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環流 虹向

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飛行船と宝物

364:14:52

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時音より早く起きた私は歯磨きを終えてベッドに戻り、まだ寝てる時音の隣に寝そべる。

昨日はいつもよりたくさん遊んだし、お試しで梅酒も呑んだからか、お昼前でも時音はぐっすり寝息を立てている。

そんな時音を見て前に自分が寝ている時に胸を触られたことを思い出し、とろとろのエクレアを触れてみるとなぜだかかちこちになっていた。

これが例のあれかと私は人間の体の仕組みに感心していると、時音が薄目をとろけさせて私を見つめていた。

幸来未「おはよ。」

時音「んー…ぅ。」

と、時音は寝ぼけているのか挨拶もせずにまた目を瞑り、寝息を立て始めた。

私はそんな時音の赤面を見たくてみんなに褒められた手先でエクレアを撫でていると、時音の吐息と一緒にクリームが出てきてしまった。

…あーあ、もったいない。

私は布団の中に潜って、いつもクリームが出される口でエクレアの外に漏れてしまったクリームを舐めとっていると急に布団が剥がされた。

時音「…なっ、なな、な…えっ?」

幸来未「おはぁ…。」

私はさっきまでクリームが出切ってフニフニになりそうだったエクレアに、クリームが追加されたのを口の中で感じる。

やっぱり正直すぎる時音がいい。

もう勉強なんかしなくていいよ。

幸来未「…時音はぁ、彼女できらぁ?」

私は自分の気持ちを正直に伝えるかどうか決めるために恥ずかしいのを濁しながらあつあつエクレアを唇で食べる。

時音「え…っ、んっ…。できたらどうするの?」

と、時音は頬を染めながら私の髪の毛を束ねて持ち、毛を食べないようにして私が1番嫌いな質問返しをした。

…その質問返しの仕方、好きじゃない。

初彼の人がしてたし、彼女持ちの人がよく言う言葉だから、やっぱりあの写真の人が時音の彼女さんか。

綺麗な人はみんな好きだもん。

しかも時音が好きならきっと性格も素敵な人なんだろう。

幸来未「…会うのやめる。」

時音「え、やだ。」

やだじゃないだろ。

時音も普通の男の人だったってことか…。

幸来未「じゃあ私のこと、誰にも言わないでね。」

時音「…うん。」

なんでそんな悲しそうな顔するの?

そんな顔していいのは彼女さんだけだよ。

幸来未「お芝居、頑張ってね。」

時音「うん、がんばる…。」

私も違う人、見つけなきゃ。

今のとこ、今一緒にいる人くらいしか好きになれてないけどいろんな人に出会えばいいだけの話。

渡したいものは渡せたし、時音は忙しいし、彼女さんは出来たし、私が忘れられるように静かにいなくなればいいだけ。

いつも通りじゃん。

うん、大丈夫。

幸来未「出していいよ。」

時音「…ぅうん。いっしょ。」

と、時音は余裕のない顔をして私を自分の体の上に引き上げて、私の大福2つを食べながらクリームのカナ口を差し込んできた。

そのくらい適当でいいよ。

それで私も諦めがつくから。

私はしたくなくなってしまったキスをされないように体を起こしたまま、時音の上で昔のように腰だけ弾ませて私のお尻にクリームをかけさせた。

時音「いつもとちが…ぅ。」

幸来未「変わらないよ。」

私は息切れをしている時音の上でお尻についた淡いクリームをティッシュを拭き取り、ぽわっと意識の時音に余っていた梅酒を口に流し込む。

時音「…あさからお酒、だめじゃん。」

幸来未「こういう時のぬるいお酒、美味しくて好きなの。」

時音「…そうなんだ。」

と、ぬるい梅酒サワーを初めて味わった時音は一息つき、体を起こして冷蔵庫に入れていた朝ごはん用のサンドイッチを3つ取ってくれた。

それを2人で好きな具を取ってのんびりTVを見ながら食べていると、時音は私の脚を枕にしながら食べ始めた。

幸来未「喉詰まるよ。」

時音「その時は幸来未に助けてもらうー。」

私も寝転がって食べたいけど、行儀が悪いって言われるから出来なかったんだよな…。

私は片脚に時音を乗せたまま、自分がしたかったように背中に枕を置いて半分寝そべりながら食べる。

やっぱり楽だなぁ。

こういうの、1人じゃないと出来ないから出来るの嬉しい。

けど、知らない間にダメになっちゃったから今日で終わり。

…新しいメイトくん、見つかるかな。

私は時音と退出時間までゆったりと過ごし、駅まで送ってもらった。


環流 虹向/23:48

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