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環流 虹向

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はれのちはるくん

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春馬くんとは恋人ごっこ、たまに遊ぶ李代さんと憂蘭さんとはキャバクラごっこ、そして時音とはあんまり更新されなくなったブログ更新の代わりに数日に一度返ってくるメッセージであったら嬉しい家具や家電を選ぶ。

けど、私の誕生日には帰ってくるなんて連絡は一度もくれなくて本当にあの日伝えてくれた気持ちは嘘だったんじゃないかと不安になる。

だから春馬くんに片想いの人と一緒に誕生日を過ごせなかったら俺を呼んでと言われても、私はそんなことが出来ずギャラ飲みを初めてした日に名刺をくれた人と食事をすることにした。

本当はお酒が苦手、暗いお店は苦手と適当に嘘をついて選んでもらった明るめのフレンチに連れっていってもらう予定だけど、向こうの急用ですでに20分待たされる。

あと、10分待っても来ない、連絡も来ないなら帰って家でのんびりしようかなと思っていると、電話が鳴った。

私は表示された画面を見ずにすぐに携帯を耳に当て、作った声を発する。

幸来未「あ、もしもし。今カフェでお茶してるのでお忙しかったら日にち改めてもらっても良いですよ?」

『ううん。今日がいい。』

私は自分が思ってたよりも低くて落ち着く声に驚き、携帯を落としかけながらも画面を見るとあもんさんからの電話だった。

幸来未「あ…えっと、別の方と食事の約束してて…。」

あもん『え?でも、そいつ遅刻してるんだよね?だったら俺と食事しようよ。』

…たしかに。

まだ、あもんさんと食事してた方が楽しいと思える誕生日かもしれない。

あもん『幸来未は何がいい?天ぷらとひつまぶしとおばんざい。』

おばんざいってなんだ…?

どっかの郷土料理なのかな…。

けど、どうせなら色々選べるものがいいな。

幸来未「天ぷらで。」

あもん『OK。今から迎えに行くから住所送って。』

幸来未「分かりました。」

私は電話を切ってあもんさんにカフェの住所を送ると、5分もしないと思う体感速度で私の隣にやってきた。

あもん「幸来未って明日は仕事?」

幸来未「休みです。」

あもん「敬語。天ぷら連れてかないぞー。」

と言いながらもあもんさんは私にコートを着させて、タクシーではない真っ黒な車に私を乗せた。

あもん「おとうさん、住所が京都府京都市の…」

幸来未「え?京都?」

私は運転手さんに住所を入れさせるあもんさんに驚く。

あもん「うん。美味しい天ぷら屋そこしか知らないし。」

幸来未「東京にもいっぱいあるよ…?」

あもん「いいじゃん。小旅行ってやつ。時間かかるのやだ?」

幸来未「そういうことじゃなくて…」

あもん「やっぱ東京駅までで。新幹線でびゅーん京都にしよっか。」

そう言ってあもんさんは運転手さんに車を出させて私の言葉一切無視して新幹線のチケットを携帯で買ってしまった。

こうなったらもうしょうがない。

私はめんどくさいメッセージが来て自分の誕生日が楽しめなくなるのが嫌だったので携帯を機内モードにして最低限の機能だけ使える状態にしてあもんさんと京都に行って天ぷらを食べにいくことにした。


環流 虹向/23:48
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