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キツネとイヌ

591:22:19

今日はホテルに入ってすぐにシャワーを浴びてひと段落。

やっぱりノーブラノーパンでガウン1枚羽織が1番楽。

それを超えちゃうのは全裸だけど、時音がずっと顔を真っ赤にさせそうだから慣れるまでやらないでおこう。

時音「この間の旅行、友達と行ったの？」

と、冷蔵庫で冷やしていた飲み物を取り出しながら時音は聞いてきた。

幸来未「ううん。1人。」

時音「そうなの？」

幸来未「うん。懸賞でペアの旅行券当たったんだけど、1人がいいから旅館の人に交渉して2泊3日にしてもらった。」

時音「…そんなこと出来るんだ。」

幸来未「私もダメ元で電話してみたけど意外と出来ちゃうもんなんだね。」

私は時音が持ってきてくれたココアを貰い、冷えた板チョコを時音と半分する。

時音「僕も久しぶりに温泉行きたいなぁ。」

幸来未「行ってきたら？春先になると旅行客でいっぱいになるよ。」

時音「そうなの？」

幸来未「みんな寒いと外出たくないんだって。」

自分の中の統計だけど、冬が1番人が少ない気がする。

時音「…幸来未は旅行好きなの？」

幸来未「うん。今度は久しぶりに鎌倉行こうかなって思ってる。」

時音「1人で行くの？」

幸来未「うん。楽だもん。」

時音「そっか。」

時音は一口に割ったチョコをパリパリ食べながらなにか考えてるように一言呟いた。

けど、誘わないし誘えないのは絶対につまらなくなるのが分かるから。

ちょっと楽しい時間はあってもお互い違う考えを持ってるから、どこか妥協して譲り合いをして行く場所を決めたりご飯を決めたりする。

そんなめんどくさいことをするくらいだったら私は1人旅行をしてたい。

…けど、ご飯くらいなら。

幸来未「…日帰りだからコロッケ一緒に食べる？」

時音「いつ？」

幸来未「決めてない。」

時音「そっか。また呼んで。」

幸来未「うん。」

私は自分のチョコを口の中で溶かしながら冷たいココアを含み、口の中で甘々ココアを作る。

時音「ココアとチョコ一緒に食べる人初めてみた。」

幸来未「時音がおつまみ甘いのばっかり買ったんじゃん。」

時音「好きだから。」

幸来未「あっそ。」

時音「好きだよ。」

幸来未「ふーん。」

こんなに糖分とっても稽古をしたら全部消費出来ちゃうのかな。

だから今日も美味しそうな豚の角煮を食べていても平気で深夜にお菓子を食べちゃうんだろう。

そんな体質になりたかったよ。

私は最近肉がついてきたフェイスラインをつまんでいるとその手に時音が優しく手を置いてきた。

時音「あい。」

幸来未「…なに？」

私は時音が咥えているチョコを見て首を傾げる。

時音「つぅー…。」

そう言って、時音は私の口にそのチョコを入れてお互いの舌で全部溶かすまでキスをした。

幸来未「…勉強の成果がこれ？」

時音「ダメ？」

幸来未「ありきたりって感じ。」

時音「…そっか。」

時音は私の唇に漏れたチョコを親指で取り、その指を私の口の中にくいっと入れてきた。

時音「これもありきたり？」

私はちょっと押しが強くなった時音の親指を甘噛みしながらチョコを舐めとり、自分の手を添えて時音の指を口から取り出す。

幸来未「自分で入れたくせに照れちゃダメだよ。」

時音「だ、だって…、舐めるとは思わなかったし…。」

どういうこと…？

指入れるのって舐めろってことじゃないの？

幸来未「あとはなに勉強してきたの？」

私は時音のガウンのリボンをほどきながら予習をしてきたという時音に実践してもらうことにした。


環流 虹向/23:48