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完成…!
私は完成されたスウェット生地の学ランを見て1人で自分に拍手を送る。
この間、切り刻まれてしまった衣装は自分1人で最後まで作り上げたけど、今回は色んな人の手を借りてこの衣装を作った。
それが初めての経験で私は、アトリエで働かせてもらってたくさんの人と同じものを作り上げるのも楽しいのかもと思い始めた。
それはきっと、自分の意見が全部採用される訳じゃないけれど自分の力が及ばないところを別の人に助けてもらったりして、この世界にとてもいい形で完璧に近い作品が残せるかもしれない。
今までは1人だけでやっているほうがいいと思ったけど、もっと将来のことを考えてみよう。
私は衣装がちゃんと出来たことを渡辺に報告し、瑠愛さんの寝室のベッドにその衣装を置かせてもらう。
天「お部屋、貸していただきありがとうございます。」
私は部屋の片付けを全て終えて、のんびりとTVを見ながらチョコを食べていた悠さんに声をかける。
悠「出来たんだ?」
天「はい!衣装は一応瑠愛さんのベッドの上に置かせてもらいました。」
悠「じゃあお疲れさま会しよっか。」
そう言った悠さんに連れられるがまま、店名が金色で輝いていた焼肉屋さんに連れてきてもらった。
悠「好きなの頼んで。私も好きなの頼むから。」
天「え…、でも…。」
私は思ったよりも高い焼肉屋さんに連れてこられて、お財布には安価な食べ放題分しかないことに焦る。
悠「本当は瑠愛くんからのプレゼントだったんだけど、どうして行かないといけない仕事が入っちゃったんだ。ごめんね。」
天「いえいえ!ご馳走して頂いてありがとうございます!」
ちゃんと、明日会った時に瑠愛さんにもお礼言わないと!
私は悠さんとお腹いっぱいに美味しいお肉を食べて、旨味のジュースで少し胃もたれを感じながらひぃ兄の家に帰り、明日から始まる撮影に必要なものをリュックに詰めていく。
すると、久しぶりに使ったリュックから中学1年の春に杏とお揃いで買ったパンダのキーホルダーが出てきた。
…こんなとこにあったんだ。
また、あいつらに捨てられてたのかと思ってた。
私はそのキーホルダーと一緒にお風呂に入って、部屋に戻るとひぃ兄がソファーでダラダラと過ごしていた。
天「おかえりー。」
一「ただいま。なんか食った?」
天「悠さんと瑠愛さんにご馳走してもらった!」
一「おお、ラッキーだな。」
そう言って、ひぃ兄は体を起こしてキッチンに向かう。
天「ひぃ兄は何も食べてないの?」
一「ナッツとカシオレ。」
天「かしおれ?」
一「カシスオレンジっていうカクテル。俺が呑める方だから天も酒は強そうだよな。」
と、ひぃ兄は小鍋に水を入れて沸騰させながら袋麺を雑に開けた。
天「かしおれって美味しい?」
一「ジュースみたいな感じ。だから太る。」
天「うわぁ…。だからお酒って太るって言うんだ…。」
一「まあ、砂糖が入ってない酒もあるから。そこは天の好みね。」
そんなことを話してくれたひぃ兄はやっぱり雑に乾麺をお湯に飛び込ませて、いつも通り指に軽く火傷を負う。
だからいつもそっと入れればいいのにと言うけど、何回言っても聞いてないようにするのは私たちの親そっくり。
そういう所がやっぱり血が繋がってるって実感するけど、もっといい意味で実感したかったなぁと思ってしまう。
一「そういえばそのパンダなに?」
と、ひぃ兄は私とお風呂に入った濡れパンダを目で指した。
天「お気に入りのキーホルダーだよ。明日つけてこうと思って洗った。」
一「なんか色落ちしてない?」
天「え!?」
私はずっと手に持っていたパンダを見てみると白い毛皮がだんだんと黒くなってることに気がつく。
一「明日になったらシロクマかもな。」
そんな意地悪を言うひぃ兄の脚を一蹴りして、私は久しぶりにゆったりとした夜の時間を過ごした。
環流 虹向/天使とおこた
私は完成されたスウェット生地の学ランを見て1人で自分に拍手を送る。
この間、切り刻まれてしまった衣装は自分1人で最後まで作り上げたけど、今回は色んな人の手を借りてこの衣装を作った。
それが初めての経験で私は、アトリエで働かせてもらってたくさんの人と同じものを作り上げるのも楽しいのかもと思い始めた。
それはきっと、自分の意見が全部採用される訳じゃないけれど自分の力が及ばないところを別の人に助けてもらったりして、この世界にとてもいい形で完璧に近い作品が残せるかもしれない。
今までは1人だけでやっているほうがいいと思ったけど、もっと将来のことを考えてみよう。
私は衣装がちゃんと出来たことを渡辺に報告し、瑠愛さんの寝室のベッドにその衣装を置かせてもらう。
天「お部屋、貸していただきありがとうございます。」
私は部屋の片付けを全て終えて、のんびりとTVを見ながらチョコを食べていた悠さんに声をかける。
悠「出来たんだ?」
天「はい!衣装は一応瑠愛さんのベッドの上に置かせてもらいました。」
悠「じゃあお疲れさま会しよっか。」
そう言った悠さんに連れられるがまま、店名が金色で輝いていた焼肉屋さんに連れてきてもらった。
悠「好きなの頼んで。私も好きなの頼むから。」
天「え…、でも…。」
私は思ったよりも高い焼肉屋さんに連れてこられて、お財布には安価な食べ放題分しかないことに焦る。
悠「本当は瑠愛くんからのプレゼントだったんだけど、どうして行かないといけない仕事が入っちゃったんだ。ごめんね。」
天「いえいえ!ご馳走して頂いてありがとうございます!」
ちゃんと、明日会った時に瑠愛さんにもお礼言わないと!
私は悠さんとお腹いっぱいに美味しいお肉を食べて、旨味のジュースで少し胃もたれを感じながらひぃ兄の家に帰り、明日から始まる撮影に必要なものをリュックに詰めていく。
すると、久しぶりに使ったリュックから中学1年の春に杏とお揃いで買ったパンダのキーホルダーが出てきた。
…こんなとこにあったんだ。
また、あいつらに捨てられてたのかと思ってた。
私はそのキーホルダーと一緒にお風呂に入って、部屋に戻るとひぃ兄がソファーでダラダラと過ごしていた。
天「おかえりー。」
一「ただいま。なんか食った?」
天「悠さんと瑠愛さんにご馳走してもらった!」
一「おお、ラッキーだな。」
そう言って、ひぃ兄は体を起こしてキッチンに向かう。
天「ひぃ兄は何も食べてないの?」
一「ナッツとカシオレ。」
天「かしおれ?」
一「カシスオレンジっていうカクテル。俺が呑める方だから天も酒は強そうだよな。」
と、ひぃ兄は小鍋に水を入れて沸騰させながら袋麺を雑に開けた。
天「かしおれって美味しい?」
一「ジュースみたいな感じ。だから太る。」
天「うわぁ…。だからお酒って太るって言うんだ…。」
一「まあ、砂糖が入ってない酒もあるから。そこは天の好みね。」
そんなことを話してくれたひぃ兄はやっぱり雑に乾麺をお湯に飛び込ませて、いつも通り指に軽く火傷を負う。
だからいつもそっと入れればいいのにと言うけど、何回言っても聞いてないようにするのは私たちの親そっくり。
そういう所がやっぱり血が繋がってるって実感するけど、もっといい意味で実感したかったなぁと思ってしまう。
一「そういえばそのパンダなに?」
と、ひぃ兄は私とお風呂に入った濡れパンダを目で指した。
天「お気に入りのキーホルダーだよ。明日つけてこうと思って洗った。」
一「なんか色落ちしてない?」
天「え!?」
私はずっと手に持っていたパンダを見てみると白い毛皮がだんだんと黒くなってることに気がつく。
一「明日になったらシロクマかもな。」
そんな意地悪を言うひぃ兄の脚を一蹴りして、私は久しぶりにゆったりとした夜の時間を過ごした。
環流 虹向/天使とおこた
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