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接近

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「ただいまー…、って何でいないんだ?」

店に戻ると荷物と酒つまみはそのまま。
俺が買い出しに行った間に何があった?

わはは…、と階段下からなぜかタカヒロの笑い声がしてきた。

タカ「あ!久寿さん!」

と、タカヒロが階段を駆け上がってくる。

久寿「なんで外にいるんだ?」

タカ「ウーロン茶、買いに行ってきたんです。」

久寿「それなら買ってあるぞ。」

俺は袋の中をタカヒロに見せる。

タカ「え!なんでですか!?」

久寿「酒を抜くには、上より下の方がラクだろう。」

タカ「久寿さんはさすがですね!」

そんなタカヒロの背後からゆっくりとユキさんも上がってきた。

わざわざ2人で行かなくてもいいものを…。

買い出しを終えた俺たちは店に入って、またトランプをして賭けをする。

俺が買い出しに行っている間、2人で旅行に行こうという話になったらしい。

なぜそんなに急に仲良くなったんだ。
その能力、分けてくれ。

賭けは、車を運転するのは誰か。

ここはしっかり勝たないとめんどくさい。
なるべく日には当たりたくないからな。

日に少し当たるだけでただれてしまう。
数日すれば戻るが見るに痛々しい。

久寿「一抜け!」

絶対的に勝ちたかった俺は無事にあがれた。

二人が一騎打ちをして暇な時間、俺はネットで宿を調べていく。

こういう時は一緒の部屋なのか、別の部屋なのか分からないな。

タカ「僕、部屋に露天風呂ついてるのがいいです!みんなで入りましょう!」

ユキ「え!混浴ですか!?うーん…。」

混浴!?
タカヒロも意外に大胆なことを言うな。

久寿「露天風呂なぁ…。」

俺はソファに寝っ転がりながら探していると、一つ気になるものがあった。

それは一軒家のような作りで露天風呂もあり、部屋も多数ある宿。

久寿「ここはどうだ。」

俺はスマホの画面を2人に見せる。

タカ「すごい、いいじゃないですか!ここにしましょう!」

ユキ「賛成です!」

久寿「いつ頃合わせられるんだ?」

タカ「僕は来月にも個展があるので、再来月になってしまいます!」

ユキ「私はいつでもいいですよ。」

久寿「じゃあ再来月…、だから11月か。冬だな。」

ユキ「日本酒飲み比べあるそうです!」

タカ「えー!飲みましょう!」

2人がとてもはしゃいでいて楽しそうだ。
出来れば混ざりたいが、若い2人についていけるだろうか。

「「久寿さんは何が気になりますか?」」

2人の声がかぶった。

なんだ…?
なんでこんなに仲良くなったんだ?

俺は困惑しながら適当に指差して魅力的なプランを指していった。







タカヒロさんに心を開いた瞬間、自分自身が知らなかった心の動きが見えるようになった。

この温泉はあの2人の家に近いし、時間を作って会いに行こう。

こんなにウキウキ出来ているのは何十年ぶりなんだろう。

2人ともありがとう。
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