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リミットシュガー
278:14:58
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…どうしよ。
私にもタイムリミットを課せられた。
私は携帯を耳から離し、親との喧嘩を終わらせる。
その喧嘩の内容は、来年までに婚約相手を連れてこないと親戚の行き遅れジジィと結婚させると好き勝手し過ぎた代償に脅されたもの。
本当にどうしよう。
そんな相手を1年以内に見つけられるわけないし、まだ片想いを終わらせられてない私に見つけられるはずがない。
春馬くんって手もあるけど、この間振ったばっかりで結婚してくれなんて言えない…。
というより、シャワー垂れ流しでいびきがうるさい人と結婚したくない。
本当、なんでこのタイミングなんだよ。
私はまた親を嫌いになり、不機嫌のまま悠雪さんと待ち合わせしている駅前に行くと北風が吹く中、悠雪さんは10分前にも関わらず既に待っていた。
幸来未「お待たせ。」
悠雪「…幸来未、機嫌悪い?」
幸来未「え…。」
私はしっかり笑顔を作っていたつもりなのに不機嫌を見抜かれて心臓が痛む。
悠雪「眉がずっと寄ってるからってだけなんだけどね。調子悪かったら映画はまた今度でいいよ?」
…そっか。
今日は風強いからいつも眉毛を隠している前髪が上がっちゃったんだ。
幸来未「ちょっと…、親からめんどくさい電話来たから…。」
悠雪「なるほどね。じゃあ今日は気晴らしデーにしようね。」
そう言って悠雪さんは前髪を直す私の手を取り、予定通りの映画を見終えた後にスーパー銭湯に連れて行ってくれた。
悠雪「岩盤浴は一緒に入れるらしいけど、どうする?」
幸来未「んー…」
岩盤浴は入りたい。
けど、男の人と汗だくになるのは夏のベッド上だけでいいんだよな。
悠雪「俺、ちょっと汗多めの人だから出来れば別々がいいかも。」
と、悠雪さんは少し照れながら個人行動を促してきた。
幸来未「うん。じゃあ夕方頃にお食事処で会おっか。」
悠雪「分かった。じゃあまた後でね。」
私は悠雪さんに手を振り、ロッカールームに入って先に大浴場に向かう。
この感じ、楽だなぁ…。
本当に気晴らしデーを作ってくれた悠雪さんに感謝しながら、軽く汚れを流した体で岩盤浴がある部屋へ向かっていると、なんだか少し騒がしい。
この場所は静かにリラックスする場所で駄弁り散らかすところではないのは暗黙の了解でしょ?と少し腹を立てながら、岩盤浴の砂利部屋の前で女の人たちが騒いでいる近くを通りかかると嫌な言葉がこぼれ落ちて聞こえてきた。
「あの人、やっぱりあそこのバーテンさんだよ。」
私はその人たちが見ている視線の先にいた人を横目で確認してみると、少し困った顔をしながら雑誌で顔を隠している悠雪さんがいた。
「…どうする?声かける?」
「えー?でも、プライベートで声かけていいものなの?」
「プライベートだからこそじゃん。」
「そうそう!プライベートだからこその“出会い”だよ。」
…集団暗示系女グループ嫌い。
イラついた私は近場にあった大きめの雑誌を手に取り、頭にタオルをかけて顔を隠しながら悠雪さんの隣にタオルを敷いて横になる。
悠雪「…幸来未?」
幸来未「この石が1番良さげだよね。」
悠雪「…うん!ここが1番好き。」
私はとっても嬉しそうにする悠雪さんの笑顔を見れてホッとしながら、出入り口には絶対顔を見せないように悠雪さんの方にずっと顔を向けていると悠雪さんが私の顔に流れる汗を拭いた。
悠雪「ありがとう。」
幸来未「…なにが?」
私がわざととぼけると、悠雪さんは優しく笑って私を自分に近づけるように腕を背中に回して引き寄せた。
悠雪「すごい場違いなこと言うけどいい?」
幸来未「え?…うん?」
悠雪「そういう幸来未が好き。出来ることなら付き合いたいと思ってるんだけど、幸来未はどう思う?」
…え。
場違いすぎない…?
けど、悠雪さんはとっても真剣な顔でそう言ってくれた。
しかも、悠雪さんは知ってくうちになんだか“いい人”になってきてるからこれからも会いたいって思っちゃうし、今日の電話のことある。
幸来未「これからも一緒に映画見たいな。」
悠雪「…それは、恋人として?」
幸来未「うん。」
私がそう言うと顔に汗が浮いてきた悠雪さんはぎゅっと私を抱き寄せて頬にキスをした。
悠雪「記念日のご飯、作っていい?」
幸来未「お肉がいい。」
悠雪「分かった。楽しみにしといて。」
と、悠雪さんは飛びっきりのミルフィーユの笑顔を見せて携帯でメニュー候補を選び始めた。
…こうすれば片想いの存在をきっと忘れるはず。
私は久しぶりの彼氏が出来た高揚感よりも、片想いが終わる安堵感を感じながらしっかり体を温めて悠雪さんの家にご飯を食べに行った。
環流 虹向/23:48
私にもタイムリミットを課せられた。
私は携帯を耳から離し、親との喧嘩を終わらせる。
その喧嘩の内容は、来年までに婚約相手を連れてこないと親戚の行き遅れジジィと結婚させると好き勝手し過ぎた代償に脅されたもの。
本当にどうしよう。
そんな相手を1年以内に見つけられるわけないし、まだ片想いを終わらせられてない私に見つけられるはずがない。
春馬くんって手もあるけど、この間振ったばっかりで結婚してくれなんて言えない…。
というより、シャワー垂れ流しでいびきがうるさい人と結婚したくない。
本当、なんでこのタイミングなんだよ。
私はまた親を嫌いになり、不機嫌のまま悠雪さんと待ち合わせしている駅前に行くと北風が吹く中、悠雪さんは10分前にも関わらず既に待っていた。
幸来未「お待たせ。」
悠雪「…幸来未、機嫌悪い?」
幸来未「え…。」
私はしっかり笑顔を作っていたつもりなのに不機嫌を見抜かれて心臓が痛む。
悠雪「眉がずっと寄ってるからってだけなんだけどね。調子悪かったら映画はまた今度でいいよ?」
…そっか。
今日は風強いからいつも眉毛を隠している前髪が上がっちゃったんだ。
幸来未「ちょっと…、親からめんどくさい電話来たから…。」
悠雪「なるほどね。じゃあ今日は気晴らしデーにしようね。」
そう言って悠雪さんは前髪を直す私の手を取り、予定通りの映画を見終えた後にスーパー銭湯に連れて行ってくれた。
悠雪「岩盤浴は一緒に入れるらしいけど、どうする?」
幸来未「んー…」
岩盤浴は入りたい。
けど、男の人と汗だくになるのは夏のベッド上だけでいいんだよな。
悠雪「俺、ちょっと汗多めの人だから出来れば別々がいいかも。」
と、悠雪さんは少し照れながら個人行動を促してきた。
幸来未「うん。じゃあ夕方頃にお食事処で会おっか。」
悠雪「分かった。じゃあまた後でね。」
私は悠雪さんに手を振り、ロッカールームに入って先に大浴場に向かう。
この感じ、楽だなぁ…。
本当に気晴らしデーを作ってくれた悠雪さんに感謝しながら、軽く汚れを流した体で岩盤浴がある部屋へ向かっていると、なんだか少し騒がしい。
この場所は静かにリラックスする場所で駄弁り散らかすところではないのは暗黙の了解でしょ?と少し腹を立てながら、岩盤浴の砂利部屋の前で女の人たちが騒いでいる近くを通りかかると嫌な言葉がこぼれ落ちて聞こえてきた。
「あの人、やっぱりあそこのバーテンさんだよ。」
私はその人たちが見ている視線の先にいた人を横目で確認してみると、少し困った顔をしながら雑誌で顔を隠している悠雪さんがいた。
「…どうする?声かける?」
「えー?でも、プライベートで声かけていいものなの?」
「プライベートだからこそじゃん。」
「そうそう!プライベートだからこその“出会い”だよ。」
…集団暗示系女グループ嫌い。
イラついた私は近場にあった大きめの雑誌を手に取り、頭にタオルをかけて顔を隠しながら悠雪さんの隣にタオルを敷いて横になる。
悠雪「…幸来未?」
幸来未「この石が1番良さげだよね。」
悠雪「…うん!ここが1番好き。」
私はとっても嬉しそうにする悠雪さんの笑顔を見れてホッとしながら、出入り口には絶対顔を見せないように悠雪さんの方にずっと顔を向けていると悠雪さんが私の顔に流れる汗を拭いた。
悠雪「ありがとう。」
幸来未「…なにが?」
私がわざととぼけると、悠雪さんは優しく笑って私を自分に近づけるように腕を背中に回して引き寄せた。
悠雪「すごい場違いなこと言うけどいい?」
幸来未「え?…うん?」
悠雪「そういう幸来未が好き。出来ることなら付き合いたいと思ってるんだけど、幸来未はどう思う?」
…え。
場違いすぎない…?
けど、悠雪さんはとっても真剣な顔でそう言ってくれた。
しかも、悠雪さんは知ってくうちになんだか“いい人”になってきてるからこれからも会いたいって思っちゃうし、今日の電話のことある。
幸来未「これからも一緒に映画見たいな。」
悠雪「…それは、恋人として?」
幸来未「うん。」
私がそう言うと顔に汗が浮いてきた悠雪さんはぎゅっと私を抱き寄せて頬にキスをした。
悠雪「記念日のご飯、作っていい?」
幸来未「お肉がいい。」
悠雪「分かった。楽しみにしといて。」
と、悠雪さんは飛びっきりのミルフィーユの笑顔を見せて携帯でメニュー候補を選び始めた。
…こうすれば片想いの存在をきっと忘れるはず。
私は久しぶりの彼氏が出来た高揚感よりも、片想いが終わる安堵感を感じながらしっかり体を温めて悠雪さんの家にご飯を食べに行った。
環流 虹向/23:48
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