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リミットシュガー
275:04:28
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悠雪さんと付き合ってすぐにクリスマスが来てしまった。
これは滑り込みって言っても過言じゃないけど、そう言った意味で頷いたわけじゃない。
と、何度も李代さんに説明しても滑り込みと言われてしまう。
そんな李代さんがクリスマスイブ前に開いたパーティに凛太郎さんとあもんさんが来ているのを見かけると、あもんさんは私に軽く手を振って凛太郎さんごとやってきた。
あもん「久しぶり。元気にしてた?」
幸来未「とりあえず生きてました。」
あもん「それならよし。」
と、あもんさんは私の手を取り握手をするとぎゅっと力を込めてきた。
私はどっかの知恵で同じくらいの力を込めないと失礼と言うのを聞いたことがあったので、ぎゅっと力を込めて握手をしていると困惑顔の悠雪さんが友達との会話を終えて隣にやってきた。
悠雪「…あの、俺の彼女なので丁重に扱ってくれますか?」
あもん「え?そうなの?」
と、あもんさんはなぜか私を見て聞いてきた。
幸来未「あ、はい…。この間から付き合うことになりました。」
あもん「へー…。」
あもんさんは私の回答を聞いてちょっと不満げに声を落とし、手を離した。
悠雪「…店長。李代が呼んでるので行ってあげてください。」
凛太郎「どこです?」
悠雪「階段上がって3階の左1番奥のプレイルームです。」
凛太郎「…はあ。」
と、凛太郎さんは賑やかなリビングでもよく聞こえる大きなため息をついて階段へ向かった。
あもん「どいつもこいつもって感じだね。」
悠雪「幸来未、ビンゴカードもらった?」
幸来未「え?あ…、うん…。」
私は2人の嫌な空気感に飲まれそうになりつつも、気になる発言をしたあもんさんと2人きりで話したいと思ってしまった。
幸来未「ドリンクなくなっちゃったから持ってきてもらってもいい?」
私はお得意の上目遣いをしながら悠雪さんにお願いをする。
悠雪「え…。で、でも…」
あもん「俺はウイスキー。」
悠雪「分かりました…。」
悠雪さんはなぜかとっても焦った様子でお酒があるキッチンへ足早に駆けて行った。
私はその悠雪さんを見て自分の選択が正しかったのかあもんさんに聞くことにした。
幸来未「どいつもこいつもってどなたのことですか?」
私がそう聞くと不機嫌そうだったあもんさんは一瞬驚き、次に目を輝かせた。
あもん「凛太郎も、李代ちゃんも、紀莉哉も、悠雪も。あのBARにいる人間は腐ってるってこと。」
幸来未「…私の彼氏は腐ってます?」
あもん「どっちがいい?」
…それ、私が決められることなの?
だったら腐ってない一択だけど。
幸来未「長く生きてればちょっとは腐ってると思ってます。けど、度合いが気になります。」
私がそう言うとあもんさんはとっびきりの笑顔で、何も持ってないはずの手から名刺を出した。
あもん「長くなるからまた今度。とりあえずメッセージ入れてくれればいいから。」
幸来未「…分かりました。」
私はあもんさんからしっかりと名刺を貰い、ポケットがないドレスの胸元に手を入れてブラをポケット代わりにして名刺を入れるとあもんさんは吹き出し笑いをした。
あもん「くるみ、本当に面白い。今日はベッドに連れて行かれないようにね。」
幸来未「…気をつけます。」
私はちゃっかり下ろしたての下着を着てきてしまったことに少し恥ずかしくなっていると、お酒を持ってきた悠雪さんが戻ってきた。
悠雪「お待たせしました。」
あもん「ありがとう。じゃあまたね。」
そう言ってあもんさんは会場にいる知り合いに話しかけに行ってしまった。
悠雪「…変なことされてない?」
と、悠雪さんは少し額に汗をかきながら私にそう聞いてきた。
幸来未「大丈夫。ギャンブルもしてないよ。」
悠雪「そっか…。今日は俺の家来る?」
幸来未「うーん、どうしよう。」
私が名刺と終電でしばらく悩んでいると悠雪さんは不意に唇を合わせた。
悠雪「幸来未の好きなシンデレラとフォンダンショコラ、用意してる。」
そんなの行くしかないじゃん。
幸来未「行く。悠雪がいいならもう出ようよ。」
悠雪「李代たちに軽く声かけて出るから先に玄関で待ってて。」
幸来未「わかった。」
私は荷物を預けていた場所に行き、カバンを貰って急いで名刺を入れていると気づかないうちに隣にいた紀莉哉さんに見られていた。
紀莉哉「おっぱいに名刺挟むってどこのなにガール?」
幸来未「…ポケットなかっただけ。」
紀莉哉「手に持ってればいいのに。」
幸来未「無くしたくなかったから。」
紀莉哉「へー。誰の名刺?」
と、紀莉哉さんが私のカバンに手を伸ばしてきたので勢いよく引くと私の肘がだれかのお腹にクリーンヒットする。
悠雪「…思ったより、重い。」
紀莉哉「出んの?」
悠雪「うん。今日は来ないで。」
紀莉哉「はーいっ。」
紀莉哉さんは元気に返事するとまたパーティ会場に戻って行った。
幸来未「…勝手に家に入ってくるの?」
悠雪「合鍵は持ってる。けど、俺が寝坊した時と紀莉哉がベッド借りたい時に来る程度だから。」
思ったよりこの2人って仲がいいんだな。
だったら怪しい名刺のことも伝わっちゃうかも。
私は悠雪さんの秘密がどうしても気になり、帰りの駅にあるトイレで連絡先だけ登録してしっかり保存した。
環流 虹向/23:48
これは滑り込みって言っても過言じゃないけど、そう言った意味で頷いたわけじゃない。
と、何度も李代さんに説明しても滑り込みと言われてしまう。
そんな李代さんがクリスマスイブ前に開いたパーティに凛太郎さんとあもんさんが来ているのを見かけると、あもんさんは私に軽く手を振って凛太郎さんごとやってきた。
あもん「久しぶり。元気にしてた?」
幸来未「とりあえず生きてました。」
あもん「それならよし。」
と、あもんさんは私の手を取り握手をするとぎゅっと力を込めてきた。
私はどっかの知恵で同じくらいの力を込めないと失礼と言うのを聞いたことがあったので、ぎゅっと力を込めて握手をしていると困惑顔の悠雪さんが友達との会話を終えて隣にやってきた。
悠雪「…あの、俺の彼女なので丁重に扱ってくれますか?」
あもん「え?そうなの?」
と、あもんさんはなぜか私を見て聞いてきた。
幸来未「あ、はい…。この間から付き合うことになりました。」
あもん「へー…。」
あもんさんは私の回答を聞いてちょっと不満げに声を落とし、手を離した。
悠雪「…店長。李代が呼んでるので行ってあげてください。」
凛太郎「どこです?」
悠雪「階段上がって3階の左1番奥のプレイルームです。」
凛太郎「…はあ。」
と、凛太郎さんは賑やかなリビングでもよく聞こえる大きなため息をついて階段へ向かった。
あもん「どいつもこいつもって感じだね。」
悠雪「幸来未、ビンゴカードもらった?」
幸来未「え?あ…、うん…。」
私は2人の嫌な空気感に飲まれそうになりつつも、気になる発言をしたあもんさんと2人きりで話したいと思ってしまった。
幸来未「ドリンクなくなっちゃったから持ってきてもらってもいい?」
私はお得意の上目遣いをしながら悠雪さんにお願いをする。
悠雪「え…。で、でも…」
あもん「俺はウイスキー。」
悠雪「分かりました…。」
悠雪さんはなぜかとっても焦った様子でお酒があるキッチンへ足早に駆けて行った。
私はその悠雪さんを見て自分の選択が正しかったのかあもんさんに聞くことにした。
幸来未「どいつもこいつもってどなたのことですか?」
私がそう聞くと不機嫌そうだったあもんさんは一瞬驚き、次に目を輝かせた。
あもん「凛太郎も、李代ちゃんも、紀莉哉も、悠雪も。あのBARにいる人間は腐ってるってこと。」
幸来未「…私の彼氏は腐ってます?」
あもん「どっちがいい?」
…それ、私が決められることなの?
だったら腐ってない一択だけど。
幸来未「長く生きてればちょっとは腐ってると思ってます。けど、度合いが気になります。」
私がそう言うとあもんさんはとっびきりの笑顔で、何も持ってないはずの手から名刺を出した。
あもん「長くなるからまた今度。とりあえずメッセージ入れてくれればいいから。」
幸来未「…分かりました。」
私はあもんさんからしっかりと名刺を貰い、ポケットがないドレスの胸元に手を入れてブラをポケット代わりにして名刺を入れるとあもんさんは吹き出し笑いをした。
あもん「くるみ、本当に面白い。今日はベッドに連れて行かれないようにね。」
幸来未「…気をつけます。」
私はちゃっかり下ろしたての下着を着てきてしまったことに少し恥ずかしくなっていると、お酒を持ってきた悠雪さんが戻ってきた。
悠雪「お待たせしました。」
あもん「ありがとう。じゃあまたね。」
そう言ってあもんさんは会場にいる知り合いに話しかけに行ってしまった。
悠雪「…変なことされてない?」
と、悠雪さんは少し額に汗をかきながら私にそう聞いてきた。
幸来未「大丈夫。ギャンブルもしてないよ。」
悠雪「そっか…。今日は俺の家来る?」
幸来未「うーん、どうしよう。」
私が名刺と終電でしばらく悩んでいると悠雪さんは不意に唇を合わせた。
悠雪「幸来未の好きなシンデレラとフォンダンショコラ、用意してる。」
そんなの行くしかないじゃん。
幸来未「行く。悠雪がいいならもう出ようよ。」
悠雪「李代たちに軽く声かけて出るから先に玄関で待ってて。」
幸来未「わかった。」
私は荷物を預けていた場所に行き、カバンを貰って急いで名刺を入れていると気づかないうちに隣にいた紀莉哉さんに見られていた。
紀莉哉「おっぱいに名刺挟むってどこのなにガール?」
幸来未「…ポケットなかっただけ。」
紀莉哉「手に持ってればいいのに。」
幸来未「無くしたくなかったから。」
紀莉哉「へー。誰の名刺?」
と、紀莉哉さんが私のカバンに手を伸ばしてきたので勢いよく引くと私の肘がだれかのお腹にクリーンヒットする。
悠雪「…思ったより、重い。」
紀莉哉「出んの?」
悠雪「うん。今日は来ないで。」
紀莉哉「はーいっ。」
紀莉哉さんは元気に返事するとまたパーティ会場に戻って行った。
幸来未「…勝手に家に入ってくるの?」
悠雪「合鍵は持ってる。けど、俺が寝坊した時と紀莉哉がベッド借りたい時に来る程度だから。」
思ったよりこの2人って仲がいいんだな。
だったら怪しい名刺のことも伝わっちゃうかも。
私は悠雪さんの秘密がどうしても気になり、帰りの駅にあるトイレで連絡先だけ登録してしっかり保存した。
環流 虹向/23:48
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