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知識
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「こんばんは。」
と、俺はカウンターで何やら大きめの資料本を読んでいたユキさんに声をかける。
ユキ「いらしゃいませ。」
久寿「約束していたのに遅くなってすまない。」
ユキ「いえいえ、今出しますね。」
ユキさんは読んでいた本を閉じ、ごはんの準備を始めた。
俺はユキさんが座っていた席の隣に座り、ごはんの出来上がりを待つ。
けれど、どんな本を読んでいたのだろうかどうしても気になり、ちらっと本の表紙を見てみるとワインのについての本だった。
久寿「ワインの勉強しているのか?」
ユキ「あ…、はい。始めたばかりです。」
久寿「そうなのか…。」
これはデートに誘うチャンス!
久寿「私の行きつけの店に美味しいワインを出しているところがあるんだ。今度一緒に行かないか?」
ユキ「いえいえ、大丈夫です。」
久寿「そうか…。ユキさんは本は好き?」
ユキ「挿絵や写真が多い本は好きです。たまにですけど、文字だけのも読みます。」
久寿「なるほど。ユキさんは文章より見て感じるものの方が好きなんですね。」
俺がそう話していると、ユキさんは白身魚のバターソテーを俺の目の前に出した。
ユキ「そうですね。眺めてるだけでいろんな感情になれるので好きですね。久寿さんは本読むんですか?」
ご飯を用意し終えたユキさんは俺の隣の席に座った。
久寿「読むのは小説が多いかな。絵や写真は展示されてるものを見る方か多いかもしれない。いただきます。」
ユキ「召し上がれ。へぇー、私は展覧会では見たことなかったです。やっぱり見る空間も大事なんですかね?」
俺たちはごはんを食べながら話を進めていく。
続けようと思って話しているわけではないのに、どんどん話は盛り上がっていく。
その会話でユキさんの考えや感情を知れると、なんだか嬉しくてとても楽しい会話だった。
こんな風に楽しく話せる人はなかなかいない。
貴重な存在だ。
・
・
・
・
・
久寿さんとのお話はとてもタメになる。
私が知らない世界をどんどん教えてくれる。
なるべく人と関わらないように、仲を深めすぎないようにしていたからこの感覚は久しぶりだった。
二人して赤ワインも話も進んでいく。
仕事なのにプライベートのような感じだ。
今日はもしかしたら久寿さんしかお客さん来ないのかな。
まあ場所が場所だからしょうがない。
久寿さんで今日の売り上げあげてくれないかなと内心片隅に黒い部分を持ちながら、久寿さんとの会話を楽しむ私。
久寿「来週に知り合いの絵の個展が開かれるんだ。結構人気がある人らしいから初めて見ても楽しめると思うよ。」
ユキ「へぇ、気になります。」
久寿「どう?来週、時間がある日あるかな?」
あ…。
いつも断る前提でこういう話を進めていくのに、今日は楽しくて本心を言ってしまった。
ユキ「うーん…。微妙かもしれないですね。」
危ない危ない、近づきすぎず離れすぎず一定の距離感を保たなきゃ。
久寿「そうか。まあ、また火曜日来るからその時に答え教えてよ。」
あれ?断ったはずなんだけど。
まあ、売上のために火曜日も来てもらおっと。
ユキ「分かりました。 あ、ワインもう一本持ってきます。」
ユキ「ありがとう。」
私は棚から新しい赤ワインを出し、席に戻る。
久寿「ワインっていつもどこで買ってるんだ?」
ユキ「スーパーかネットで酒屋に注文してます。」
久寿「ここから歩いて5分の酒屋に行くと、スーパーと同じ値段でもっと種類あるから今度そこに行ってみるといいよ。専門店だから酒に詳しい店員さんいると思うから勉強になるよ。」
ユキ「ありがとうございます。今度、行ってみます。」
そんな近くにあったんだ。
知らなかったな。
多分、帰り道と逆方向なんだろう。
久寿さんに新しいことをたくさん教えてもらいながら、一緒に夜を過ごした。
と、俺はカウンターで何やら大きめの資料本を読んでいたユキさんに声をかける。
ユキ「いらしゃいませ。」
久寿「約束していたのに遅くなってすまない。」
ユキ「いえいえ、今出しますね。」
ユキさんは読んでいた本を閉じ、ごはんの準備を始めた。
俺はユキさんが座っていた席の隣に座り、ごはんの出来上がりを待つ。
けれど、どんな本を読んでいたのだろうかどうしても気になり、ちらっと本の表紙を見てみるとワインのについての本だった。
久寿「ワインの勉強しているのか?」
ユキ「あ…、はい。始めたばかりです。」
久寿「そうなのか…。」
これはデートに誘うチャンス!
久寿「私の行きつけの店に美味しいワインを出しているところがあるんだ。今度一緒に行かないか?」
ユキ「いえいえ、大丈夫です。」
久寿「そうか…。ユキさんは本は好き?」
ユキ「挿絵や写真が多い本は好きです。たまにですけど、文字だけのも読みます。」
久寿「なるほど。ユキさんは文章より見て感じるものの方が好きなんですね。」
俺がそう話していると、ユキさんは白身魚のバターソテーを俺の目の前に出した。
ユキ「そうですね。眺めてるだけでいろんな感情になれるので好きですね。久寿さんは本読むんですか?」
ご飯を用意し終えたユキさんは俺の隣の席に座った。
久寿「読むのは小説が多いかな。絵や写真は展示されてるものを見る方か多いかもしれない。いただきます。」
ユキ「召し上がれ。へぇー、私は展覧会では見たことなかったです。やっぱり見る空間も大事なんですかね?」
俺たちはごはんを食べながら話を進めていく。
続けようと思って話しているわけではないのに、どんどん話は盛り上がっていく。
その会話でユキさんの考えや感情を知れると、なんだか嬉しくてとても楽しい会話だった。
こんな風に楽しく話せる人はなかなかいない。
貴重な存在だ。
・
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久寿さんとのお話はとてもタメになる。
私が知らない世界をどんどん教えてくれる。
なるべく人と関わらないように、仲を深めすぎないようにしていたからこの感覚は久しぶりだった。
二人して赤ワインも話も進んでいく。
仕事なのにプライベートのような感じだ。
今日はもしかしたら久寿さんしかお客さん来ないのかな。
まあ場所が場所だからしょうがない。
久寿さんで今日の売り上げあげてくれないかなと内心片隅に黒い部分を持ちながら、久寿さんとの会話を楽しむ私。
久寿「来週に知り合いの絵の個展が開かれるんだ。結構人気がある人らしいから初めて見ても楽しめると思うよ。」
ユキ「へぇ、気になります。」
久寿「どう?来週、時間がある日あるかな?」
あ…。
いつも断る前提でこういう話を進めていくのに、今日は楽しくて本心を言ってしまった。
ユキ「うーん…。微妙かもしれないですね。」
危ない危ない、近づきすぎず離れすぎず一定の距離感を保たなきゃ。
久寿「そうか。まあ、また火曜日来るからその時に答え教えてよ。」
あれ?断ったはずなんだけど。
まあ、売上のために火曜日も来てもらおっと。
ユキ「分かりました。 あ、ワインもう一本持ってきます。」
ユキ「ありがとう。」
私は棚から新しい赤ワインを出し、席に戻る。
久寿「ワインっていつもどこで買ってるんだ?」
ユキ「スーパーかネットで酒屋に注文してます。」
久寿「ここから歩いて5分の酒屋に行くと、スーパーと同じ値段でもっと種類あるから今度そこに行ってみるといいよ。専門店だから酒に詳しい店員さんいると思うから勉強になるよ。」
ユキ「ありがとうございます。今度、行ってみます。」
そんな近くにあったんだ。
知らなかったな。
多分、帰り道と逆方向なんだろう。
久寿さんに新しいことをたくさん教えてもらいながら、一緒に夜を過ごした。
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