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環流 虹向

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おれたちともだち

224:22:40

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私は申し訳ないながらも、酔ったフリをして春馬くんの膝を借り一旦休憩することにした。

春馬「…ち、ちょっと、西宮?」

と、春馬くんは焦りながら私の肩を揺するけど、ここにいる中で気が休まるのは春馬くんしかいないので寝たフリを続ける。

春馬「ご、ごめん…。」

悠雪「…別に。」

紀莉哉「まあ、少し休めばまた呑めるだろ。」

うん。そうだよ。

ちょっと演技しすぎて疲れたから一旦休憩するの。

私は耳だけ男子会に参加していると、春馬くんは私の髪型の話をし始めた。

春馬「西宮のロブ、結構似合ってたんだけどな。」

悠雪「俺が変えてって言ったら次の日変えてきてくれた。」

春馬「…もしかして、悠雪がチョコの人?」

悠雪「なんの話?」

紀莉哉「俺も気になる。」

と、春馬くんは2人の意識を深夜のお色気番組から自分に集中させた。

春馬「好きな人の好物ってなんか口に入れたくなっちゃうじゃん?短大時代、西宮ってアーモンドチョコ派だったけど板チョコ食うようになってたから。」

悠雪「…俺の板チョコじゃない。」

紀莉哉「まあ、悠雪のミルクチョコ高いし、金ない幸来未なら板チョコ買うんじゃん?」

春馬「味は違ってもシンプルなチョコを口に入れるようになったのは事実だよね。」

悠雪「それなら…、俺が買うのに…。」

紀莉哉「もう貢ぐのやめろって言ってんだろ。これ以上なんか言われても出すなよ。」

…よし。

いい感じっぽい。

私はこのまま寝てもいいんじゃないかと思い始めていると、春馬くんの一言で心臓が一度強く脈打つ。

春馬「ミルクティーからココアになったのもそのせいかー。2人ともお互いのこと大好きなんだね。」

悠雪「ココア…?」

紀莉哉「ココアなら固形のチョコより安く同じカカオ買えるしな。」

春馬「いい節約方法だね。俺もオススメ教えてもらおうかな。」

悠雪「…ココアなんか売ってたっけ。」

紀莉哉「カカオパウダーってやつ?それで砂糖とミルク加えればココアじゃん。」

春馬「分量めんどくさそう…。」

紀莉哉「だな。俺は普通の奴でいいや。」

悠雪「幸来未…、コンビニによくあるココア飲んでた…。」

春馬「基本めんどくさがりだし、人の家では作れないじゃん。」

悠雪「…そっか。たしかに。」

なんか…。

これ以上、私がいない空間続くのまずい気がする。

私は思ったよりも短い休憩時間を終えて、起き上がると悠雪さんは私と春馬くんの間に無理矢理入り、私を1番端っこの席に追いやった。

幸来未「ど真ん中で見たかったのに。」

悠雪「見てもいいけど、俺の上ね。」

と言って悠雪さんは私の頭を乱暴に太ももにおいた。

少し首を痛めた私は中途半端に伸びている前髪を避けて、TVを見ていると突然スウェットの中に少し冷たい手が入ってきてチョコチップをぎゅっと摘まれた。

そのことに驚き私は思わず声を漏らす。

春馬「どうした…?」

悠雪「寝言じゃない?幸来未って安眠になるほど寝言言うの。」

春馬「そ、そうなんだ…。」

…悔しいけど、春馬くんの前で摘まれてるのは知られたくない。

なので私はまた目を瞑り、寝たフリを決め込んで悠雪さんの手が私を飽きるのを待った。


環流 虹向/23:48
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