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環流 虹向

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リミットシュガー

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自分の部屋のベッドよりも大きいベッド。

それがいつも通りだったけど、時音はそれよりも大きいベッドの上で私にたくさんキスしてくれる。

時音「幸来未…、すき…っ。」

時音は私のお腹の中に戻ってからずっと余裕のない顔で私が欲しかった言葉もくれる。

その言葉がずっと傷んでいた心の傷に染み込んできて体も心もとっても温かくなり、どうしても目が潤んでしまう。

幸来未「好き…。大好きな時音の全部ちょうだい。」

私は少し筋肉質になった時音の背中に抱きつき、大好きなキスをもっといっぱいしてもらうために時音の後頭部を手で掴んで唇を近づける。

時音「あげるよ。けど、これは外ね。」

と、時音は自分のエクレアをピクッと動かし、私に教えてきた。

幸来未「…なか。」

時音「ダメ。幸来未が準備整ってからって言ってたから。」

そう言って時音は私と自分の意見を擦り合わせ、いつものように私の口の中にクリームを流し込んだ。

私はいつもより大きくて硬く感じたエクレアをいつも以上に味わっていると、おまけのクリームも時音は出し強引に口から逃げて私の隣に横たわった。

時音「…いったばっかなのに。」

幸来未「すぐにいけるなら前からしとけばよかった。」

時音「出来ないよ…っ!」

そう言って息の荒い時音は顔を真っ赤にしながらそれを隠すように布団の中に潜った。

私はその時音を追って布団に潜ろうとすると、部屋のインターフォンが鳴った。

幸来未「…誰?」

時音「分かんない…。」

私と時音は一緒に起き上がり、インターフォンと繋がる受話器を取って扉前にいる人物に話しかけてみる。

時音「…はい、どなたですか?」

『あー、俺だよー。』

時音「…紀莉哉さん?」

紀莉哉『そうそう。ちょっと部屋入っていい?』

時音「あ…っ、えと…」

幸来未「私はベッドルームにいるから。」

私は時音に耳打ちして邪魔者をリビングルームに通すため、自分の荷物をまとめてベッドルームに隠れる。

時音「本当にごめん。チケットくれたのが今来た人だからここにいるの知ってるんだった。」

と、時音は急いでパンツとガウンを着ながら教えくれた。

幸来未「そっか。話し終わったらもう1回しようね。」

時音「わ、わかった!早めに帰ってもらお。」

そう言って時音は玄関に駆けていったので私はベッドルームに鍵をかけて携帯でのんびりアニメでも見ようかなと画面を開くと悠雪さんからメッセージがいくつか届いていた。

『当日までに決めてくれればいいから。』
『幸来未って今日この後、友達と遊ぶの?』
『もし俺も行っていいなら行きたい。』

私が送ってすぐにメッセージが返ってきてたみたいだけど、もう2時間以上経っちゃったし電車も後数本しかないから来る気は起きないだろう。

『ごめん。今気づいた。』
『遊んでるけど今私がいる場所、悠雪の家から遠いよ。』
『明後日のバイト終わったらしばらくお休みだからその時会おう?』

手早くメッセージを送信した私は携帯を機内モードにしてアニメに集中しようとすると、それより先にメッセージの通知が鳴った。

私は思ったよりも早いメッセージに驚きつつ、見てみると一気に鳥肌が立つ。

『今さっきまで紀莉哉と遊んでてここら辺にいるんだけど幸来未は?』

と、悠雪さんはご丁寧に現在地のマップを送ってきた。

しかも、その現在地は私がいるホテルを指していた。

どうしよ…。

同じ屋根の下に恋人とメイトくんがいるんだけど…。

言い訳しようにも、お風呂上がった後ドライヤーしてないから髪の毛ボサボサだし、隣の部屋には紀莉哉さんがいる。

どうやっても今は悠雪さんに会えない…。

というより、明日の朝が明けるまでの時間は時音だけといたい。

だから断ろう。

私は数分時間を置いて、架空の友達にタクシーで連れまわされているという理由をつけると悠雪さんは残念そうにしながら明後日のバイト後にデートを取り付けて納得してくれた。

その後少しすると、紀莉哉さんも帰ったのか時音が部屋の扉を開けてと言ってきたので開けて迎え入れる。

時音「今来た人、劇団の先輩の友達なんだけど突然現れる事多いからびっくりするんだよね。」

と、時音は紀莉哉さんのマシンガントークに疲れたらしくベッドに体を落とす。

幸来未「でも、この部屋プレゼントしてくれるいい人なんだね。」

時音「うん。その人も先輩もいい人。2人でお金出してくれたみたい。」

幸来未「へー…、そうなんだ…。」

私は聞いてた話と少し違くてもやつく頭を時音の胸に乗せて、気持ちが落ち着く心音を聞く。

時音「幸来未も会ったことあるかも。飛行船のとこのバーテンダーさんだよ。」

幸来未「誰にも名前聞いたことないから分からないや。」

時音「そっか。…あれからBAR行ってる?」

幸来未「行ってないよ。用事ないもん。」

時音「…本当にあの飛行船貰うために行ってたの?」

幸来未「そうだよ。時音が欲しいって言ってたから夢が叶う願掛けのために獲りに行った。」

私がそう言うと時音の心音が少し早くなり、体が熱くなったのを感じる。

時音「願掛け…?」

幸来未「欲しいものを手に入れますようにっていうおまじない?願掛け?…よく分かんないけど、そういう意味。」

時音にプレゼントの本当の意味を教えると、時音は私の顔を持ち上げ、目を合わせてとろけるキャラメルの笑顔をした。

時音「ありがとう。3月3日、楽しみにしてて。」

幸来未「うん。ちゃんと空けとく。」

私はちゃんと誕生日を覚えていてくれた時音の体を登って唇にキスをすると、その体を時音が潰れるほど抱きしめて荒っぽいキスをした。

時音「2人だけね。」

幸来未「もちろん。」

私は自分の誕生日までに悠雪さんと別れることを頭の片隅で決めて、とろける時音と一緒にクリスマスを楽しんだ。


環流 虹向/23:48
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