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気かぶり娘
420:18:58
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「幸来未、行かないと。」
私は時音に叩き起されて携帯で時間を確認すると朝の6時で思わず眉が寄ってしまう。
時音「今日朝から劇団の集会あるんだ。」
幸来未「…寝てる。」
時音「え…、大丈夫?」
幸来未「なにが?」
時音「ホテル街1人で歩くの。」
そんなこと心配してくれるんだ。
だったら集会サボってお昼まで一緒にいてくれないかな。
幸来未「5分待って。準備するから。」
時音「うん。」
私は1番にヘアアイロンを温めて服を着替え、歯磨きをする。
メイクは出来ないけど帰って寝るだけだからいいや。
とりあえず前髪巻いて髪の毛をまとめれば外には出られる。
私は手早く準備をしてベッドルームにある荷物をまとめていると、テーブルの上に時音の携帯が置いてあった。
幸来未「また携帯忘れ…」
私が携帯を持ち上げた拍子に時音の携帯画面を開いてしまい、見えないナイフで胸を刺された。
…綺麗な女の人。
私の憧れがいっぱい詰まってる高身長スレンダー美人さん。
そんな女の人に時音が私に見せたことない嬉しそうな顔で抱きついてるツーショット。
この人が時音の先生かな。
私はモヤモヤの正体が判明したことに気をとられていると、その画面は時間制限で閉じられてしまった。
見た目がタイプじゃなくても気持ち的にいいなって思える人だったら付き合うし、一緒にいたいって思うよね。
だから小説3本書き上げて3回勝負出来るようにしたけど、なんかもういいやって思っちゃったかも…。
私は夏終わりにあるゲームが憂鬱になりながら玄関で靴を履いていた時音に携帯を渡し、あの日のように人差し指だけ時音のズボンのポケットに入れて駅へ向かっていると、時音が急にシャツを脱いだ。
幸来未「暑ぃ…」
時音「ちょっと被って黙ってて。顔見えないように閉じるよ。」
と、時音は私の顔が見えないようにシャツで覆い隠し、ずれないように袖ををぎゅっと締めて私の視界をドーナツの穴だけにした。
「おはよー。時音。」
時音「お、おはようございます!」
「その子は?」
時音「ええっ…と、姉ちゃんですっ。」
「相変わらず嘘下手だなぁ…。時音の姉ちゃんこんなにちっこくないだろ。」
時音「ふ、ふたりめ…です…。」
本当に相変わらず嘘が下手だ。
けど、男友達に会ってしまうのは予想外だった…。
「しかもなんでシャツ?」
時音「すっぴんだからあんまり人に見られたくないらしいです。」
「そうなんだ。おはようございます、時音の彼女さん。」
時音「ち、違いますよ!」
「じゃあなに?朝からすっぴんの女とホテル街がある坂から降りてきて、姉ちゃんって嘘をついちゃう関係性は?」
時音「うぅ…ぁ、あとで!あとで教えるんで!」
「言わなくても分かるよ。じゃあまたあとで。」
そう言って私たちの前に立っていた男は時音もこれから向かうであろう稽古場に向かっていった。
時音「…ご、ごめん。」
と、時音は私の頭からそっとシャツの袖を解きながら申し訳なさそうに呟いた。
幸来未「ううん。駅の近くだからしょうがないよ。」
時音「ごめん…。でも、顔見られなくてよかった…。」
それは私がすっぴんでブスだから?
と、少し時音にイラついていると時音がシャツごと私の顔を両手で優しく持ち上げてキスをした。
時音「今日配役発表の日なんだ。」
幸来未「そうなの…?」
時音「うん。今まで選ばれなかったけど今回は自信ある。」
幸来未「結果教えてね。」
時音「…選ばれたら教える。」
幸来未「うん。連絡待ってる。」
私はTシャツだけになった時音の首元にある丸襟を掴んで引き寄せ、自分からキスをした。
すると時音は顔を真っ赤にしてあの写真で見た笑顔をしてくれた。
私はその笑顔を見て、時音が受かっても受からなくても、彼女が出来たとしてもいなかったとしても、時音のタイムリミットがあと1年を切る前に欲しいものを掴む願掛けとして飛行船を手に入れることを心に決め、結果発表に緊張する時音と別れて最後の作業をすることにした。
環流 虹向/23:48
私は時音に叩き起されて携帯で時間を確認すると朝の6時で思わず眉が寄ってしまう。
時音「今日朝から劇団の集会あるんだ。」
幸来未「…寝てる。」
時音「え…、大丈夫?」
幸来未「なにが?」
時音「ホテル街1人で歩くの。」
そんなこと心配してくれるんだ。
だったら集会サボってお昼まで一緒にいてくれないかな。
幸来未「5分待って。準備するから。」
時音「うん。」
私は1番にヘアアイロンを温めて服を着替え、歯磨きをする。
メイクは出来ないけど帰って寝るだけだからいいや。
とりあえず前髪巻いて髪の毛をまとめれば外には出られる。
私は手早く準備をしてベッドルームにある荷物をまとめていると、テーブルの上に時音の携帯が置いてあった。
幸来未「また携帯忘れ…」
私が携帯を持ち上げた拍子に時音の携帯画面を開いてしまい、見えないナイフで胸を刺された。
…綺麗な女の人。
私の憧れがいっぱい詰まってる高身長スレンダー美人さん。
そんな女の人に時音が私に見せたことない嬉しそうな顔で抱きついてるツーショット。
この人が時音の先生かな。
私はモヤモヤの正体が判明したことに気をとられていると、その画面は時間制限で閉じられてしまった。
見た目がタイプじゃなくても気持ち的にいいなって思える人だったら付き合うし、一緒にいたいって思うよね。
だから小説3本書き上げて3回勝負出来るようにしたけど、なんかもういいやって思っちゃったかも…。
私は夏終わりにあるゲームが憂鬱になりながら玄関で靴を履いていた時音に携帯を渡し、あの日のように人差し指だけ時音のズボンのポケットに入れて駅へ向かっていると、時音が急にシャツを脱いだ。
幸来未「暑ぃ…」
時音「ちょっと被って黙ってて。顔見えないように閉じるよ。」
と、時音は私の顔が見えないようにシャツで覆い隠し、ずれないように袖ををぎゅっと締めて私の視界をドーナツの穴だけにした。
「おはよー。時音。」
時音「お、おはようございます!」
「その子は?」
時音「ええっ…と、姉ちゃんですっ。」
「相変わらず嘘下手だなぁ…。時音の姉ちゃんこんなにちっこくないだろ。」
時音「ふ、ふたりめ…です…。」
本当に相変わらず嘘が下手だ。
けど、男友達に会ってしまうのは予想外だった…。
「しかもなんでシャツ?」
時音「すっぴんだからあんまり人に見られたくないらしいです。」
「そうなんだ。おはようございます、時音の彼女さん。」
時音「ち、違いますよ!」
「じゃあなに?朝からすっぴんの女とホテル街がある坂から降りてきて、姉ちゃんって嘘をついちゃう関係性は?」
時音「うぅ…ぁ、あとで!あとで教えるんで!」
「言わなくても分かるよ。じゃあまたあとで。」
そう言って私たちの前に立っていた男は時音もこれから向かうであろう稽古場に向かっていった。
時音「…ご、ごめん。」
と、時音は私の頭からそっとシャツの袖を解きながら申し訳なさそうに呟いた。
幸来未「ううん。駅の近くだからしょうがないよ。」
時音「ごめん…。でも、顔見られなくてよかった…。」
それは私がすっぴんでブスだから?
と、少し時音にイラついていると時音がシャツごと私の顔を両手で優しく持ち上げてキスをした。
時音「今日配役発表の日なんだ。」
幸来未「そうなの…?」
時音「うん。今まで選ばれなかったけど今回は自信ある。」
幸来未「結果教えてね。」
時音「…選ばれたら教える。」
幸来未「うん。連絡待ってる。」
私はTシャツだけになった時音の首元にある丸襟を掴んで引き寄せ、自分からキスをした。
すると時音は顔を真っ赤にしてあの写真で見た笑顔をしてくれた。
私はその笑顔を見て、時音が受かっても受からなくても、彼女が出来たとしてもいなかったとしても、時音のタイムリミットがあと1年を切る前に欲しいものを掴む願掛けとして飛行船を手に入れることを心に決め、結果発表に緊張する時音と別れて最後の作業をすることにした。
環流 虹向/23:48
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