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環流 虹向

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おとなりあい

185:14:52

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季節外れの水雪が東京に降った今日、私は朝ごはん中のミニバスでカツサンドを写真に撮ってしっかり時音に東京にはいないことを伝える。

すると、時音もベンチコート姿でフードを被り、しっかり厚着をして外撮影をしている自撮りを送ってくれた。

しかも、太陽光でとても眩しそうにしているから日本にいてもきっと東京にはいないんだろう。

私は応援スタンプだけ送り、携帯をしまうと隣でずっと寝ていた春馬くんが車の揺れに驚いて目を覚ました。

春馬「腰いわした…。今何時…?」

と、ジジくさい春馬くんは目をしばしばさせながら背もたれを起こし、あみポケットに入れていた水を飲んだ。

幸来未「今9時だよ。あと30分くらいで着くって言ってた。」

春馬「いいタイミングで起きれたっぽいね。稜平は間に合った?」

私が知らないとこで稜平さんの名前を知った春馬くんはなんのためらいもなく名前を口に出し、バスの中を見渡す。

幸来未「間に合わなかったよ。現地集合だって。」

春馬「まあいろんな事してれば忙しいもんね。2泊3日だし、夜に間に合えば一緒に呑みたいね。」

幸来未「だね。旅館着いたら先にお酒とおつまみ選んじゃう?」

春馬「いいよ。…部屋はバラバラだね。」

と、春馬くんは語尾を萎め、残念そうな顔をする。

幸来未「こんなとこでするつもりないよ?稜平いるし、凛太郎さんもいるし。」

私は通路挟んだ隣の2席を1人で占領して、乗り込んでから足をずっと放り出したまま寝ている凛太郎さんを目線で指す。

春馬「せっかく西宮と泊まりなのに。」

幸来未「…嫌い。」

春馬「そんなことないでしょ。いつも上に乗ってんじゃん。」

幸来未「したいだけなら来ないでよ。」

春馬「それだけのために来ないよ。久しぶりにスノボしたいから来た。」

幸来未「あっそ。」

私はまた好きが遠のいた春馬くんを無視してカツサンドを食べ終えると少ししてお目当てのゲレンデについた。

春馬くん含め社員さんたちは慣れたように準備をし始める中、私は初めてのゲレンデに何をすればいいのか分からず、とりあえずコートはしっかり着て春馬くんのレンタル待ちをしていると春馬くんはCMでよく見る雪山の服に着替えてレンタルのスノーボードを持ってやってきた。

春馬「あれ?西宮はやんないの?」

私の格好にきょとんとした顔をしてる春馬くんに私は首を傾げる。

春馬「チケットで色々レンタル出来るようになってるよ?スキーとスノボ、どっちやる?」

と、春馬くんは何も分からない私に聞いてきた。

どっちもしたことないし、窓辺から見える雪山から滑ってる人を見るとだいぶスピード感があって怖そう。

ゲレンデに来たはいいけどやることを考えてなかった私は悩んでいるフリをしてぐるっと貸し出ししている物を見てみるとカラフルなソリを真剣な顔で選んでいる凛太郎さんを見つけた。

幸来未「私、凛太郎さんとソリしてくる。」

春馬「そっか。じゃあ昼休憩の時に合流しよっか。」

幸来未「うん。楽しんできて。」

私は社員さんたちのグループに臆することもなく混じる春馬くんを見送ってまだ真剣に悩んでいる凛太郎さんのそばに行く。

幸来未「色で悩んでるんですか?」

凛太郎「いえ。どれが1番新しいか見てます。」

…それでそんな真剣な顔で選ぶの?

というより、新しいのも古いのも壊れてなければそんなに変わらなくない?

そう思っていると凛太郎さんは一番端に隠されるように置いてあった新品のソリを見つけて満足そうな顔をする。

凛太郎「西宮さんはあっち行かないんですか?」

と、凛太郎さんはスキーとスノボ組のグループを目線で指した。

幸来未「やったことないので。一緒に滑っていいですか?」

凛太郎「じゃあ2人乗りの選びましょうか。」

そう言った凛太郎さんは時間あんなにかけた新品のソリを簡単に手放し、5つしかない2人乗りのソリで一番新品に近いものを選んで私を連れて空っぽのキッズスペースに行った。


環流 虹向/23:48
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