ろを俺と奏は歩く。

一「怖いことないだろ。昼通ったじゃん。」

奏「一はずっと怖いもの知らずだったもんな。」

一「人間の方が怖いだろ。」

奏「幽霊って死んだ人間だよ?」

一「じゃあ生きて体がある奴な。」

俺は2人を驚かせようと思い、携帯で悲鳴の音声を探していると明が先に悲鳴をあげた。

将「…なんだっ!驚かせるな!」

明「人魂見たってぇえええ!」

明がパニックになり始め、海斗が慌て始める。
1番乗り気な2人だけれど雰囲気に飲まれすぎだ。

奏「お酒は諦めてもう帰ろ。」

一「人魂なんかあるわけないんだ。コンビニ行くぞー。」

俺は自分の携帯でライトをつけてあと5分で着くはずのコンビニに向かって歩く。

すると出入り口付近にあるちょっとした遊具が設置された簡易的な公園から男女が話す声が聞こえてくる。

俺はその声を聞き取ろうとその場に止まって意識を集中させていると、俺の肩を震えてる明をおぶった海斗が優しく叩く。

海斗「将もダウンしてるから帰ろう。」

一「向こうから人の声聞こえるんだよ。」

明「えぇっ!?やだやだやだ!」

明が海斗の背中で叫びながら暴れ出すと、男女の声が途絶え足音がこちらに近づいてくる音が聞こえる。

明「いやぁぁぁああああ!きたぁあああっ!」

明は海斗の背中で精一杯縮こまり無意味に隠れる。

「あー…、明ちゃんだぁ。」

と、ワイン瓶を持ちながら頬を染めてる海阪先生とそのふらつく足元を支えてる栄美先生がカーブ横の茂みから現れた。

明「え…、かぁー…ちゃぁ、ん?」

明が海斗の肩越しから海阪先生を確認すると、背中から飛び降りて海阪先生に抱きついた。

栄美「梅宮うめみや、離れろ。俺のくびれだ。」

明「いや、俺のです。」

栄美先生は明を海阪先生から引き離そうとしながら、隙あらば海坂先生のくびれに抱きつこうとする。
それに負けじと明も海阪先生に抱きつく。
その様子を大笑いしながら瓶ごとワインを呑む海阪先生。

どうやら先生2人とも酔ってるらしい。

奏「あれ…。先生たちいたんだ。」

と、いつまで経っても戻ってこない俺たちが心配になったのか、奏と足を震わす将がやって来た。

海阪「おうおうおう!いい男たちが揃ったなぁ。」

将「…美人がワイン、ラッパ呑みしてる。」

将は海坂先生を見て驚きで恐怖の震えが止まり、立ち尽くす。

奏「先生たち呑んでるんですか?」

栄美「呑んでないっ!」

海坂「よぉおおしっ!可愛い男たちと酒乱パーティーすたぁあとぉ!!!」

海坂先生は足元を振らつけせながらもそのままコンビニに向かう。
その隣にずっといる栄美先生はふらつく海坂先生を支えながら財布の残高を確認していた。

奏「…俺たちも?」

一「パーティーって言ってただろ。」

海斗「そうだとしても面倒臭そうだぞ?」

明「えー!かーちゃんと一緒にいようよ。」

将「先生のおごりじゃん!呑もうぜ。」

俺たちは先に行った先生たちに聞こえないよう相談していると海坂先生が普段の3倍の声量で俺たちを呼ぶ。

一「1杯呑んで部屋に帰ろう。」

「「「「うん。」」」」

コンビニで酒を買い、ホテルに帰る途に中花火大会へ行くため抜け出していた永海なみや夏がいる班と合流して、栄美先生の部屋で海坂先生主催の酒乱パーティーに参加した。




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