11 / 33
準備
しおりを挟む
あれから華さんのご両親に挨拶をして、結婚の話を進めていった。
そんな中、華さんとは俺の家で一緒に暮らしている。
まだ結婚の儀式を交わしていないが、二人で過ごす時間はとても心地よい。
この頃、西洋の文化が取り込まれてきてドレスか白無垢か華さんは悩んでいた。
こちらとしてはどちらも見たいので、明日試着して選ぶことになっていた。
華「ごはん、出来ましたよ。」
と、華さんが呼びに来てくれた。
久寿「ありがとう、今行きます。」
今日はアサリの炊き込みご飯にかつおのたたき。
よく旬のものを使った料理を作ってくれる。
久寿「いただきます。」
華「どうぞ、召し上がれ。」
ここ最近は華さんがご飯を作ってくれるので本当にありがたい。
明日は早めに台所に立ち、俺が作ってあげよう。
何がいいかな?とごはんを味わいながら考えてみる。
珍しく西洋の料理を作ってみようか。
久寿「明日は俺が晩ごはん作るから、華さんはゆっくりしててね。」
華「え!いいんですか?」
久寿「うん。何か食べたいのあるかな?」
華「うーん、コロッケ食べてみたいです。」
久寿「分かった。作ってみますね。」
明日、午前中に図書館で調べておこう。
初挑戦だから難しそうだなと話しながら楽しい夕食は終わった。
夜はいつものように読書を華さんと一緒にする。
会話はないが同じ部屋に華さんがいることだけで幸せと感じられる。
[ドックン…]
急に心臓が暴れだした。
ダメだ、今はまだ死にたくない。
だけどなにも出来ない。
俺が倒れ込むと、華さんは必死に俺の名前を呼ぶ。
ごめん。
もっと一緒にいたかったのに体が言うこと聞いてくれないんだ。
出来ることなら華さんを看取れるまで生きていたかった。
もっと幸せになってほしかった。
本当にごめん、もっと強く生きれたら華さんを泣かせないのに。
目の前が真っ暗になり、俺は意識を落とした。
・
・
・
[ドックン!]
久寿「はぁ!!」
長いこと息が出来なくて、思いっきり息を吸う。
俺は息を整えてながら何が起きたか分からずにいた。
ここは病院?
「お兄さん行くよ!」
と、小さい子どもが指先をハンカチで拭きながら話しかけてきた。
けれど、状況が分からずに混乱していて言葉が出ない。
もう!と言って、子どもは俺の手を引き病院を出る。
俺は子どもと一緒に走りながら思った。
…なぜ、俺は走り続けても心臓が痛くならないんだ?
そう考えながら走り続けると俺の家に着いた。
「お姉さん、帰ってきてると思うよ。」
久寿「ありがとう…?」
子どもと家に入ると泣いている華さんがいた。
子どもは俺たちのことに気づいていない華さんに駆け寄り俺を指す。
すると、涙で目が真っ赤の華さんがこちらを向き、俺に駆け寄って勢いよく抱きつかれて、さらに涙を流す。
全くなにが起きているのか分からない。
華「本当に生き返ったんですね。」
「うん、だから大丈夫って言ったでしょ。」
どういうことなのか話を聞くと、俺は一度死んでしまったらしい。
あの夜、倒れた後病院で息を引き取った。
華さんは俺の死に顔を見れなくて少し夜風に当たるために外を歩いている時、あの子に出会った。
すると、子どもは生き返らせてあげると言って病院と名前を聞いてどっかに行ってしまい、華さんはとりあえず家に戻り、気持ちを落ち着かせてからまた病院に行こうとしていた所に俺と子どもが戻ってきたらしい。
ほんの数時間の出来事だったらしく、なんだか分からないが俺は生き返れた。
子どもに生き返れたお礼を言うと、
「お兄さんは吸血鬼にこれからなるんだ。」
と、子どもは小説にしか出てこない生き物に俺はなると話した。
俺は何言っているのか分からなかったが、多分この子どもが生き返らせてくれたのだからちゃんと話を聞くことにした。
「これからだんだん太陽が出てる場所にはいられなくなる。多分1ヶ月したら完全に無理になると思う。そして血がこれから必要になってくる。しかも人間の血。
猫や犬でも大丈夫なんだけど栄養が少なくてどうしても人間の血じゃないと死んでしまうからだめなんだ。だから、これからの生活は普段通りにはいかなくなる。」
久寿「吸血鬼って、あのおとぎ話で出てくる吸血鬼のことなのか?」
「うん。でも永遠に生きれるわけじゃないよ。僕は1週間したら死ぬから。」
久寿「なぜ?」
「お兄さんを生き返ってもらうために儀式しちゃったからさ。」
久寿「儀式ってなんだ?」
「心臓側の胸見てみて。傷が5つあるでしょ?」
俺は服を脱ぎ、左胸を見ると丸いへこみのある傷が5つあることに気づく。
「僕の左手の指先を切って、心臓に直接吸血鬼の血を流すと死んでから3時間以内であれば生き返るんだ。」
久寿「…でも、なんで俺を助けたんだ?君が死んでしまうのに。」
「もうたくさん生きたからそろそろ譲りたいなって思ってたんだ。で、ちょうどお姉さんが困ってたからお兄さん助けたんだ。」
信じがたい話だが信じないとなぜ俺が生き返れたのかが分からない。
「でもこの方法は吸血鬼として200年くらい生きないと使えないからね。お兄さんは長生きして、幸せになってね。」
久寿「ありがとう。」
子どもはバイバイと言って、家を出て行ってしまった。
まだこれが夢なのではないかと思いながら、泣き止んでくれた華さんと布団に入る。
華「ごめんなさい、本当に生き返るとは思わなかったです。」
久寿「謝らないでください。これで華さんとまた過ごせるなら文句なんてないです。」
目を腫らした華さんを抱きしめながら俺は眠りについた。
そんな中、華さんとは俺の家で一緒に暮らしている。
まだ結婚の儀式を交わしていないが、二人で過ごす時間はとても心地よい。
この頃、西洋の文化が取り込まれてきてドレスか白無垢か華さんは悩んでいた。
こちらとしてはどちらも見たいので、明日試着して選ぶことになっていた。
華「ごはん、出来ましたよ。」
と、華さんが呼びに来てくれた。
久寿「ありがとう、今行きます。」
今日はアサリの炊き込みご飯にかつおのたたき。
よく旬のものを使った料理を作ってくれる。
久寿「いただきます。」
華「どうぞ、召し上がれ。」
ここ最近は華さんがご飯を作ってくれるので本当にありがたい。
明日は早めに台所に立ち、俺が作ってあげよう。
何がいいかな?とごはんを味わいながら考えてみる。
珍しく西洋の料理を作ってみようか。
久寿「明日は俺が晩ごはん作るから、華さんはゆっくりしててね。」
華「え!いいんですか?」
久寿「うん。何か食べたいのあるかな?」
華「うーん、コロッケ食べてみたいです。」
久寿「分かった。作ってみますね。」
明日、午前中に図書館で調べておこう。
初挑戦だから難しそうだなと話しながら楽しい夕食は終わった。
夜はいつものように読書を華さんと一緒にする。
会話はないが同じ部屋に華さんがいることだけで幸せと感じられる。
[ドックン…]
急に心臓が暴れだした。
ダメだ、今はまだ死にたくない。
だけどなにも出来ない。
俺が倒れ込むと、華さんは必死に俺の名前を呼ぶ。
ごめん。
もっと一緒にいたかったのに体が言うこと聞いてくれないんだ。
出来ることなら華さんを看取れるまで生きていたかった。
もっと幸せになってほしかった。
本当にごめん、もっと強く生きれたら華さんを泣かせないのに。
目の前が真っ暗になり、俺は意識を落とした。
・
・
・
[ドックン!]
久寿「はぁ!!」
長いこと息が出来なくて、思いっきり息を吸う。
俺は息を整えてながら何が起きたか分からずにいた。
ここは病院?
「お兄さん行くよ!」
と、小さい子どもが指先をハンカチで拭きながら話しかけてきた。
けれど、状況が分からずに混乱していて言葉が出ない。
もう!と言って、子どもは俺の手を引き病院を出る。
俺は子どもと一緒に走りながら思った。
…なぜ、俺は走り続けても心臓が痛くならないんだ?
そう考えながら走り続けると俺の家に着いた。
「お姉さん、帰ってきてると思うよ。」
久寿「ありがとう…?」
子どもと家に入ると泣いている華さんがいた。
子どもは俺たちのことに気づいていない華さんに駆け寄り俺を指す。
すると、涙で目が真っ赤の華さんがこちらを向き、俺に駆け寄って勢いよく抱きつかれて、さらに涙を流す。
全くなにが起きているのか分からない。
華「本当に生き返ったんですね。」
「うん、だから大丈夫って言ったでしょ。」
どういうことなのか話を聞くと、俺は一度死んでしまったらしい。
あの夜、倒れた後病院で息を引き取った。
華さんは俺の死に顔を見れなくて少し夜風に当たるために外を歩いている時、あの子に出会った。
すると、子どもは生き返らせてあげると言って病院と名前を聞いてどっかに行ってしまい、華さんはとりあえず家に戻り、気持ちを落ち着かせてからまた病院に行こうとしていた所に俺と子どもが戻ってきたらしい。
ほんの数時間の出来事だったらしく、なんだか分からないが俺は生き返れた。
子どもに生き返れたお礼を言うと、
「お兄さんは吸血鬼にこれからなるんだ。」
と、子どもは小説にしか出てこない生き物に俺はなると話した。
俺は何言っているのか分からなかったが、多分この子どもが生き返らせてくれたのだからちゃんと話を聞くことにした。
「これからだんだん太陽が出てる場所にはいられなくなる。多分1ヶ月したら完全に無理になると思う。そして血がこれから必要になってくる。しかも人間の血。
猫や犬でも大丈夫なんだけど栄養が少なくてどうしても人間の血じゃないと死んでしまうからだめなんだ。だから、これからの生活は普段通りにはいかなくなる。」
久寿「吸血鬼って、あのおとぎ話で出てくる吸血鬼のことなのか?」
「うん。でも永遠に生きれるわけじゃないよ。僕は1週間したら死ぬから。」
久寿「なぜ?」
「お兄さんを生き返ってもらうために儀式しちゃったからさ。」
久寿「儀式ってなんだ?」
「心臓側の胸見てみて。傷が5つあるでしょ?」
俺は服を脱ぎ、左胸を見ると丸いへこみのある傷が5つあることに気づく。
「僕の左手の指先を切って、心臓に直接吸血鬼の血を流すと死んでから3時間以内であれば生き返るんだ。」
久寿「…でも、なんで俺を助けたんだ?君が死んでしまうのに。」
「もうたくさん生きたからそろそろ譲りたいなって思ってたんだ。で、ちょうどお姉さんが困ってたからお兄さん助けたんだ。」
信じがたい話だが信じないとなぜ俺が生き返れたのかが分からない。
「でもこの方法は吸血鬼として200年くらい生きないと使えないからね。お兄さんは長生きして、幸せになってね。」
久寿「ありがとう。」
子どもはバイバイと言って、家を出て行ってしまった。
まだこれが夢なのではないかと思いながら、泣き止んでくれた華さんと布団に入る。
華「ごめんなさい、本当に生き返るとは思わなかったです。」
久寿「謝らないでください。これで華さんとまた過ごせるなら文句なんてないです。」
目を腫らした華さんを抱きしめながら俺は眠りについた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。
春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。
それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。
にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる