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気かぶり娘
421:04:26
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私は時音に会う前にあのBARでテーブルゲームを習得することが習慣になっていた。
今日も人が少なく佐々木さんがいる時間帯のBARに行き、カードゲームを2つ教えてもらって休憩がてらカクテルのシンデレラをもらう。
佐々木「オーナーにそれとなく聞いてるんですけど全く教えてくれないんですよね。」
と、夏服なのか冬にはベストと蝶ネクタイをつけてた佐々木さんの制服はいつの間にか白シャツ1枚で腕がまくられ、首元のボタン2つ外れていた。
幸来未「んー…、フェアじゃないですね。」
佐々木「まあ、主催者ってそういうもんですよ。」
幸来未「佐々木さんもしたことあるんですか?」
佐々木「呑み会の席で一度。私もそう思ったんで一度で辞めました。」
幸来未「その時のゲームは?」
佐々木「そのお店にあったダーツです。初心者はやっちゃダメです。」
幸来未「…金持ち主催者ずるい。」
佐々木「せめてオーナーって呼んであげてください。」
そう言って佐々木さんは私の好きなチョコをおつまみに出してくれた。
幸来未「いいんですか?」
佐々木「頭使うと糖分欲しくなりますから。」
常連になった特権を取得した瞬間を噛み締めるように私が笑みをこぼしていると、スタッフルームでご飯を食べていた紀莉哉さんがカウンターに戻ってきた。
紀莉哉「一息ついたなら悠雪も食ってくれば?」
佐々木「そうする。じゃあまた。」
そう言って佐々木さんは私に軽く会釈してスタッフルームに入っていった。
私はいいチョコをご馳走してもらったことに気持ちを躍らせながら一粒食べようと手を伸ばすと、その指よりも先に紀莉哉さんの指がチョコ一粒さらっていった。
幸来未「…私のチョコ。」
紀莉哉「悠雪のチョコだろ。」
そう言って紀莉哉さんは悪気一切なくチョコを自分の口に入れてしまった。
私はあと3つしかない美味しいチョコを取られないように自分の胸前に持っていき、グラスで壁を作る。
紀莉哉「これ、店のチョコじゃないの気づいてる?」
幸来未「え?」
紀莉哉「バカ舌になに食わせたって一緒ってことだ。」
と、紀莉哉さんがまた手を伸ばしてきたので私は軽くはたき落とす。
紀莉哉「このチョコ、店で降ろしてるシャンティって会社のチョコじゃなくて悠雪が自分で買ってるブレッダってチョコの味と形なんだよ。」
そう言って紀莉哉さんは小麦粉が入ってそうな大きめの袋をカウンター上の台に2つ別々のものを置いた。
紀莉哉「こっちがうちの店ので、こっちが悠雪の。」
そう言って紀莉哉さんが袋の中のチョコを私に見せてくれた。
紀莉哉さんがこのBARのものと言っているチョコは私が一度頼んだことのあるミルクチョコで、佐々木さんのチョコと言われてるものは佐々木さんがこの間から仕入先が変わったと言ってお試しでくれたミルク感が強めになったチョコだった。
形はお互いに楕円形だったけれど、佐々木さんのチョコは私が好きな波の線が入っている舌触りが良いチョコで私は佐々木さんの好意に今気付かされた。
紀莉哉「今度3人で呑む?」
幸来未「…なんで。」
紀莉哉「どうにかなってほしいから。」
その返しはさすがに適当すぎるだろ。
もっと言い方あったんじゃない?
幸来未「佐々木さんに誘われたら考えるかもー。」
私も適当に紀莉哉さんの言葉を返すと、紀莉哉さんがしたり笑顔でスタッフルームにいる佐々木さんに声をかけに行ってしまった。
やらかした…。
これ、行かないとだめなやつ…。
私はすぐさま逃げようかなとカバンの中から財布を取り出そうとすると、勢いよく隣に誰かが座った。
驚いた私は恐る恐るその人の顔を見上げると、まだ呼んでもいない時音だった。
幸来未「…あれ、稽古は?」
時音「行こ。」
そう言って時音は私を強引にお店から出そうとするので私は紙ナフキンにお礼の言葉と代金を多めに置いて、無理矢理引っ張る時音とエレベーターに乗った。
幸来未「…稽古は?」
時音「今日の夜、害虫駆除の業者来るから残るなって言われちゃったんだ。」
幸来未「そうだったんだ…。でもなんであのBAR来たの?」
時音「幸来未がいる気がしただけ。」
そんなわけないけど早めに合流出来たならいっか。
幸来未「ご飯食べた?」
時音「まだ。」
幸来未「何か食べる?」
時音「…こっ、…ここ、あ。」
幸来未「食べ物じゃないじゃん…。」
時音「…いいのいいの!コンビニ行こ。」
私は夏が始まっても肌が白い時音と一緒にあのコンビニに行き、好きな飲み物とおつまみを買ってまたホテルに向かった。
環流 虹向/23:48
今日も人が少なく佐々木さんがいる時間帯のBARに行き、カードゲームを2つ教えてもらって休憩がてらカクテルのシンデレラをもらう。
佐々木「オーナーにそれとなく聞いてるんですけど全く教えてくれないんですよね。」
と、夏服なのか冬にはベストと蝶ネクタイをつけてた佐々木さんの制服はいつの間にか白シャツ1枚で腕がまくられ、首元のボタン2つ外れていた。
幸来未「んー…、フェアじゃないですね。」
佐々木「まあ、主催者ってそういうもんですよ。」
幸来未「佐々木さんもしたことあるんですか?」
佐々木「呑み会の席で一度。私もそう思ったんで一度で辞めました。」
幸来未「その時のゲームは?」
佐々木「そのお店にあったダーツです。初心者はやっちゃダメです。」
幸来未「…金持ち主催者ずるい。」
佐々木「せめてオーナーって呼んであげてください。」
そう言って佐々木さんは私の好きなチョコをおつまみに出してくれた。
幸来未「いいんですか?」
佐々木「頭使うと糖分欲しくなりますから。」
常連になった特権を取得した瞬間を噛み締めるように私が笑みをこぼしていると、スタッフルームでご飯を食べていた紀莉哉さんがカウンターに戻ってきた。
紀莉哉「一息ついたなら悠雪も食ってくれば?」
佐々木「そうする。じゃあまた。」
そう言って佐々木さんは私に軽く会釈してスタッフルームに入っていった。
私はいいチョコをご馳走してもらったことに気持ちを躍らせながら一粒食べようと手を伸ばすと、その指よりも先に紀莉哉さんの指がチョコ一粒さらっていった。
幸来未「…私のチョコ。」
紀莉哉「悠雪のチョコだろ。」
そう言って紀莉哉さんは悪気一切なくチョコを自分の口に入れてしまった。
私はあと3つしかない美味しいチョコを取られないように自分の胸前に持っていき、グラスで壁を作る。
紀莉哉「これ、店のチョコじゃないの気づいてる?」
幸来未「え?」
紀莉哉「バカ舌になに食わせたって一緒ってことだ。」
と、紀莉哉さんがまた手を伸ばしてきたので私は軽くはたき落とす。
紀莉哉「このチョコ、店で降ろしてるシャンティって会社のチョコじゃなくて悠雪が自分で買ってるブレッダってチョコの味と形なんだよ。」
そう言って紀莉哉さんは小麦粉が入ってそうな大きめの袋をカウンター上の台に2つ別々のものを置いた。
紀莉哉「こっちがうちの店ので、こっちが悠雪の。」
そう言って紀莉哉さんが袋の中のチョコを私に見せてくれた。
紀莉哉さんがこのBARのものと言っているチョコは私が一度頼んだことのあるミルクチョコで、佐々木さんのチョコと言われてるものは佐々木さんがこの間から仕入先が変わったと言ってお試しでくれたミルク感が強めになったチョコだった。
形はお互いに楕円形だったけれど、佐々木さんのチョコは私が好きな波の線が入っている舌触りが良いチョコで私は佐々木さんの好意に今気付かされた。
紀莉哉「今度3人で呑む?」
幸来未「…なんで。」
紀莉哉「どうにかなってほしいから。」
その返しはさすがに適当すぎるだろ。
もっと言い方あったんじゃない?
幸来未「佐々木さんに誘われたら考えるかもー。」
私も適当に紀莉哉さんの言葉を返すと、紀莉哉さんがしたり笑顔でスタッフルームにいる佐々木さんに声をかけに行ってしまった。
やらかした…。
これ、行かないとだめなやつ…。
私はすぐさま逃げようかなとカバンの中から財布を取り出そうとすると、勢いよく隣に誰かが座った。
驚いた私は恐る恐るその人の顔を見上げると、まだ呼んでもいない時音だった。
幸来未「…あれ、稽古は?」
時音「行こ。」
そう言って時音は私を強引にお店から出そうとするので私は紙ナフキンにお礼の言葉と代金を多めに置いて、無理矢理引っ張る時音とエレベーターに乗った。
幸来未「…稽古は?」
時音「今日の夜、害虫駆除の業者来るから残るなって言われちゃったんだ。」
幸来未「そうだったんだ…。でもなんであのBAR来たの?」
時音「幸来未がいる気がしただけ。」
そんなわけないけど早めに合流出来たならいっか。
幸来未「ご飯食べた?」
時音「まだ。」
幸来未「何か食べる?」
時音「…こっ、…ここ、あ。」
幸来未「食べ物じゃないじゃん…。」
時音「…いいのいいの!コンビニ行こ。」
私は夏が始まっても肌が白い時音と一緒にあのコンビニに行き、好きな飲み物とおつまみを買ってまたホテルに向かった。
環流 虹向/23:48
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