44 / 188
7/15
7:00
しおりを挟む
朝早くから奏の寝相の悪さでベッドから落とされた。
俺と同じくベッドから落とされた明を起こさないように、海斗と将の寝ているベッドの真ん中に入って眠ろうとするも、暑苦しくて寝心地が悪く寝不足のままラジオ体操を終えて朝飯を食う時間になった。
奏「今日は午前中に近くのひまわり畑行って、午後からは先生たちが決めたスポットを自転車で周るんだって。」
と、奏は今日のスケジュールを見ながら持ち物を確認する。
将「だから水筒が持ち物にあったのか。」
明「お昼自由だよね?どこ行く?」
一「朝飯食ってるのに昼飯の話すんの?」
海斗「ここら辺は生しらすだな。」
みんなでスポット近くの海鮮屋を探し、昼飯時に着くようにある程度道を覚えながら飯を終えた後、バスに乗ってひまわり畑に行く。
そのひまわり畑は俺の頭近くまで大半伸びていてとても迫力がある花畑だ。
明「俺、茎畑なんだけど。」
明が残念がりながら先生たちが案内する整備された道を歩く。
一「俺でも近くにある花しか見えない。」
奏「女の子こういうの好きそうだけど、全体が見えなくて残念がってるね。」
海斗「成長しすぎるもの考えものだな。」
将「明、俺の肩乗るか?」
将がゴリゴリと肩を回しながら明に聞く。
明「俺、結構重いよ?」
将「50以下ならいけるぞ。」
明「本当に!?乗る!」
明は飛んで将の肩に乗り、上から目を輝かせて周りの景色を見る。
プレゼントを待ちわびていた子どものように明は無邪気に目を煌めかせる。
一「俺たちにも見せて。」
俺は明に携帯のカメラで上から見たひまわり畑を数枚撮ってもらい、見せてもらう。
その写真は地平線いっぱいにあるひまわりがこちらを向いて、気持ちよさそうに日差しを浴びていた。
一「将、もっと鍛えといてよ。」
将「一が身長伸ばせばいい。」
一「もう伸びねぇよ。」
俺は携帯に収められた写真でしばらく我慢し、先生たちがブルーシートを広げる丘の上からひまわり畑を見る。
…やっぱり、あの道で見えた景色が1番良かった。
ひまわりは太陽光を浴びるため、俺にそっぽを向いてどれもこちらを向いていない。
明「すげー、“Sun”の絵の中みたい!」
奏「あー…!確かにこんな感じの描いてたね。」
今、このひまわりを見て“Sun”はどんな絵を構想しているんだろう。
“Sun”だったら地面一面に広がるひまわりの色は黄色などではなく、バイオレットやブルーを使って表現するんだろうか。
俺にはそんな色、見えないけどな。
自由に描けるのであれば、俺は自分をこの土に半身を埋めてひまわりの種に思い描いた自分を描くと思う。
それほど、なりたい自分はいるけど過去の俺が今の俺をそうとはさせない。
それこそ底なし沼。
ズブズブともがけばもがくほど飲み込まれていって、最後にはどこかのひまわりの肥料となって生まれ変わるしか選択肢はない。
けどきっと、そのひまわりは肥料が不味くて上手く育てないんだろうなと思うと笑ってしまう。
海斗「なんだ?」
隣に座って模写を始めていた海斗が俺の漏れた笑い声に気づく。
一「ん?晴れてるなって。」
海斗「そうだな。いい天気だ。」
海斗はまた自分の用紙に目を落とし、描き始める。
俺はまだ描く気になれなかったのでさっき明に撮ってもらったひまわり畑の写真を姐さんに送り、いつか旅行をしようとメッセージを送った。
きっとこのひまわりたちみたいに姐さんもいつか俺を見てくれなくなる時が来るんだと思うと、嫌な気持ちになったがそれはいつもあったことだから気にすることはないと自分に言い聞かせ、今見ているひまわり畑の写真を1枚だけ撮って模写を始めた。
→ 少年
俺と同じくベッドから落とされた明を起こさないように、海斗と将の寝ているベッドの真ん中に入って眠ろうとするも、暑苦しくて寝心地が悪く寝不足のままラジオ体操を終えて朝飯を食う時間になった。
奏「今日は午前中に近くのひまわり畑行って、午後からは先生たちが決めたスポットを自転車で周るんだって。」
と、奏は今日のスケジュールを見ながら持ち物を確認する。
将「だから水筒が持ち物にあったのか。」
明「お昼自由だよね?どこ行く?」
一「朝飯食ってるのに昼飯の話すんの?」
海斗「ここら辺は生しらすだな。」
みんなでスポット近くの海鮮屋を探し、昼飯時に着くようにある程度道を覚えながら飯を終えた後、バスに乗ってひまわり畑に行く。
そのひまわり畑は俺の頭近くまで大半伸びていてとても迫力がある花畑だ。
明「俺、茎畑なんだけど。」
明が残念がりながら先生たちが案内する整備された道を歩く。
一「俺でも近くにある花しか見えない。」
奏「女の子こういうの好きそうだけど、全体が見えなくて残念がってるね。」
海斗「成長しすぎるもの考えものだな。」
将「明、俺の肩乗るか?」
将がゴリゴリと肩を回しながら明に聞く。
明「俺、結構重いよ?」
将「50以下ならいけるぞ。」
明「本当に!?乗る!」
明は飛んで将の肩に乗り、上から目を輝かせて周りの景色を見る。
プレゼントを待ちわびていた子どものように明は無邪気に目を煌めかせる。
一「俺たちにも見せて。」
俺は明に携帯のカメラで上から見たひまわり畑を数枚撮ってもらい、見せてもらう。
その写真は地平線いっぱいにあるひまわりがこちらを向いて、気持ちよさそうに日差しを浴びていた。
一「将、もっと鍛えといてよ。」
将「一が身長伸ばせばいい。」
一「もう伸びねぇよ。」
俺は携帯に収められた写真でしばらく我慢し、先生たちがブルーシートを広げる丘の上からひまわり畑を見る。
…やっぱり、あの道で見えた景色が1番良かった。
ひまわりは太陽光を浴びるため、俺にそっぽを向いてどれもこちらを向いていない。
明「すげー、“Sun”の絵の中みたい!」
奏「あー…!確かにこんな感じの描いてたね。」
今、このひまわりを見て“Sun”はどんな絵を構想しているんだろう。
“Sun”だったら地面一面に広がるひまわりの色は黄色などではなく、バイオレットやブルーを使って表現するんだろうか。
俺にはそんな色、見えないけどな。
自由に描けるのであれば、俺は自分をこの土に半身を埋めてひまわりの種に思い描いた自分を描くと思う。
それほど、なりたい自分はいるけど過去の俺が今の俺をそうとはさせない。
それこそ底なし沼。
ズブズブともがけばもがくほど飲み込まれていって、最後にはどこかのひまわりの肥料となって生まれ変わるしか選択肢はない。
けどきっと、そのひまわりは肥料が不味くて上手く育てないんだろうなと思うと笑ってしまう。
海斗「なんだ?」
隣に座って模写を始めていた海斗が俺の漏れた笑い声に気づく。
一「ん?晴れてるなって。」
海斗「そうだな。いい天気だ。」
海斗はまた自分の用紙に目を落とし、描き始める。
俺はまだ描く気になれなかったのでさっき明に撮ってもらったひまわり畑の写真を姐さんに送り、いつか旅行をしようとメッセージを送った。
きっとこのひまわりたちみたいに姐さんもいつか俺を見てくれなくなる時が来るんだと思うと、嫌な気持ちになったがそれはいつもあったことだから気にすることはないと自分に言い聞かせ、今見ているひまわり畑の写真を1枚だけ撮って模写を始めた。
→ 少年
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ひと夏の恋
環流 虹向
恋愛
一夏の恋日記。
主人公の彼方 夏/かなた なつは、女性専門風俗店で働きお金を稼いでいく。
そのお金で美術専門学校に通い、新しい友達も出来たけれど、高校生の時に付き合っていた彼女の莉李が忘れられずにふとした思い出で寂しくなる。
けれどその寂しさを埋めるために誰かを代わりに置こうとは思わず1人で過ごしていると、ある子に手を引かれ自分の隠していた気持ちを見せるお手本を見せてもらい、自分の気持ちを伝えたい子に伝え始める。
ひとなつの恋にひかれるよ。
もう一度、この手で描くために。
将来のため、君のため、自分のために。
自らの身体だけでなんとかしてきた主人公。
けれど何も芽生えないあの身体に触れることで自分の本心は溶け出し、空気に触れ死んでいく。
批判されると分かっていても、自分がやりたい事のため、生きていくためにはそれをしないといけない。
そして、今日もまた
何でもない人たちと脆く儚い愛を語り、
大切な人たちには砕けても煌めき残り続ける愛を届けられずに日々を過ごしていく。
1話ずつ、オススメの曲を紹介しています。
Spotifyにプレイリスト作りました。
https://open.spotify.com/playlist/08yh0OwB5etrXXEC5LuMJY?si=N-f-0URyRPimdYKj-A2myw&dl_branch=1
サイドストーリーの«一なつの恋»もあります!
・カクヨム
・小説家になろう
・魔法のiらんど
・ノベルアップ+ にも掲載しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる