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木の下のまちびと
290:04:00
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さっさと行って、さっさと終わらす。
やっぱりめんどくさいことは先延ばしにするのをやめよう。
そう決めた私はバイト終わりに悠雪さんと紀莉哉さんと合流し、呑みの予定を終わらせにいく。
けど、やっぱりめんどくさくて2杯目ですでに眠気がきてしまう私は酔い冷ましのトイレから戻ると、席にいたはずの紀莉哉さんがいなくなっていた。
幸来未「紀莉哉くんは…?」
悠雪「あっちの席の子、ナンパしに行ったよ。」
と、悠雪さんは少し離れた席を指差し、仲良さげに話してる紀莉哉さんと女の子2人を優しげな笑顔で見守る。
それを見た私は紀莉哉さんに呆れながら自分の席に座り、梅酒サワーを飲もうとするとその隣にウーロン茶が置いてあることに気がついた。
幸来未「これ、誰の?」
悠雪「幸来未のだよ。ちょっと眠そうにしてたから。」
…バレバレだった。
けど、その眠気はお酒のせいじゃないんだけどね。
幸来未「ありがとー。」
私はとりあえずウーロン茶で眠気を取りながら悠雪さんの話を心半分で聞いていると、紀莉哉さんが席に戻ってきて席に置いてあった自分のカバンを手に取った。
紀莉哉「行ってくる。」
悠雪「ああ、じゃあまたね。」
紀莉哉さんは私の嫌悪感丸出しの目を見るとわしゃわしゃと頭を撫でて、さっきの女の子2人とお店の外に出て行った。
悠雪「俺たちも出る?」
と、悠雪さんはヘアセットを崩されて不機嫌な私を見て心配そうに聞いてきた。
幸来未「これ呑み終わったら。」
私はお酒ともつ鍋が残ったまま外に出るのが嫌だったので、ちょっと胃がぎりぎりだけれど食べ進め始めるとさっきまであまり食べ物を口に入れてなかった悠雪さんがガツガツと食べ始めた。
幸来未「…お腹、空いてたの?」
悠雪「いつも人に合わせて食べてるから。」
幸来未「私に合わせてるの?」
悠雪「今日はこれが朝飯なんだ。」
と、悠雪さんは相当お腹が減っていたのか追加で焼きおにぎりを注文し、私の人生の中で稀に見るいい食べっぷりを見せてくれた。
私はその食べっぷりに感動して気持ちが切り替わり、見直した悠雪さんにもう一軒と言われて連れてこられたのはあのシネマBAR。
この間とは違う映画が静かに流れている中、私はホットココアで一息つき、悠雪さんはキールを飲んで口の中をさっぱりとさせる。
悠雪「ここって来たことある?」
幸来未「1回だけ。」
悠雪「そっか。じゃあ放映する映画をリクエストできるのは知ってた?」
幸来未「え?そうなの?」
私はこのお店の知らないシステムに驚き、ずっと笑みを浮かべている悠雪さんと久しぶりに目を合わせる。
悠雪「うん。レジ横に置かれてるリクエストシートがあるんだけど、このこと知ってる人が少ないから大体ここの店員の好みなんだよね。」
だからこんなにカップルが多くても、ホラーやアクション映画が流れるんだと納得していると悠雪さんがおもむろに立ち上がり、レジ横のリクエストシートを1つ取って席に戻ってきた。
悠雪「リクエストは来週の20時から放映するって決まりなんだ。だからまた来週ここに来ない?」
私がびっくりするほど流れるようなデートの誘いに驚いていると、悠雪さんは自分の胸ポケットからペンを出し、シートと一緒に私に手渡してきた。
悠雪「グロすぎるものじゃなかったら大体応えてくれるよ。」
幸来未「…試したの?」
悠雪「うん。洋画は吹き替えになるからそれが嫌なら邦画がいいかもね。」
これ、書かないといけないし、もう行くの確定してる流れだよね?
けど、あれがこの大きなスクリーンで一度見れるなら来てもいいかも。
私は時音の飛行船を見てずっと見たい欲を貯めていた駆け出し魔女が主人公のアニメーション映画をリクエストシートに書き、レジ横にあるリクエスト回収ボックスに投函して席に戻った。
悠雪「待ち合わせは19:30に駅前にある時計塔の前でいい?」
…そこ、人多いから苦手なんだよな。
けど、ちょっと遅刻して行けばなんとなるか。
幸来未「うん。席の予約も出来る?」
悠雪「出来るよ。してく?」
幸来未「一応しときたい。」
悠雪「分かった。会計の時するね。」
また乗り気じゃないデートだけど、見たい映画を見るために時間を守るデートを久しぶりにすることにした。
環流 虹向/23:48
やっぱりめんどくさいことは先延ばしにするのをやめよう。
そう決めた私はバイト終わりに悠雪さんと紀莉哉さんと合流し、呑みの予定を終わらせにいく。
けど、やっぱりめんどくさくて2杯目ですでに眠気がきてしまう私は酔い冷ましのトイレから戻ると、席にいたはずの紀莉哉さんがいなくなっていた。
幸来未「紀莉哉くんは…?」
悠雪「あっちの席の子、ナンパしに行ったよ。」
と、悠雪さんは少し離れた席を指差し、仲良さげに話してる紀莉哉さんと女の子2人を優しげな笑顔で見守る。
それを見た私は紀莉哉さんに呆れながら自分の席に座り、梅酒サワーを飲もうとするとその隣にウーロン茶が置いてあることに気がついた。
幸来未「これ、誰の?」
悠雪「幸来未のだよ。ちょっと眠そうにしてたから。」
…バレバレだった。
けど、その眠気はお酒のせいじゃないんだけどね。
幸来未「ありがとー。」
私はとりあえずウーロン茶で眠気を取りながら悠雪さんの話を心半分で聞いていると、紀莉哉さんが席に戻ってきて席に置いてあった自分のカバンを手に取った。
紀莉哉「行ってくる。」
悠雪「ああ、じゃあまたね。」
紀莉哉さんは私の嫌悪感丸出しの目を見るとわしゃわしゃと頭を撫でて、さっきの女の子2人とお店の外に出て行った。
悠雪「俺たちも出る?」
と、悠雪さんはヘアセットを崩されて不機嫌な私を見て心配そうに聞いてきた。
幸来未「これ呑み終わったら。」
私はお酒ともつ鍋が残ったまま外に出るのが嫌だったので、ちょっと胃がぎりぎりだけれど食べ進め始めるとさっきまであまり食べ物を口に入れてなかった悠雪さんがガツガツと食べ始めた。
幸来未「…お腹、空いてたの?」
悠雪「いつも人に合わせて食べてるから。」
幸来未「私に合わせてるの?」
悠雪「今日はこれが朝飯なんだ。」
と、悠雪さんは相当お腹が減っていたのか追加で焼きおにぎりを注文し、私の人生の中で稀に見るいい食べっぷりを見せてくれた。
私はその食べっぷりに感動して気持ちが切り替わり、見直した悠雪さんにもう一軒と言われて連れてこられたのはあのシネマBAR。
この間とは違う映画が静かに流れている中、私はホットココアで一息つき、悠雪さんはキールを飲んで口の中をさっぱりとさせる。
悠雪「ここって来たことある?」
幸来未「1回だけ。」
悠雪「そっか。じゃあ放映する映画をリクエストできるのは知ってた?」
幸来未「え?そうなの?」
私はこのお店の知らないシステムに驚き、ずっと笑みを浮かべている悠雪さんと久しぶりに目を合わせる。
悠雪「うん。レジ横に置かれてるリクエストシートがあるんだけど、このこと知ってる人が少ないから大体ここの店員の好みなんだよね。」
だからこんなにカップルが多くても、ホラーやアクション映画が流れるんだと納得していると悠雪さんがおもむろに立ち上がり、レジ横のリクエストシートを1つ取って席に戻ってきた。
悠雪「リクエストは来週の20時から放映するって決まりなんだ。だからまた来週ここに来ない?」
私がびっくりするほど流れるようなデートの誘いに驚いていると、悠雪さんは自分の胸ポケットからペンを出し、シートと一緒に私に手渡してきた。
悠雪「グロすぎるものじゃなかったら大体応えてくれるよ。」
幸来未「…試したの?」
悠雪「うん。洋画は吹き替えになるからそれが嫌なら邦画がいいかもね。」
これ、書かないといけないし、もう行くの確定してる流れだよね?
けど、あれがこの大きなスクリーンで一度見れるなら来てもいいかも。
私は時音の飛行船を見てずっと見たい欲を貯めていた駆け出し魔女が主人公のアニメーション映画をリクエストシートに書き、レジ横にあるリクエスト回収ボックスに投函して席に戻った。
悠雪「待ち合わせは19:30に駅前にある時計塔の前でいい?」
…そこ、人多いから苦手なんだよな。
けど、ちょっと遅刻して行けばなんとなるか。
幸来未「うん。席の予約も出来る?」
悠雪「出来るよ。してく?」
幸来未「一応しときたい。」
悠雪「分かった。会計の時するね。」
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