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リミットシュガー
273:03:21
しおりを挟む私はイベントにのぼせている人混みをかき割って時音に近づこうとするけれど、時音はなぜかどんどん遠ざかっていく。
幸来未「時音!」
思い切って出した私の声はなぜか時音の耳に通らなくて全く振り返ってくれない。
せっかく来たのにこれじゃ時音が帰っちゃう。
私はどうしてもそれが嫌でパンツが見える覚悟で松ぼっくりの木の縁に登り、持っていた松ぼっくりを時音めがけて投げると見事時音の頭に当たった。
それに驚く時音は頭をさすりながら当たった松ぼっくりを拾い上げ、松ぼっくりの木の隣にいる私を見つけるとさっきまで縫うように人混みを通っていたのに今は謝りながら人を押しのけるように私の元にやってきた。
時音「ごめん!ずっとここで待ってた?」
と、時音は私の手を掴み私を縁から降ろすと自分のマフラーを私に巻きつけた。
幸来未「知り合いとたまたま会ったからさっきまでお茶してた。」
時音「よかった…。どっか入ろうか?」
幸来未「どこも満席だよ。」
時音「んー、ホテルも?」
幸来未「当たり前じゃん。」
時音「んー…」
と、時音は久しぶりにシュークリームの顔をしながら数十秒悩み、突然携帯を取り出した。
時音「そういえば、お祝いにホテルのペア券もらったんだった。しかも今日までの。」
幸来未「…誰かと行く予定じゃなかったの?」
時音「先輩と行く予定だったけど、幸来未のこと探してたからドタキャンされたと思って家帰ったらしい。」
幸来未「一言メッセージ入れとけばよかったのに。」
時音「幸来未見つけるのに必死で忘れてたんだよね。明日ちゃんと謝っとこ。」
幸来未「…粗品、選んでからホテル行こ。」
時音「そ、そうだね。先輩怒らせちゃったし。」
私は人混みで時音と離れないように腕に抱きつき、閉店間際のデパートで李代さんの好きなラムネ菓子に似た有名和菓子店の乾菓子を選んで時音に買わせた。
時音「これで先輩もちょっとは許してくれるかな。」
幸来未「うーん…。怖い人なら微妙かも。」
時音「エリカさん、急に怒ったりするからなぁ…。はあ…、明日になってほしくない。」
そんな理由で今日を止めようとしないでよ。
私が理由でそう思ってほしいのに。
私は一層強く腕に抱きつきながら歩いていると、時音はちょっと掴みにくそうに私の片手を取り手を繋いだ。
私はその手を握り返し、かじかんできた手を温めていると駅から少し離れたところにある高級ホテルの前で時音は足を止めた。
時音「ぐらんで…、ひぃあてぃ…?」
と、携帯で確認しているホテルのHPと玄関先の看板を何度も見直す時音。
幸来未「英語、苦手なの?」
時音「う、うん…。いつも赤点だった。」
幸来未「ハリウッドは目指してないの?」
時音「…そんなとこまで行けないよ。」
幸来未「分かんないよ。未来は自分も他人も決めつけられないよ。」
時音「そっか…。とりあえず、聞き取り出来るようになろうかな。」
幸来未「うん。オススメの洋画教えてあげる。」
私はゆっくりとホテルに足を進める時音に寄り添いながら初めて入る部屋に向かった。
環流 虹向/23:48
幸来未「時音!」
思い切って出した私の声はなぜか時音の耳に通らなくて全く振り返ってくれない。
せっかく来たのにこれじゃ時音が帰っちゃう。
私はどうしてもそれが嫌でパンツが見える覚悟で松ぼっくりの木の縁に登り、持っていた松ぼっくりを時音めがけて投げると見事時音の頭に当たった。
それに驚く時音は頭をさすりながら当たった松ぼっくりを拾い上げ、松ぼっくりの木の隣にいる私を見つけるとさっきまで縫うように人混みを通っていたのに今は謝りながら人を押しのけるように私の元にやってきた。
時音「ごめん!ずっとここで待ってた?」
と、時音は私の手を掴み私を縁から降ろすと自分のマフラーを私に巻きつけた。
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時音「んー、ホテルも?」
幸来未「当たり前じゃん。」
時音「んー…」
と、時音は久しぶりにシュークリームの顔をしながら数十秒悩み、突然携帯を取り出した。
時音「そういえば、お祝いにホテルのペア券もらったんだった。しかも今日までの。」
幸来未「…誰かと行く予定じゃなかったの?」
時音「先輩と行く予定だったけど、幸来未のこと探してたからドタキャンされたと思って家帰ったらしい。」
幸来未「一言メッセージ入れとけばよかったのに。」
時音「幸来未見つけるのに必死で忘れてたんだよね。明日ちゃんと謝っとこ。」
幸来未「…粗品、選んでからホテル行こ。」
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私は人混みで時音と離れないように腕に抱きつき、閉店間際のデパートで李代さんの好きなラムネ菓子に似た有名和菓子店の乾菓子を選んで時音に買わせた。
時音「これで先輩もちょっとは許してくれるかな。」
幸来未「うーん…。怖い人なら微妙かも。」
時音「エリカさん、急に怒ったりするからなぁ…。はあ…、明日になってほしくない。」
そんな理由で今日を止めようとしないでよ。
私が理由でそう思ってほしいのに。
私は一層強く腕に抱きつきながら歩いていると、時音はちょっと掴みにくそうに私の片手を取り手を繋いだ。
私はその手を握り返し、かじかんできた手を温めていると駅から少し離れたところにある高級ホテルの前で時音は足を止めた。
時音「ぐらんで…、ひぃあてぃ…?」
と、携帯で確認しているホテルのHPと玄関先の看板を何度も見直す時音。
幸来未「英語、苦手なの?」
時音「う、うん…。いつも赤点だった。」
幸来未「ハリウッドは目指してないの?」
時音「…そんなとこまで行けないよ。」
幸来未「分かんないよ。未来は自分も他人も決めつけられないよ。」
時音「そっか…。とりあえず、聞き取り出来るようになろうかな。」
幸来未「うん。オススメの洋画教えてあげる。」
私はゆっくりとホテルに足を進める時音に寄り添いながら初めて入る部屋に向かった。
環流 虹向/23:48
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