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飛行船と宝物
365:03:30
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今日は時音のタイムリミットが1年を切る日。
そんな日に気持ちを上げるプレゼントが用意出来たことに私は心が踊る。
そう1人で感じていると、駅の近くにある大きな木の下を待ち合わせ場所にした時音が走ってやってきた。
時音「お待たせっ。」
と、息を整えるため時音は私が座っていた木の鉢の縁に一緒に座り、持っていた水を飲んだ。
幸来未「忙しそうだね。」
時音「幸来未も。夏あんまり会ってくれなかったね。」
幸来未「居酒屋って夏は繁忙期なの。」
時音「そうなんだ?」
幸来未「うん。喉が乾くし、暑い日はお酒が美味しくなりやすいんだ。」
時音「へー…、僕も分かるようになるかなぁ。」
幸来未「呑める人だったら分かるけど、私は分からない。」
時音「んー…じゃあ今日もココアとミルクティーにしとく?」
幸来未「梅酒サワー小さいの呑もうかな。」
時音「僕、梅苦手…。」
幸来未「私も苦手だったけど甘いから飲めた。」
時音「そうなんだ!今度試してみよっ。」
今度じゃなくて今日の夜でいいのに。
私は息が整え終わった時音と一緒にあのコンビニに行き、めんどくさい年齢確認をいつも通りこなしてホテルに行く。
幸来未「今日の待ち合わせ場所、なんであそこだったの?」
私はベッドに寝転がって映画を見ながら板チョコをつまむ時音の横に座り、駅すぐの待ち合わせスポットじゃないことがとても気になっていたので聞いてみた。
時音「松ぼっくりできてるかなって。」
幸来未「松ぼっくり?」
時音「うん。あそこの松ぼっくりに当たるといいことあるんだって。」
幸来未「へー。でも今日当たらなかったね。」
時音「今日は下見。」
と、時音は私にチョコを一口放り込んだ。
今日はいつもよりミルク感の少ない普通のチョコ。
ちょっと甘さ控えめにして気を使ってるのかな。
時音「松ぼっくりの時期って冬らしいんだ。だから赤ちゃん出来てるか見たかった。」
幸来未「そうなんだ。赤ちゃんあった?」
私は時音のそばに寝転がり、ベッド上にあったココアを盗んで飲む。
すると時音はまた摘もうとしていたチョコの上で手を止めて顔が青白くさせる。
時音「…見るの忘れてた。」
また、忘れてたのか。
これは天性的なものなんだなと私は時音の忘れん坊に同情しながらココアを飲んでいると、時音は大きなため息をついた。
時音「…飛行船も最後に見れなかったし、今日も幸来未に唐揚げ棒買うの忘れた。」
幸来未「唐揚げ棒はあの日の気分だから。ひこ…」
時音「飛行船さ、ギャンブルの商品にされちゃったんだ。買い取ろうと思ってたのに…。」
幸来未「そうなの?」
私は時音が自分自身で手に入れようとしていた所を邪魔してしまったことに胸が痛む。
時音「あれって有名アーティストが僕くらいの歳に作った作品なんだって。」
この間聞いた話とは違うけど、ネット通販に出てこない一点モノの理由が分かった。
幸来未「知らなかった。」
時音「僕も。ついこの間知ったんだけど、あれに300万出すって言った人もいたらしいんだ。」
幸来未「え!?そんなに?」
時音「うん。作者が3年かけて練りに練って作ったらしいよ。結構貴重なものらしい。」
そんなものがあのBARにぽんっと置いてあって、いらないとかガラクタって言われちゃったり、3冊分の私の経験談と交換されちゃったよ?
真実を聞いた私はちょうどいい気温の部屋なのに背中に汗をかき始める。
時音「それでもオーナーさんにお願いしてアーティストの人と掛け合って、材料費の20万と僕の3年分くれたらいいよって言われたから準備してたんだけど、ギャンブル王のオーナーさんが新進気鋭のギャンブラーに負けてあげちゃったって。」
そう教えてくれた時音は相当悔しかったのか、枕に顔を埋めて分かりやすく落ち着く。
私はそんな時音を置いてしっかりクッション材で守られた飛行船の置物が入ってるプレゼント箱をカバンから取り出し、ベッドに戻る。
幸来未「時音。」
時音「…なに。」
幸来未「こっち見て。」
時音「今ちょっと無理…。」
幸来未「泣くのは今じゃないよ。」
私はずっと顔を埋めている時音の枕を取り上げて、体を強制的に起こした。
時音「…なんの箱?」
幸来未「時音の20歳の誕生日プレゼント。日付越えてから渡したかったけど。」
私はそっと目が潤む時音の脚に渡し、しっかり持ってもらうように時音の両手を箱に添える。
幸来未「最後の1年、頑張ってね。」
私は固まる時音に軽くキスしようとすると、時音は近づいた私の頭を掴み荒っぽいキスをした。
時音「…がんばるぅ。どっちもがんばるっ。」
と言って時音は箱に添えてたもう1つの手も私に添えて、チョコがいっぱい広がるキスをしてくれた。
幸来未「なかみっ…」
時音「我慢、むり…。」
そう言って時音は私のプレゼントを枕元に優しく置き、私のチェックワンピの裾をたくし上げてパンツに手をかけた。
幸来未「ぷ、プレゼント…、見てほしい…。」
時音「あとで。10代最後の時間は幸来未と一緒にいたい。」
幸来未「い、今一緒にいるじゃん…。」
時音「ここね。」
と、時音は私の下腹部を指でつつき、初めて見せる悪魔的に可愛いフォンダンショコラの笑顔見せた。
私は時音のその顔に驚き、固まっていると時音は私をベッドに押し倒しながら教えた以上に荒いキスをしてチョコとココアを混ぜ合わせる。
時音「勉強たくさんしてきた。」
幸来未「…そっか。」
いつもより少し甘みが少ないからか、私の中に少し苦味が広がり心臓がきゅっとしそうになるのを時音を抱き寄せて止める。
幸来未「時音の最後、全部欲しい…。」
私は音にも息にもならない声でそう呟いた。
けど、時音には全部聞こえなかったのか、軽く首を傾げながら目尻をキスしてきた。
幸来未「…ちょうだい。」
時音「うんっ。」
これでいいって自分が決めたんだからダメだよ。
時音もこれでいいと思ってるんだからいいんだよ。
うん。
けど、1個だけ時音の最後もらおう。
欲張りになった時点で私はいつもダメになるから。
時音とはダメにならないように私はそう自分に言い聞かせて、10代最後の時音の時間を貰うことにした。
環流 虹向/23:48
そんな日に気持ちを上げるプレゼントが用意出来たことに私は心が踊る。
そう1人で感じていると、駅の近くにある大きな木の下を待ち合わせ場所にした時音が走ってやってきた。
時音「お待たせっ。」
と、息を整えるため時音は私が座っていた木の鉢の縁に一緒に座り、持っていた水を飲んだ。
幸来未「忙しそうだね。」
時音「幸来未も。夏あんまり会ってくれなかったね。」
幸来未「居酒屋って夏は繁忙期なの。」
時音「そうなんだ?」
幸来未「うん。喉が乾くし、暑い日はお酒が美味しくなりやすいんだ。」
時音「へー…、僕も分かるようになるかなぁ。」
幸来未「呑める人だったら分かるけど、私は分からない。」
時音「んー…じゃあ今日もココアとミルクティーにしとく?」
幸来未「梅酒サワー小さいの呑もうかな。」
時音「僕、梅苦手…。」
幸来未「私も苦手だったけど甘いから飲めた。」
時音「そうなんだ!今度試してみよっ。」
今度じゃなくて今日の夜でいいのに。
私は息が整え終わった時音と一緒にあのコンビニに行き、めんどくさい年齢確認をいつも通りこなしてホテルに行く。
幸来未「今日の待ち合わせ場所、なんであそこだったの?」
私はベッドに寝転がって映画を見ながら板チョコをつまむ時音の横に座り、駅すぐの待ち合わせスポットじゃないことがとても気になっていたので聞いてみた。
時音「松ぼっくりできてるかなって。」
幸来未「松ぼっくり?」
時音「うん。あそこの松ぼっくりに当たるといいことあるんだって。」
幸来未「へー。でも今日当たらなかったね。」
時音「今日は下見。」
と、時音は私にチョコを一口放り込んだ。
今日はいつもよりミルク感の少ない普通のチョコ。
ちょっと甘さ控えめにして気を使ってるのかな。
時音「松ぼっくりの時期って冬らしいんだ。だから赤ちゃん出来てるか見たかった。」
幸来未「そうなんだ。赤ちゃんあった?」
私は時音のそばに寝転がり、ベッド上にあったココアを盗んで飲む。
すると時音はまた摘もうとしていたチョコの上で手を止めて顔が青白くさせる。
時音「…見るの忘れてた。」
また、忘れてたのか。
これは天性的なものなんだなと私は時音の忘れん坊に同情しながらココアを飲んでいると、時音は大きなため息をついた。
時音「…飛行船も最後に見れなかったし、今日も幸来未に唐揚げ棒買うの忘れた。」
幸来未「唐揚げ棒はあの日の気分だから。ひこ…」
時音「飛行船さ、ギャンブルの商品にされちゃったんだ。買い取ろうと思ってたのに…。」
幸来未「そうなの?」
私は時音が自分自身で手に入れようとしていた所を邪魔してしまったことに胸が痛む。
時音「あれって有名アーティストが僕くらいの歳に作った作品なんだって。」
この間聞いた話とは違うけど、ネット通販に出てこない一点モノの理由が分かった。
幸来未「知らなかった。」
時音「僕も。ついこの間知ったんだけど、あれに300万出すって言った人もいたらしいんだ。」
幸来未「え!?そんなに?」
時音「うん。作者が3年かけて練りに練って作ったらしいよ。結構貴重なものらしい。」
そんなものがあのBARにぽんっと置いてあって、いらないとかガラクタって言われちゃったり、3冊分の私の経験談と交換されちゃったよ?
真実を聞いた私はちょうどいい気温の部屋なのに背中に汗をかき始める。
時音「それでもオーナーさんにお願いしてアーティストの人と掛け合って、材料費の20万と僕の3年分くれたらいいよって言われたから準備してたんだけど、ギャンブル王のオーナーさんが新進気鋭のギャンブラーに負けてあげちゃったって。」
そう教えてくれた時音は相当悔しかったのか、枕に顔を埋めて分かりやすく落ち着く。
私はそんな時音を置いてしっかりクッション材で守られた飛行船の置物が入ってるプレゼント箱をカバンから取り出し、ベッドに戻る。
幸来未「時音。」
時音「…なに。」
幸来未「こっち見て。」
時音「今ちょっと無理…。」
幸来未「泣くのは今じゃないよ。」
私はずっと顔を埋めている時音の枕を取り上げて、体を強制的に起こした。
時音「…なんの箱?」
幸来未「時音の20歳の誕生日プレゼント。日付越えてから渡したかったけど。」
私はそっと目が潤む時音の脚に渡し、しっかり持ってもらうように時音の両手を箱に添える。
幸来未「最後の1年、頑張ってね。」
私は固まる時音に軽くキスしようとすると、時音は近づいた私の頭を掴み荒っぽいキスをした。
時音「…がんばるぅ。どっちもがんばるっ。」
と言って時音は箱に添えてたもう1つの手も私に添えて、チョコがいっぱい広がるキスをしてくれた。
幸来未「なかみっ…」
時音「我慢、むり…。」
そう言って時音は私のプレゼントを枕元に優しく置き、私のチェックワンピの裾をたくし上げてパンツに手をかけた。
幸来未「ぷ、プレゼント…、見てほしい…。」
時音「あとで。10代最後の時間は幸来未と一緒にいたい。」
幸来未「い、今一緒にいるじゃん…。」
時音「ここね。」
と、時音は私の下腹部を指でつつき、初めて見せる悪魔的に可愛いフォンダンショコラの笑顔見せた。
私は時音のその顔に驚き、固まっていると時音は私をベッドに押し倒しながら教えた以上に荒いキスをしてチョコとココアを混ぜ合わせる。
時音「勉強たくさんしてきた。」
幸来未「…そっか。」
いつもより少し甘みが少ないからか、私の中に少し苦味が広がり心臓がきゅっとしそうになるのを時音を抱き寄せて止める。
幸来未「時音の最後、全部欲しい…。」
私は音にも息にもならない声でそう呟いた。
けど、時音には全部聞こえなかったのか、軽く首を傾げながら目尻をキスしてきた。
幸来未「…ちょうだい。」
時音「うんっ。」
これでいいって自分が決めたんだからダメだよ。
時音もこれでいいと思ってるんだからいいんだよ。
うん。
けど、1個だけ時音の最後もらおう。
欲張りになった時点で私はいつもダメになるから。
時音とはダメにならないように私はそう自分に言い聞かせて、10代最後の時音の時間を貰うことにした。
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